日本代表の招集メンバーはマイナーチェンジ。選ばれないのが不思議なオススメの選手4人

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2021年09月29日 06:51  webスポルティーバ

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 日本サッカー協会は9月28日、カタールW杯アジア最終予選サウジアラビア戦(10月7日)、オーストラリア戦(10月12日)に臨む日本代表メンバー25人を発表した。メンバーに初招集はなし。前回(オマーン戦、中国戦)から小幅な変更にとどまった。

 だが、代表にふさわしい選手、選ばれてもしかるべき選手は他にもいる。スポーツライター4人が候補として推薦する以下の選手たちは、今回も招集されることはなかった。

鈴木優磨(シント・トロイデン)
杉山茂樹(スポーツライター)

 大迫勇也、酒井宏樹、長友佑都。日本代表でスタメンを張るベテラン選手3人が帰国。Jリーグでプレーしているが、パフォーマンスを見ると全盛期より落ちている印象を受ける。それはそのまま補強ポイントに見えるが、中でも一番、代えがきかなさそうな選手は大迫だろう。

 先のオマーン戦、中国戦で、大迫は先発フル出場を果たしている。中国戦では、故障の南野拓実に代わってオナイウ阿道を追加招集したにもかかわらず、森保監督は大迫を使い続けた。けっして好調そうではないベテランのCFが、2試合続けて、しかもタイムアップの笛を聞くまでピッチに立ち続ける姿に、日本の苦しい現状が露呈していた。

 南野、鎌田大地はCFタイプではない。あくまでも1トップ下の候補だ。大迫以外のCF候補は、現状ではオナイウ阿道ぐらいしか見当たらない。古橋亨梧をトップで使うという手もあるが、ポストプレーを得意とするタイプのほうが、日本の現状には適しているように見える。

 そこで浮上するのが、ベルギーリーグのシント・トロイデンに所属する鈴木優磨だ。昨季はチーム1の17ゴールをマーク。だが、それ以上に特筆すべきは、チームで断トツ1位の出場時間になる。2857分という出場時間は、交代の対象になりやすいCFにしては驚くべき数字になる。ベンチの信頼度がうかがい知れる。




 現在25歳ながら、代表歴はない。森保一監督は2018年11月の親善試合(ベネズエラ、キルギス戦)で1度、招集したことがあるが、この時は、鹿島アントラーズの一員として出場したACLで負ったケガのため辞退している。以降、3年近く経っているが、一度もお呼びがかかっていない。森保監督のお眼鏡に適っていないということなのか。不自然、不可解だ。

 動きは若干荒々しいが、相手DFに背を向けながら、ボールを保持するポストプレーは得意だ。キープして時間を作ることができる。日本人離れした強靱な身体が、それを可能にしている。加えて、サイドアタッカーとしての適性もある。これは大迫、鎌田、南野らにはない魅力だ。多機能的なので、代表チームには本来、欠かせないタイプの選手になる。

 ゴールを決めるや、クリスティアーノ・ロナウドと同じパフォーマンスをする。従来の日本のセンタープレーヤーにはない、ノリのいい突き抜けた感覚を備えている。この原稿を書いているいま、ノッティンガム・フォレストへの移籍話も浮上しているという。見逃せない選手であることに変わりはない。

瀬古歩夢(セレッソ大阪)
小宮良之(スポーツライター)

 代表のCBは、吉田麻也、冨安健洋の2人で不動だろう。日本サッカー史上最高のCBコンビと言えるかもしれない。世界的に見ても堅牢さを誇るCBだ。しかし、そのバックアップは定まっていない。

 瀬古歩夢(セレッソ大阪)は、有力な候補と言えるだろう。右利きだが、左のセンターバックを得意とする。相手のプレスで左に追い込まれた時、それを裏返すように逆サイドの奥に送るロングキックはスペクタクルだ。

 パワーを感じさせる守備者で、外国人FWと対峙しても一歩も引かない。身長(183cm)はそこまで高くないが、跳躍に優れ、落下点を見極める目も持っているだけに、競り勝てる。持ち場を守れるという点で、信頼に足る選手だ。

"守りありき"だったミゲル・アンヘル・ロティーナ監督のもとで、最も成長した選手のひとりと言えるだろう。守りのロジックが浸透する中、実戦で鍛錬することができた。マテイ・ヨニッチ(現・上海申花)という相棒を得たこともあって、正しい守備の感覚によって、本来の力を引き出されていった。

 しかし今シーズン、レヴィー・クルピ前監督の就任によって守備戦術が薄まったこともあって、その成長は停滞した。守備の基準があいまいになってしまった。バックラインの相棒が変わったり、3バックになったり、という環境の変化もあった。

 もちろん瀬古本人も、変化に適応できなかったのは課題だろう。ポテンシャルは高いものの、まだまだ周りの影響を受けやすく、その能力を90分間どの試合でも出せる、という安定感がない。その点で、吉田、冨安の足元には及ばないだろう。修羅場をくぐり抜ける必要はある。

 とは言え、3番手の座を狙うべきCBであることは間違いない。森保一監督も東京五輪代表のメンバーには選出していた。ポテンシャルを高く評価しているのだろう。ただ、五輪で出場がなかったのは、何らかの理由はあるはずだ。

 不調で戦い方が定まらないセレッソで、瀬古が強い存在感を示すことができたら、次のステージに進むことになるだろう。彼自身が守備の形を作れるか。それができたら、欧州移籍にもつながる可能性は高い。吉田、冨安を例に出すまでもなく、異なる優れたアタッカーと日常的に対峙することで、CBは強靭に鍛えられるのだ。その時、瀬古が2人に匹敵する選手になっていても不思議ではない。

吉田豊(名古屋グランパス)
中山 淳(サッカージャーナリスト)

 現在の日本代表で、最も選手層の薄いポジションは左SBだ。9月のW杯アジア最終予選2試合の左SBで先発したのは、2008年に代表デビューした35歳の長友佑都だった。

 目下127キャップを誇る大ベテランの控えとしてメンバー入りしたのは、ボランチやCBもこなす万能型の中山雄太(ズヴォレ)と、所属のサンフレッチェ広島で3バックの一角でプレーする佐々木翔の2人で、いずれもSBが本職の選手ではなかった。森保一監督が3バックをほとんど採用しないことを考えても、4バックの左SBを本職とする選手をメンバーに加えていないことが不思議でならない。

 そんななか、Jリーグを見渡せば、代表に招集されてしかるべき本職の左SBがいる。現在マッシモ・フィッカデンティ監督のもと、森保ジャパンと同じ4−2−3−1を基本布陣とする名古屋グランパスで、不動の左SBとして高いパフォーマンスを持続している吉田豊だ。

 高卒ルーキーとしてヴァンフォーレ甲府でデビューした吉田は、積極的な攻撃参加を武器とする鉄砲玉のような左SBとして頭角を現すと、甲府のJ2降格を機に攻撃サッカーを標ぼうするアフシン・ゴトビ監督率いる清水エスパルスに移籍し、攻撃センスをブラッシュアップする。その後はサガン鳥栖に活躍の場を移し、2年目からはフィッカデンティ監督のもとで持ち前のハードなマークで守備能力を向上させ、国内屈指の左SBへと成長を遂げた。現在の名古屋での無双ぶりを見るにつけ、いまこそがキャリアの充実期にあると言っても過言ではない。

 年齢は佐々木と同じ31歳で、長友の4歳下。近年の傾向から言っても、決して衰えるような年齢ではない。実際、今シーズンもここまで全31試合でスタメン出場を果たし、86分で途中交代した第23節の横浜FC戦を除けば、すべての試合でフル出場。しかも、ACLでもプレーしているため、唯一欠けていた国際経験もプラスされ、代表の一員としてアジア予選を戦う準備が整ったと言える。

 これだけの戦力を一度も試さないのは、まさに宝の持ち腐れ。吉田の代表初招集は、あってしかるべきだと思われる。

荒木遼太郎(鹿島アントラーズ)
浅田真樹氏(スポーツライター)

 新型コロナウイルスの感染拡大はサッカー界にもさまざまな形で影響を及ぼしているが、なかでも"甚大な被害"を被ったのが、育成年代の世界大会だ。

 今年開催予定だったU−20ワールドカップは中止となり、そのアジア予選を兼ねたアジアユース選手権も合わせて中止が決まった。現在Jリーグでプレーする19、20歳の選手にとって、こうした大会で同年代の世界レベルを実感することが、その後の成長につながるはずだったが、せっかくの貴重な国際経験の場が失われてしまったわけだ。

 たとえば、現在日本代表でCBを務める冨安健洋にしても、2017年U−20ワールドカップに出場。海外勢を相手に試合を重ねるごとに成長していく様を見て、その後の成長を大いに期待させたものだ。

 しかしながら、こうなってしまった以上、U−20世代を刺激する策がほしいところ。このまま放っておけば、"ロストジェネレーション"などということにもなりかねない。

 そこで、荒木遼太郎(鹿島アントラーズ)の日本代表招集である。まだU−20ワールドカップの中止が決まっていなかった昨秋、U−19日本代表キャンプでの練習試合を見ていても、荒木は同年代の選手のなかで際立った余裕や落ち着きを見せていた。風格や貫禄と言い換えてもいい。それほどに彼のプレーぶりは別格だった。

 だとすれば、もはやU−20代表の枠には収まらない選手を上のカテゴリー、すなわちA代表に加えることは、それほど不自然なことではないはずだ。

 もちろん、将来性だけを理由に、下駄を履かせて荒木を招集すべきだと言っているわけではない。今季のJ1を見ても、荒木はすでに9ゴールを挙げており、鹿島の攻撃に欠かすことのできない存在となっている。国内組のひとりとして、日本代表に選出されても不思議のない実績を残している選手だ。

 現在、鹿島では主にトップ下を務めるが、流れに応じてサイドにも中央にもポジションをとることができ、幅広くプレーに絡むことができる。単なるチャンスメイカーにとどまらず、確実にフィニッシュにも絡もうとする意識が、ゴール増につながっているのだろう。

 日本代表の2列目は激戦区であり、しかもタイプの異なる多彩な顔ぶれが揃っている。タイプ的に言えば、鎌田大地や南野拓実といった選手が、荒木が超えるべき存在になるのだろうが、現時点で言えば、すぐにポジションを奪い取ることは難しいだろう。

 だが、そもそも招集されたメンバー全員が最終予選のピッチに立てるわけではないのである。たとえ即戦力ではないとしても、伸び盛りの20歳を日本代表に加えることは、荒木個人に限らず、同世代全体にとって大きな刺激となるに違いない。東京五輪代表監督を兼務した森保一監督なら、その効果のほどはよくご存知だろう。

 明らかにU−20レベルを超えたプレーを見せる20歳の抜擢は、決して意外なことではないはずなのである。

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