「中学受験は大変だから小学校受験させたい」4歳児のママ 矢萩邦彦&安浪京子のアドバイスは?

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2021年10月18日 19:05  AERA dot.

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写真写真はイメージ (c)GettyImages
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「詰め込み」「偏差値」というイメージが強い中学受験。「受験のための勉強は子どもの将来に役に立つの?」「難易度より、子どもを伸ばしてくれる学校を選びたい」といった悩みを抱えている親御さんも増えています。


 思い切って「偏差値」というものさしから一度離れて、中学受験を考えてみては――。こう提案するのは、探究学習の第一人者である矢萩邦彦さんと、「きょうこ先生」としておなじみのプロ家庭教師・安浪京子さんです。連載3回目の今回は、小学校受験を考えているお母さんからの相談です。


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【相談3】


「4歳の娘がいます。いろいろ調べると、中学受験はとても大変そうなので小学校受験をすることを考えています。このような考えで小学校受験をするのはダメでしょうか?」(東京都在住・4歳女児の母)


■目的のない「逆算人生」に危機感


安浪:中学受験のセミナーをやっていると、時々、まだすごく小さいお子さんの親御さんがいらっしゃったりします。「え?どうして?」と思っていると、このご相談者さんのように、「中学受験にするか小学校受験にするか迷っているので」と仰ります。


矢萩:僕はよく「逆算人生」と言っているのですが、大学受験を避けたいから大学付属の学校に入れよう、中学受験を避けたいから小学校受験……というように、目的もないまま、ただ不安を避けるために遠い将来から逆算して人生を選んでいることに危機を感じるんです。そして、そのために相性の良くない学習法を強要するような価値観にも問題を感じます。もちろん、大きな目的に向かって小さな目標を立て、それを達成していくことで理想の人生に近づいていく、と言うような本質的な「逆算」は大賛成なのですが。


安浪:わかります。そもそも小学校受験したら後がラクになるかと思ったらそうでもなくて。実際、私立の小学校に通っているご家庭からの相談は多いです。


矢萩:うちもありますよ。


安浪:私立の小学校はカリキュラムのスピードが早いから、ついていけない。しかも、中学になったら中学受験の勉強をしてきた子たちと一緒に机を並べなければいけないから、不安。私立でも塾に行っている子、すごく多いです。




矢萩:結局、小学校に入ったら、中1になったときの心配をして塾に入れる。これも逆算人生。


安浪:そうなると、いつになっても勉強人生、塾人生から降りられないんですよね。


矢萩:同じ学校でも、小、中、高と文化が違ってくることがあるのでややこしいんです。小学校ではゆったりした学校が中学に上がると進学校になるとか。そうなると、同じことをやっても今までは評価されていたのに、中学に入ったら評価されなくなる、ということが起こったりする。


安浪:勉強軸で評価されるとどうしても中学から入ってくる子の方ができる場合が多いですから。そうなると小学校から入っていた子は自己肯定感が下がってしまって、さらに勉強しなくなったり、途中で辞めていくケースもありますね。


■子どもの幸せのため?親が保険をかけているだけ?


矢萩:結局、大学受験が大変だから中学受験、中学受験が大変だから小学校受験しようね、だとその子の発達段階と合っていない学びを強要していることがある。それが問題。でも業界がそれを煽っていますからね。不安を煽るのが一番簡単に集客できるから。


安浪:中学受験の場合だと学力うんぬんの前に、精神的に幼すぎて中学受験は難しいかな、と思う子は確かにいますね。ただ小学校受験の場合だと、逆に小さすぎて、親の言うことを聞けちゃうんですね。朝起きたら英語やって、公文やって、という感じで何でも親のいう通りにできる。特に長男長女は言うこと聞きますね。


矢萩:そうですね。だから小学校受験の場合は、子どもの自我がはっきりしていない時点で親が決めている、と言うことを心に留めておいた方がいいですね。


安浪:先ほどの逆算の話じゃないですけど、子どもの幸せを思って、といいながら結局は親が保険をかけているだけ、ということもありますからね。


矢萩:あとは親の価値観の押し付け。これは中学受験の話なのですが、あるお母さんの相談を聞いたら、息子をどうしても慶應に入れたい、という。本人の口から一度も聞いたことのない学校名だったので「なぜ?」と聞いたら自分が大学の時、慶應の友達は皆楽しそうだったから、と(笑)。それって完全に母親の価値観ですよね。息子にマッチするかどうかはわからない。そんなに慶應が好きならお母さんが慶應の大学院に行ってください、って(笑)。




安浪:小学校受験でも学校の名前に固執してしまう親御さんは多いです。そういう意味でも、小学校受験こそ親の受験だなぁ、と強く感じますね。


矢萩:小学校受験は全体的に見たらやはり特殊です。特殊なことは合う、合わないが激しい。もしやってみて合わないな、とわかったらいつでも方向転換できるマインドを持つことが大事です。私立の小学校に入学したら、転校するのでも、公立に行くのでもあり、という気持ちでいたい。「今現在の気持ち」を犠牲にしてしまうといつまでたっても幸せになれないんです。


■子どもの「意思決定力」が重要


安浪:小学校高学年になってくると子どもにも自我が出てきますから、そのまま進学するのか、外部に目を向けるのか、一度親子で話し合う必要はありますよね。もし落ちこぼれそうになったら?


矢萩:いちいち気にしないマインドを持て、ですね(笑)。何のためにその学校に行っているのか問い直す。他の学校に行くのではなくそこに残りたい、っていうのなら周りのことを気にしないで、あなたができることをやればいいじゃん、っていうマインドを持っていればいい。親と子どもがしっかり合意形成することです。


安浪:それはすごく共感します。いつまでも親が決めていると子どもの「意思決定力」が育たないですよね。中学受験を見ていて思うことは、子どもに「意思決定力」がないと最後まで踏ん張れない。そのためには、子ども自身に決めさせる経験を増やしていかないと。


矢萩:親は口を出したくなるけどそこはグッとこらえないと意味がないです。


(構成/教育エディター・江口祐子)


※10月22日(木)に矢萩さん、安浪さんのオンラインセミナー『「偏差値にとらわれない」これからの中学受験相談室』があります。矢萩さんと安浪さんが個性に寄りそい「生きる力」を養うための中学受験活用術をお話しします。申込はこちらから。
https://kmk211028.peatix.com/


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  • 小学校受験も大変だと思うけどね。勢いでポンと入れちゃう子もいるけどね。私立って閉ざされた空間だし基準が高いからね。下手にねじ込んでも大変なだけよ。
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