【F1第16戦無線レビュー(1)】「ミディアムで行こう!」タイヤ交換時にギャンブルに出たベッテル

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2021年10月18日 15:51  AUTOSPORT web

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写真2021年F1第16戦トルコGP セバスチャン・ベッテル(アストンマーティン)
2021年F1第16戦トルコGP セバスチャン・ベッテル(アストンマーティン)
 2021年F1第16戦トルコGPの日曜日は朝から雨が降り続き、ウエットコンディションでのレースとなった。難しいコンディションのなか、序盤は角田裕毅がルイス・ハミルトンを抑える走りを見せた。レースの折り返しを過ぎると各車タイヤ交換へ向かうが、ここで唯一セバスチャン・ベッテルはミディアムタイヤへ交換するというギャンブルを選択したのだった。トルコGP前半を無線とともに振り返る。

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 トルコGP決勝当日は、朝から雨が断続的に降り続いた。スタート前には雨はほぼ止んだものの、灰色の雲が垂れ込めたままだ。さらに気温15度、路面温度18度という低温コンディションもあって、コースはほとんど乾かず完全ウエット路面。各ドライバーはグリッドに向かうレコノサンスラップで、路面コンディションの確認やマシンバランス調整に追われた。

ウィル・ジョゼフ:ランド、バランスはどうだい?
ランド・ノリス:スナッピー(オーバーステア)だね

ピエール・ガスリー:ちょっと霧雨が降っているよね?
ピエール・アムラン:そうだね。でもこれ以上の降りはない。ただ路面は、この状態が続きそうだ

 全20台が、浅溝のインターミディエイトタイヤを装着してレーススタート。ターン1でガスリーにアウトから被せられたフェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)は、接触しコースオフ。5番手から17番手へと、大きく順位を落としてしまう。

アロンソ:なんてバカなヤツだ、ガスリーは!
ガスリー:サンドイッチにされたんだ!

 ガスリーは2台に挟まれて不可抗力だったことを、担当エンジニアのピエール・アムランにアピールしたが、5秒のタイムペナルティを取られてしまった。幸いマシンにダメージはないようだ。

アムラン:大丈夫だ、ピエール。タイヤをいたわって、できるだけ周回を伸ばそう

 一方、12番手からひとつ順位を上げたエステバン・オコン(アルピーヌ)は、すぐ前のセバスチャン・ベッテル(アストンマーティン)を追撃しようとして軽く接触したようだった。

オコン:ベッテルとヒットした。大丈夫だと思うけど、フロントウイングをチェックしてくれ
ジョシュ・ぺケット:わかった。確認する

 心配された本格的な降雨はなかったが、路面はなかなか乾きそうにない。それでもランス・ストロール(アストンマーティン)は、スタート直後からインターミディエイトの劣化に苦しんでいた。

ストロール:タイヤのオーバーヒートがひどい!

 レース序盤の最大の見せ場は、11番グリッドからスタートしたルイス・ハミルトン(メルセデス)の猛攻を角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)が防ぎ続けたことだった。ハミルトンがようやく前に出たのは、8周目だった。

ピーター・ボニントン:いいぞ、ルイス

 その後のハミルトンはストロールをあっさり抜き、6番手のノリスに迫る。

ボニントン:ノリスはストレートでは遅いぞ

 その指示通り裏ストレートで追いつき、ターン12で抜き去っていった。

 首位を走るバルテリ・ボッタス(メルセデス)は慎重に路面コンディションを見極めつつ、マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)との差をジリジリと広げていた。

ボッタス:まだ全然ドライパッチもないし、ラインもできていない

 先行車や自らのマシンが上げる水しぶきで、ニキータ・マゼピン(ハース)は後方視界の悪さを訴えた。

マゼピン:ミラーが全然見えない。誰か迫って来てたら教えてくれ
小松礼雄エンジニア:ミックが近づいてる

 ハミルトンは5番手セルジオ・ペレス(レッドブル・ホンダ)を追うが、12周目以降インターミディエイトの劣化を訴え始めた。

ハミルトン:路面はまだ全然ウエットだ。でもタイヤはだいぶ落ちている
ハミルトン:右のイン側の溝がなくなっている。他に誰かタイヤの文句を言ってる?
ボニントン:言ってるよ

 20周目、トム・スタラードがダニエル・リカルド(マクラーレン)にタイヤの様子を尋ねた。

スタラード:新しいインターにしたら、どれくらい速く走れそう?
リカルド:それなりかな

 リカルドはその直後にピットイン。真っ先に新品インターに履き替えた。しかしペースが思ったほど伸びない。マルコス・パドロスがシャルル・ルクレールに、こう伝えた。

パドロス(→ルクレール):新しいインターは遅いぞ

 リカルドのペースを見て、多くのドライバーがそのまま走り続けることを選択した。

リカルド・ムスコーニ:ペースはいいから、このまま長く行くぞ
ボッタス:溝はほとんどなくなってるけどね

 それでも中盤にはさすがにタイヤも限界を迎え、34周目のノリスを皮切りにドライバーたちは次々に新品インターに履き替えた。そんななか、ベッテル陣営だけは違う判断を下した。

クリス・クローニン:そろそろピットに向かうぞ。ハード、いや、ソフトで行くか
ベッテル:ミディアムだ。それで行こう!

 ライバルたちが全車インターに履き替えるなか、36周目にピットインしたベッテルだけはミディアムを選択した。しかしレース復帰してすぐに立て続けにコースオフ。スリックでは運転不能なことを思い知ることになる。

ベッテル:全然だめだ
クローニン:わかった

 たまらず次の周に再度ピットインしたベッテルは、19番手まで後退してしまった。

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(2)に続く
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