公明党幹事長「18歳以下に10万円」バラマキ批判に反論 創価学会との“新選挙運動”で800万票復活を目指す

17

2021年10月18日 08:00  AERA dot.

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

AERA dot.

写真公明党の石井啓一幹事長(撮影/戸嶋日菜乃)
公明党の石井啓一幹事長(撮影/戸嶋日菜乃)
 岸田文雄首相は総選挙の勝敗ラインを「与党で過半数」と述べた。そのためには公明党との選挙協力が鍵となるが、2017年衆院選では公明党の比例票が初めて700万票を割った。コロナ禍で支持母体である創価学会の選挙運動も制約を受けるなか、票の上積みは簡単ではない。また、公明党が公約で掲げた「18歳以下に10万円給付」はバラマキではないかとの批判も上がる。公明党は総選挙をどう戦うのか。そして岸田政権とはどのような連立の形を目指すのか。幹事長の石井啓一氏に聞いた。


【写真】創価学会婦人部の怒りをかって議員辞職した公明党議員はこの人
*  *  *
――自民党総裁選は岸田文雄首相が選出された。公明党の理念とは距離がある候補者もいたなかで、岸田首相で安心したところもあるのでは。


 自民党の総裁選なので、われわれが良い、悪いという話ではない。岸田首相が選出されたということは自民党は「安定」を選んだのだろう。候補者の中では最もオーソドックスだった。基本的には、軽武装、経済重視の宏池会の流れにはなっていくのだろうと思う。


――公明党が目指す社会は安倍晋三元首相の清和会よりも、むしろ宏池会に近いはず。安倍−菅政権時代とは連立のあり方も変わるのでは。


 安倍−菅政権時代の政高党低から、岸田政権では党高政低になるのではとも言われている。そうなれば、官邸の意向とは異なる政策が出てくる可能性もある。岸田首相は軽武装、経済重視の路線かもしれないが、自民党全体がそうなるかはわからない。


 10月で自公が連立を組んで丸22年になる。その間、民主党政権の3年3カ月を除いてずっと一緒にやってきたので、首相が変わっても連立をうまく進める方法はお互いにわかっている。政策決定のプロセスをしっかりすること、選挙協力をしっかりやるという二つの軸は変わらない。


――自民党は衆院選の公約で、防衛費を国内総生産(GDP)の「2%以上も念頭に増額を目指す」と打ち出した。防衛費を倍増させるという内容だ。これに対して、山口那津男代表は「国民の理解は得られないと思う」と記者団に語っている。岸田首相自身も「敵基地攻撃能力」や自衛隊明記を含めた「改憲4項目」には前向きだ。このあたりは公明党は与しにくいのでは。




 自民党の公約については、選挙後に、経済対策を策定して補正予算を組む段階で協議すべきことだ。ただ、防衛費を現在の2倍以上にするのは財政事情からみても現実的ではない。アドバルーンというか、今後は防衛力の強化も視野に入れる「姿勢」を示したということだろう。


 敵基地攻撃に関しては、昭和31年(1956年)の鳩山一郎内閣で「他に手段がない場合」は敵基地への攻撃も自衛の範囲であるという見解が出ており、歴代内閣もそれを引き継いでいる。とはいえ、日米安全保障でアメリカが「矛」の役割を担っている状態では、日本が敵基地攻撃能力を持つ必要はない。これまでの政府見解と整合性が取れるのかを見極め、日米安保の役割分担をどうしていくかを同時に議論すべきだ。


 憲法については、われわれも時代に沿った条文を付け加えることは賛成している。ただ自衛隊は国民がすでに合憲だと認める存在であり、あえて9条で位置づける必要はない。憲法改正は、自公間で協議するのではなく、与野党が憲法審査会で議論を重ねて、国会で発議するものだ。事実上、野党第1党が反対している改正案を発議することは難しいだろう。


――菅義偉前首相は官房長官時代から、創価学会の幹部と太いパイプがあるとされた。岸田政権になり、公明党の支持母体である創価学会が官邸とのパイプを失ったことは痛手では。


 22年間の連立政権のなかで、そうした関係があったことの方が異例だ。学会幹部が今の岸田政権とパイプがあるかはわからないが、(公明党の)代表と岸田首相、幹事長と甘利幹事長・松野官房長官、国対委員長同士など、司ごとにカウンターパートで意思疎通を図っていくことが重要だ。


――総選挙について聞きたい。公明党は18歳以下の子ども全員に10万円相当を給付することを公約で掲げている。これだと富裕層でも子どもがいれば一律で支給され、生活困窮者には届かないのではとの指摘がある。所得制限を設けずに、18歳以下と年齢で区切ったのはなぜか。




 われわれの「未来応援給付」は、長引くコロナ禍から子どもたちを守り、次世代の育成に寄与するという目的がある。所得制限を設けると、子どもたちの間に「分断」が生じる。それは避けるべきだ。親への支給ではなく、あくまで0歳〜高校3年生までの未来を支える子どもたちへの投資だ。


――とはいえ、最初に10万円が渡るのは親なので、貯蓄されてしまい消費には回らない懸念もある。単なるバラマキなのでは、との指摘もある。


 「10万円相当」なので、現金に限っているわけではなく、ポイント制や教育バウチャーでの給付も検討している。バラマキというのは、目的もなく選挙で票を集めるためだけに税金を使うことだ。次世代の育成という明確な目標がある「未来応援給付金」は、バラマキとはまったく違う。


――こうした「分配」重視の政策は、岸田政権の経済政策と似ており、自民党との違いを出しにくいのではないか。公明党の存在感がうすくなっているとの声もある。


 自民党はあくまで保守政党で公明党は中道政党、支持基盤もまったく違う。公明党の特徴は、国会議員、地方議員合わせて約3000人の緊密なネットワークがあり、現場と非常に近い政党だということ。そこから細かい声を拾い上げて、政策に反映できることが他党にはない強みだ。自民党との違いは明確にあるので、それを無理に強調する必要はない。むしろ、岸田政権と経済政策が似ていることは“相乗効果”となり、より大きな効果が狙えると考えている。


――2017年の総選挙では、公明党の比例票が700万票を割った。次の衆院選での得票目標は800万票としているが、石井幹事長も記者会見で「厳しい現状にある」と答えている。どうやって100万票を上積みするのか。


 まず事実関係からいうと、公明党の得票率が下がっているわけではない。毎回、12〜14%で推移している。17年衆院選は得票率は12・5%だったが、全体の投票率が53・7%と低かったので、比例票は697万票と伸び悩んだ。12年の衆院選は得票率は11・8%と少し低調だったが、投票率が59・3%と高かったので比例票は711万票だった。つまり、比例票は選挙の投票率に左右されるという前提がある。




 その上で、コロナ禍では伝統的な選挙活動である、大規模集会や一対一の対面依頼ができなかった。その代わり、SNSや動画配信、オンライン会合などをやっており、公明党と創価学会の意識も相当変わった。だが、それがなかなか数字に結びつかない部分もある。あと2週間の選挙戦では、積極的に訪問などを増やしていき、アナログとデジタルを合わせたバイブリッドな選挙活動をしていきたい。


――今回の衆院選は「政治とカネ」の問題も争点になりそうだ。公明党の斉藤鉄夫副代表が出馬する広島3区は、大規模買収事件の舞台となった前法相・河井克行被告の選挙区。公明党も「政治とカネ」の説明は果たしていくべきでは。


 もちろん説明が求められれば、一人一人に丁寧に説明していき、マスコミにも、その都度回答していく。


――財務省の公文書改ざん事件、「桜を見る会」問題、自民党本部から河井陣営に支出された1億5000万円の使途などについて、公明党から自民党に再調査や説明を要求するアクションを起こしてもいいのでは。


 公文書改ざん事件は財務省、「桜を見る会」は安倍晋三事務所、1億5000万円は自民党と、それぞれ説明責任を果たす主体ははっきりしている。公明党から言われるまでもなく、それぞれの主体が自ら責任を持って説明すべき問題だ。


――公明党からアクションを起こすことは?


 特にない。


――では公明党は「政治とカネ」の問題にどうケジメをつけるのか。


 当選無効となった国会議員の歳費返還を義務づける法改正を進める。河井案里氏が当選無効になった後も歳費や文書交通費が全額支払われたことには、国民から強い批判があった。それに対して、相当の割合を返納させることができる法律に改正することを8月末に自民党と合意した。総選挙後、法改正を進めていくことになるが、これがひとつのケジメになると思っている。


――8月には、貸金業法違反容疑の関係先として、東京地検特捜部が、公明党衆院議員2人の議員会館事務所を家宅捜索したこともあった。




 これは公明党の議員や秘書が直接の被疑者となっているわけではない。あくまで関係先だ。検察の捜査の話なので、われわれは全面的に捜査に協力していくだけだ。


――広島3区の斉藤氏に関しては、比例代表との重複立候補が検討されていると報じられた。公明党はこれまで重複立候補はさせず、小選挙区で落選したら比例復活はできない形を取ってきたが、なぜ斉藤氏だけ「例外」とすることが検討されているのか。


 広島3区は前代未聞の大規模買収事件の舞台となり、政治不信が高まっている選挙区だ。斉藤さんは、あえて火中の栗を拾うような形で立候補に踏み切った。衆院選は政権選択選挙だ。斉藤さんは公明党のみならず、与党代表候補という位置付けでもある。通常の小選挙区とは異なる尋常ならざる事態だ。だが、最終的にどうするかはまだ決まっていない。


――自民党との連立が長くなるほど、選挙運動に奔走する創価学会員との「距離」も指摘されてきた。公明党議員が“エリート”になり、市井の学会員が望む平和主義や福祉の精神を忘れているのではないかと。今年1月には緊急事態宣言中に公明党議員だった遠山清彦氏が、銀座のクラブを訪れて議員辞職するという不祥事もあった。創価学会員の心が離れている可能性はないか。


 遠山くんの件は、経緯はいろいろあったにせよ、脇が甘すぎたとしか言いようがない。われわれはそれを反面教師にしなくてはならない。不祥事を起こした議員もいるが、大半の議員は真面目にやっている。心配には及ばない。


 学会員との“距離”という点では、平和安全法制で集団的自衛権をめぐる議論の中で、学会員の方から「今までの公明党の路線と違う」と声が上がったことはある。だがこれも、ごく部分的な集団的自衛権の行使であり、公明党が武力行使の「新三要件」をつくって抑止力になったことを丁寧に説明したら、わかってくれた。私も何回も説明会を開いたが、最後には「そうか」と納得してくれた学会員の方が多かったように思う。


――では、今は学会員との心の距離はない、という認識か。


 「今は」でなく、「今も」ないということだ。(構成=AERA dot.編集部・作田裕史)


このニュースに関するつぶやき

  • 縛りを設けるなexclamation ��2����18歳以下にͭ��10万円の大金を渡したら親が預かるexclamation ��2と言うよ。
    • イイネ!3
    • コメント 0件
  • 宗教法人税を作れ!
    • イイネ!23
    • コメント 6件

つぶやき一覧へ(15件)

前日のランキングへ

ニュース設定