ISSEIがパリ五輪で目指すのは金以上のやばい存在。「多くの金メダリストがいる中で一番目立つ」

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2021年09月29日 11:02  webスポルティーバ

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 日本人初にして、史上最年少の19歳で「Red Bull BC One World Final」で優勝するなど、世界の頂点に5度立っているブレイクダンサーのISSEI(イッセイ)。彼はパリ五輪で正式採用された新競技「ブレイクダンス」で、日本の強化指定選手に選ばれている。

 Dリーグに参戦しているKOSÉ 8ROCKS(※)のディレクター兼ダンサーとして活躍する傍ら、パリ五輪への出場を目指すISSEI。金メダルも期待される彼に、パリ五輪への思いを聞いた。
※有名ブレイクダンスチームからメンバーを集めたDリーグ唯一のブレイクダンスチーム

「僕が出場できたら、全力で金メダルを狙います。今Dリーグに参戦している目的もブレイキン(ブレイクダンス)を広めたいという思いがあるのですが、僕がオリンピックを目指しているのは、それが一番強いですね。

 Dリーグの認知度はまだまだだと思っているんですが、オリンピックは知らない人がいないと思うんです。そこでブレイキンが採用されたこと自体が、本当にすごいことだと思っています。パリ五輪を通して、ブレイキンを始める人が増えてほしいなと思っています」

 パリ五輪での目標を金メダルにおいて日々技を磨くISSEI。しかし彼の目標はさらに上にあるようだ。

「僕は金メダルを目指していますが、金メダル以上の、『めちゃめちゃやばかった』という存在を目指しています。多くの金メダリストがいる中で一番目立つ金。テレビのニュースで言えばトップニュース、雑誌でいえば表紙を飾る選手ですね。

 パリ五輪が終わった時に、大会を象徴するシーンで必ず僕が使われるように、今は頑張っています。それから僕はまだ24歳なので、今後も採用されるのであれば、7年後のロス五輪も視野に入れたいと思っているんですよ。本当にチャンスだと思っているんです」

 五輪で行なわれるあらゆるスポーツの中で、最も注目を集める選手になるためには相当なインパクトを与えなくてはいけない。その自信はこれまで5度世界の頂点に立ったという実績から来るのだろう。ISSEIはそれを達成するために今大切なことをこう答えた。

「今、ブレイキンは40代が熱いんです。それを見て年齢のピークはないなと学んだし、今まさに一生懸命やっている人が本当に強く、うまくなれるんだなと思いました。だから、とてもシンプルで当たり前のことなんですが、とにかく一生懸命になろうと思っています。すべてを忘れて集中する。僕はチャンスをもらっているので、それに向けて一生懸命に取り組みます」

 ISSEIの口から出た『一生懸命』は、生半可な気持ちではない。『一生懸命』の意味には、「物事にひたむきに取り組むこと」から「命がけでことにあたる」まで幅広いが、ISSEIの思いは後者に近い。短いスパンで1つのショーケースを作るDリーグで、ディレクター兼ダンサーとしてチームを引っ張りつつ、自らのレベルアップも図っていく。それがどれだけ過酷なことであるかは、容易に想像できる。

 そんな中でも五輪の舞台で金メダル以上の存在を目指すISSEI。その夢の実現のために必要なことを聞くと、意外な言葉が突いて出た。

「勝ち上がるためには、周りに人がいることがとても大切だと思います。家族、仲間、そしてオーディエンスもですね。それが全部つながって一つの空間ができている。周りからよく『ISSEIが1人で海外に行った時って、めちゃ調子悪いよね』って言われるんですね(笑)。

 理由はわかっているんです。優勝した時は、母親が見に来てくれた時とか、周りに家族や仲間、そして冷静に指示してくれる人がいるなど、しっかりとコミュニケーションを取れる環境が整っていました。パリ五輪で勝ち上がるためには、それがとても重要だと感じています」

 地元福岡で6歳からブレイクダンスを始めたISSEI。そこでキッズブレイクチーム「九州男児新鮮組」のリーダーを務め、中学からは東京のダンスチーム「FOUND NATION」のメンバーに入る。これまで常に尊敬できる先輩がいて、一緒に切磋琢磨できる仲間がいた。そんな人たちがいたからこそ成長できたとISSEIは確信している。

 ISSEIが所属するFOUND NATIONは日本でも指折りの強豪チームで、2016年には「Freestyle session World Final」の3vs3で世界一に輝いた実績を持つ。ISSEIはこのチームの特徴をこう語る。

「B-BOY(ブレイクダンスをする男性)には、一匹狼の人がいたり、シャイな人がいたり、すごくこだわりが強い人、たとえば『それは違うっしょ』『それ、だせえっしょ』という人が結構います。でもFOUND NATIONには『楽しいことしようよ』という気さくな感じの人が多いですね。僕はチームの先輩から伝統やカルチャーを受け継いできているので、トラディショナルなものもやるし、偏った意見はないですね」

 そんなFOUND NATIONには、ISSEIにとって掛け替えのないメンバーがいる。
 
「KOSÉ 8ROCKSにも所属している、Ryo-spin(リョウスピン)は、3歳から友達なんですよ。九州男児Jr.もその2人から始まったんです。チームも組んでいたし、毎日顔を合わせていたので、弟より会っている時間は長かったですね(笑)。ライバルだったこともあり、高校の頃はすごく仲が悪かったんですが、今は僕の家で動画を見ながら、二人で手を組んで、『これからは二人で2on2に出ようぜ』ってエモイことやってます(笑)。そんな仲間たち一人ひとりが僕にとっては大切なんです」

 親友のRyo-spinをはじめ、FOUND NATIONのメンバーたちはその高いコミュニケーション力を生かして、YouTubeチャンネル「FLAVA JAPAN」などを通して、ブレイクダンスを楽しく知ってもらう活動を続けている。その一役を担うISSEIに、まだブレイクダンスを知らない人たちに向けメッセージをもらった。

「まず、好きなキャラクターを見つけてほしいですね。ブレイクダンサーは、それぞれ少しずつ特徴が違っていて、KOSÉ 8ROCKSの中でも、ゲームみたいにキャラクターがいっぱいいるんですよ。スピードがある人、テクニックがある人、パワーがある人......。全員違う顔があるので、その中で一人か二人、好きなキャラクターを見つけてほしいんです。

 技名は知らなくてもいいです。KOSÉ 8ROCKSはブレイキンというイメージを覆すようなショーケースをいっぱい作ってきたし、これからも作っていこうと思っていますので、まずはそれを見てほしいです。面白いなと思ってくれたら、検索してみてほしい。

 そして、このダンスが好きだと思ったら、少し真似してみると楽しいと思うんです。恥ずかしいなと思うこともあると思うんですけど、その恥ずかしいと思う気持ちを外させてあげるのが、僕らの役目かなと思っています」

 Dリーグ、そしてパリ五輪に向けて日々研鑽を積むISSEI。彼の真の目的、ブレイクダンスを広めるために、今まさに「一生懸命」にダンスをしている。

■前編はこちら>>

【Profile】
ISSEI(イッセイ)
1997年6月1日生まれ。福岡県出身。6歳からダンスを始め、2012年には世界大会のうちの1つである「R16 KOREA」のソロ部門で優勝し、その後3連覇を果たす。2016年には日本人初の「Freestyle Session World Final」優勝、世界最年少での「Red Bull BC One World Final」優勝という偉業を成し遂げた。2020年には公益社団法人日本ダンススポーツ連盟(JDSF)ブレイクダンス本部の強化指定選手に選出。現在はプロダンスリーグ「第一生命 D.LEAGUE」に出場中の「KOSÉ 8ROCKS」のディレクター兼選手として活躍中。初年度のシーズンではMVDとMOST FAV DANCERの二冠を達成した。

◆インスタ「KOSÉ 8ROCKS」>>
◆インスタ「ISSEI」>>

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