PC周辺機器メーカーの社員は中古品に手を出さない? その理由とは

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2021年09月28日 09:31  ITmedia PC USER

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連載:牧ノブユキのワークアラウンド(PC・スマホの周辺機器やアクセサリー業界の裏話をお届けします)



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 PC周辺機器メーカーの社員は、基本的に中古品には手を出さない──こうした傾向は、業界内で共通のものとして知られている。「中古品ばかり買われていては、自分達が商売上がったりになる」というメーカー特有の事情も、もちろん少なからずあるだろう。



 しかしどちらかというと理由として大きいのは、いったんユーザーが使った製品は、外観からは見抜けない不具合や劣化を抱えがちだという、日ごろから故障品として送り返されてくる品に接しているが故に知り得てしまう、メーカー社員ならではの知識によるところが大きい。具体的にどのような問題があるのか、例を挙げつつ見ていこう。



●ペットが周辺機器の故障につながるケース



 周辺機器メーカーの修理センターに送られてくる故障品は多岐にわたるが、その中でかなりの割合を占めるのが、家庭で飼われているペットを要因とする品だ。



 これらの中には、機器本体やケーブルをペットにかじられた、尿をかけられたなど、外観や匂いからもすぐ判別がつく不具合もあるが、困りものなのが、ペットの体毛を原因とした故障や不具合だ。



 ペットの体毛は、PCや外付けHDDのように、外から空気を吸って排熱をする機器にとっては天敵で、知らないうちに機器の内部に入り込み、故障の原因となる。これらは分解しない限り、原因が分からないことも多い。大抵は原因不明として送られてきた故障品を分解したところ、内部にびっしりと体毛が入り込んでいた、という形で発覚する。



 これらは不具合を起こしてメーカーの修理センターに送られたことで発覚したからよかったようなものの、中には故障にまでは至らないまま、中古品販売業者に買い取られ、流通するケースも少なくないと考えられる。メーカー社内でそうした故障品を日ごろから見聞きしているメーカー社員が、それらを避けるのは当然だ。



●思ったより発覚しない? タバコによる不具合



 これに近いところで不具合の原因になるのが、タバコだ。タバコの煙の粒子が中に入ることによって、電子機器の故障率は上がる。すぐに故障していなくても、タバコの煙にさらされる環境に設置されていれば、ヤニがショートの原因になったり、ホコリが付着しやすくなったりするのだ。



 例えばHDDにはS.M.A.R.T.(Self-Monitoring Analysis and Reporting Technology)など、健康状態をチェックするツールが用意されているが、タバコのような外的要因による不具合は、実際に起こるまで検知できない。前述のペットの体毛と違い、除去すれば回復するというものでもなく、じわじわと製品を蝕んでいく。



 唯一救いがあるのは、多くの場合、本体に臭いがつくことで、タバコのある環境で使われていたことが見分けられる(嗅ぎ分けられる)ことだが、実際には香水などによって分からなくなっていることも多いし、店頭で透明なフィルムでシュリンクされていたりすると、匂いを確かめるのは困難だ。



 以前ならば、タバコのヤニが付くことで白いボディーが黄色く変化し、外観から見分けることもできたが、最近の周辺機器はボディーカラーは黒系であることも多いので、この見分け方も通用しなくなってきている。さらに最近では、液体電子タバコに含まれるグリセリンという新たな故障の要因も登場しており、状況はかつてより悪化している。



●意外な盲点? 振動による劣化



 そしてもうひとつ、外観から見抜きにくいパターンとして、振動による劣化が挙げられる。



 例えば、スマートフォンをナビ代わりにバイクなどで固定して使っている場合、スマホには繰り返し振動が加わる。これによって内部の回路はガタガタになってしまい、見た目はマトモでも異常が発生する場合がある。最近ではAppleがバイクの振動が与えるiPhone内蔵カメラへの影響について注意喚起している。



 これが水をかぶってしまっただとか、落として変形したといった、外部から見ればすぐに分かる異常ならばいざ知らず、細かな振動が繰り返しかかることで発生する不具合は、プロの目で見てもなかなか分からない。売りに出すユーザー自身、使い方に問題があることに気付いていない場合すらある。



 もちろんメーカーも、開発段階でさまざまな耐久テストは行っているが、それは落下試験や耐熱テスト、さらにヒンジやボタンのような可動部にかかる耐久テストが中心で、こうしたイレギュラーな利用環境が長期間続くことを想定したテストまでは網羅できていない(MIL規格準拠をうたう一部製品など車両搭載を想定した耐振動テストが行われる場合もあるが、そうした製品はまれだ)。アクションカメラのように、もともと過酷な環境で使われる製品でなければなおさらだ。



 プロが見ても分からない以上、ユーザー側が店頭でそれを見抜けるわけもなく、まんまと購入に至ってしまう。実際に使っていても明確に原因が分からないため、正常な製品に不具合が発生しているのではなく、もともと不安定な製品とみなされがちだ。特に持ち歩きが可能なデバイスはこうしたリスクは高い。



●お値段以上に存在するリスク



 このようにPC周辺機器の中古品には、簡易なチェックでは見抜けないものの、実際には不具合が発生する直前だったり、本来のパフォーマンスを発揮できないレベルまで劣化が進行していたりするのに、そのまま流通している製品が数多くある。



 もちろん、こうした中古品を扱っている業者の中には、高い専門性を持ち、こうした予兆を的確に見抜いて弾いているところも少なくない。メーカーの修理センターと違って、複数のメーカーの製品を扱うことから、メーカー以上の経験値を持っている事業者もあるほどだ。



 しかしながら、あまり専門性が高くなく、PC周辺機器に限らず幅広い分野の製品を少しずつ扱っているような中古品販売業者は、前述のようなリスクを見抜くのは、経験値的にも困難だ。ユーザーもユーザーで、専門性の高い中古品販売業者だと問題を見抜かれてしまうことから、わざとこうした店に持ち込んでいる場合もある。



 こうしたリスクがあることを身近に見聞きしているメーカー社員が、中古品に手を出さないのは、もはや必然といっていいだろう。一般のユーザーも、中古品を調達するにあたっては、こうしたリスクはしっかりと認識しておくべきだ。



著者:牧ノブユキ(Nobuyuki Maki)



IT機器メーカー、販売店勤務を経てコンサルへ。Googleトレンドを眺めていると1日が終わるのがもっぱらの悩み。無類のチョコミント好き。


このニュースに関するつぶやき

  • 液晶だと傷や劣化、基盤も煙草のヤニ被害とかありますが最近の中古は通販でも状態の記載が細かくありますし、CPUやメモリー、マザーボードは中古やジャンクでも平気でかってしまいます(;・∀・)ノ�ѥ�����
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