感染を恐れて「自主休校」する子どもが増加 親から「学校に居場所がなくなるかも」不安の声も

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2021年09月29日 11:30  AERA dot.

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写真全国の小中学校のほとんどでオンライン学習の環境は整っている。しかし、実際に端末をどう活用するかは自治体や学校ごとに異なる(撮影/編集部)
全国の小中学校のほとんどでオンライン学習の環境は整っている。しかし、実際に端末をどう活用するかは自治体や学校ごとに異なる(撮影/編集部)
 新型コロナウイルスへの感染を懸念し、夏休み明けから「自主休校」する子どもたちが増えた。感染拡大が長期化するなかで、学習面だけでなく友人関係の変化などを心配する声も上がる。AERA 2021年10月4日号の記事から。


*  *  *


 8月下旬、東京都内に住む女性(39)の小学1年の長女がこうつぶやいた。


「学校に行きたくない」


 理由を聞くと、「学校でコロナにかかって、ママのおなかの赤ちゃんにうつしたらどうしよう」と泣き出した。新型コロナウイルスに感染した千葉県内の妊婦が数日前、入院先が見つからずに自宅で出産し、新生児が亡くなった。そのニュースを見て怖くなったという。女性は学校に相談し、9月1日の始業式から「自主休校」を続けている。


 長女の学校では、オンライン授業は実施されていない。女性は授業の進度を担任に確認し、長女の学習を進めている。自主休校中も連絡帳や宿題の提出はしなければいけない。女性は毎朝、クラスの友だちの自宅前で待ちかまえ、学校に届けてもらう。その子の母親と顔を合わせるたびに、「登校させないなんてかわいそう」「神経質な家庭」と思われているのではと考えてしまう。


■居場所がなくなる不安


 長女は友だちや先生との関わりが持てず、学校に居場所がなくなってしまうのでは、と不安も抱いているようだ。出産予定日は10月上旬。出産後も赤ちゃんへの感染が怖いし、登校再開のタイミングが難しい。


「9月2週目までは長女のほかにも数人が自主休校をしていたみたいですが、今は長女1人。あと1〜2カ月もこのままでいいのか悩んでいます」


 7月下旬からの「第5波」ではデルタ株が主流となり、子どもにも感染が拡大した。8月下旬の10代以下の新規感染者数は1カ月前と比べて5倍以上。感染への不安から、夏休みが明けると自主休校を選ぶ家庭が増えた。


 千葉県内に住む女性会社員(35)もその一人。ぜんそくがある夫(36)と自分のワクチン接種が済んだら、小学2年の息子の登校を再開させる予定だ。


「ママ友から『子どもは重症化リスクが小さいのに気にしすぎだ』と言われたけど、親が感染して働けなくなったり亡くなったりする事態は絶対に避けたい」


 日本マネジメント総合研究所理事長の戸村智憲さん(46)も、小学2年の長男を夏休み明けの8月26日から休ませている。



「感染や重症化の低年齢化と医療の逼迫(ひっぱく)で、いざというときに入院できない可能性があるので、看護師である妻と長男と3人で話し合って決めました」


 9月上旬に、学校から児童が感染したとメールが届いた。「やっぱり危惧していたとおりになった」と思った。


 長男が通う都内の小学校ではタブレットとWi‐Fiに接続する機器が各児童に配布されたが、授業のオンライン配信などはない。そのため、戸村さんは仕事の量を減らし、長男の勉強を見ている。スマホの効果音アプリを活用してクイズ形式で問題を出すなど、工夫を凝らす。家の手伝いや学区内を歩いて避難ルートを確認するなど、国語や算数以外の学びも意識する。戸村さんは言う。


「息子の思いに合わせて工夫しながら家庭内でも教育を継続し、息子も楽しんでくれています。ただ、友だちとの関わりがなく、自主休校が長期になればストレスのケアも必要になる。いつ登校を再開させようかと悩み続けています」


■オンライン授業で出席


 自主休校は原則、感染が不安で登校しない場合は「欠席」ではなく「出席停止」扱いとなる。文部科学省が昨年6月、通知を出した。だが、例外的に「出席」とする自治体もある。熊本市では、授業のライブ配信などを受ければ「出席」になる。同市の遠藤洋路教育長は言う。


「今までは学校に来て学ぶことだけが学校教育とされてきましたが、コロナを機に常識が打ち砕かれ、学びの選択肢が増えました。学校の外からも授業に参加できる環境が整えば、登校することだけが出席ではなくなります」


 同市はかつてICT整備率が全国最低レベルだったが、2016年4月の熊本地震後に学校のICT化を推進。昨年は、全国一斉休校の時点で3人に1台の端末を各校に導入していた。それらを家庭にパソコンやスマホなどがない児童生徒に貸与し、4月半ばから全公立小中学校でオンライン授業を実施した。


「最初は決まった時間にあいさつし、健康観察をすることから始まりました。子どもたちが学校とのつながりを保てたことが大きかった」(遠藤教育長)


 現在は熊本市だけでなく、全国ほとんどの小中学校でオンライン学習の環境は整っている。国のGIGA(ギガ)スクール構想で、1人1台の端末が配布されているからだ。だが、自主休校の子どもたちへの対応は自治体や学校ごとに異なっている。


 教育学者の末冨芳・日本大学教授(教育行政学)は言う。


「オンライン授業への対応は自治体間格差が大きく、保護者と子どもの不安も引き起こしています。子どもたちの学びを保障し、つながりを守るために、できることから始めることが必要です」


(編集部・深澤友紀)

※AERA 2021年10月4日号より抜粋



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  • 『なんていうか形容する言葉が見当たらん…』https://bit.ly/3iEziw9戦中の学徒動員と同じ風景exclamation ��2 本当に歴史は繰り返す。今は戦時下だと言う事実を再確認すべし!
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