科学的エビデンスに基づく政策を実施して グローバルダイニング・長谷川耕造社長が新首相に訴え

1

2021年09月28日 08:00  AERA dot.

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

AERA dot.

写真長谷川耕造(はせがわ・こうぞう)/1950年、神奈川県生まれ。「ラ・ボエム」「モンスーンカフェ」など都内を中心に複数の飲食店を展開する(写真/写真部・高橋奈緒)
長谷川耕造(はせがわ・こうぞう)/1950年、神奈川県生まれ。「ラ・ボエム」「モンスーンカフェ」など都内を中心に複数の飲食店を展開する(写真/写真部・高橋奈緒)
 コロナ禍で大きな打撃を受けた飲食業界。都内を中心に「ラ・ボエム」や「モンスーンカフェ」など複数の飲食店を展開するグローバルダイニングの長谷川耕造社長(71)が、政府のコロナ対策のつたなさについて、思いの丈を語った。


【写真の続きをもっと見る】
*  *  *


 コロナ禍で飲食業界が標的にされたのは、政治家が有権者に「やってる感」をアピールしたかったためです。小売店もそうですが、科学的なエビデンスもないのに犠牲になりました。飲食業界はまだ休業補償が出ている分、少しは救われた面はあると思います。


 とはいえ、日本の休業補償の実態は先進国とは認められないようなお粗末な内容です。手続きが煩雑で支給も遅い。小さな店では、申請しても却下されることが繰り返されるので、諦めて営業を再開した、というところもあります。


 私が経営する会社は、米カリフォルニア州にも2店舗展開しています。日本がどれだけ遅れているのか米国との違いでお示ししましょう。


 米国にはコロナ禍で影響を受けた中小企業への支援策に「給与保護プログラム(PPP)」という制度があります。給与や賃料、光熱費など約2・5カ月分、最大1千万ドル(約11億円)までは政府が肩代わりする仕組みです。融資の形をとっていますが、雇用を維持すれば返却が免除されるため補助金の性格が強い制度です。


 カリフォルニア州では2回、ロックダウンし、その都度申請しました。外国企業であるにもかかわらず、日本円に換算して約5千万円と約7500万円がそれぞれ約2週間後に振り込まれました。申請後の審査も迅速です。従来の融資とは異なり、有事に経済を維持するための制度だということが、担当者に周知されているんです。


 この対応に接して、正直驚きました。ここまでやってくれるのかと。ロックダウンについては大反対なんだけれども、補償額を見たら許しちゃいますよね(笑)。米国はすごく賢いと思います。政策をつくる官僚のレベルが日本と全然違うんだろうなと。こうした点からも日本は本当に後れを取ってしまったんだな、と実感しました。




 新型コロナウイルス対策を強化する改正特別措置法で、営業時間短縮命令を拒んだ事業者に過料を科すことができるようになりました。私たちの会社は、時短命令を「憲法に違反する」として、東京都に賠償を求める裁判を3月に起こしました。すると、うちの会社を「国賊企業」などと呼ぶ人が出てきました。お上には逆らうな、という意識がこの国には浸透しています。でも今の時代、本当の意味でのお上って憲法じゃないですか。そう思って提訴しました。


 昨年4月に1回目の緊急事態宣言が出たとき、営業を続けるパチンコ業界がつるし上げにあいました。あのとき、自分が同じ目にあったら、「(政府や都知事に)名前を公表するぞ」と言われる前に、自分から名乗り出ようと心に誓ったんです。


 日本の新型コロナの感染状況は緊急事態宣言を発出するような事態ではないし、そもそも外出制限やマスクをしても感染を封じ込めることはできません。日本の「医療崩壊」は、新型コロナが指定感染症第2類相当とされていることが原因です。2類相当から5類に変更するだけで、普通の病院でも新型コロナの診察ができるようになります。それができないのは政治の責任じゃないですか。


 私が経営する店舗が時短に応じず営業することによって、国民の命が危機にさらされるなんてことは到底考えられない。だったら自分から名乗って営業を続けようという判断をしたんです。それは今も何も変わっていません。


 また、日本が転落した要因の一つは、単一性にこだわり、多様性を認めてこなかったことにあると思います。3〜4代前に朝鮮半島から来た人がいまだに「在日」と呼ばれ差別の対象になっています。そういう醜い部分も日本にはある。一方、韓国は柔軟に国際性を高め成長を遂げています。


 財政赤字も気になります。


「バズーカ」とか言って、日本銀行が資金供給を増やしましたが、コロナ禍で同じようなことが世界で起きています。このまま進めばハイパーインフレに陥り、現在の社会システム自体が崩壊してしまうんじゃないか、という危惧を持っています。




 民主主義が健全に機能するには、少なくとも二大政党が競い合う必要があります。政権交代をしなければ権力は腐敗します。民主党政権だったころの評判はいまだに悪いですが、それでも自民党とは異なる政治の流れを生みました。自民党が野党に転落し、健康を取り戻すことができたのも成果の一つです。しかし、自民党が政権を奪回し長期政権が続くと、たるんできてスキャンダルが相次ぎました。米国のような二大政党間の対立軸がないとこうなります。


 菅義偉首相は官房長官時代の切れ味は鋭かった。しかし、トップに立つのは得意じゃなかったのでしょう。大きな流れを見て方向転換したり、発信の仕方を変えたりできなかった。良く言えば実直、悪く言えば柔軟性が足りなかったと思います。


 国民の幸福のために新首相にぜひ取り組んでもらいたいのは、尊厳死法と離婚法の制定です。私の父が体の自由がきかなくなった際、医師から入所を勧められたのをきっかけに、特別養護老人ホームの実態を調べました。人間がどうやって死ぬべきか。そういった議論も政治がリードすべきです。また、両親が離婚した後、一番の被害者は子どもです。子どもの養育費を払わない父親が多いのが実情です。子どもたちを救うためにも、離婚に関する個別の法律が必要だと考えます。


○長谷川耕造(はせがわ・こうぞう) 1950年、神奈川県生まれ。「ラ・ボエム」「モンスーンカフェ」など都内を中心に複数の飲食店を展開する


(構成/編集部・渡辺豪)


※AERA 2021年10月4号


このニュースに関するつぶやき

  • 次から次へとカタカナ言葉が出て来るもんだけど、近頃はエビデンスですか。それって、カタカナ言葉じゃないと表現出来ないんですかね?
    • イイネ!0
    • コメント 0件

つぶやき一覧へ(1件)

前日のランキングへ

ニュース設定