宮澤ミシェルが10月のW杯アジア最終予選を振り返る「間違いなく4−3−3の方が実力を発揮しやすい」

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2021年10月19日 11:31  週プレNEWS

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写真W杯アジア最終予選について語った宮澤ミシェル
W杯アジア最終予選について語った宮澤ミシェル


サッカー解説者・宮澤ミシェル氏の連載コラム『フットボールグルマン』第222回。

現役時代、Jリーグ創設期にジェフ市原(現在のジェフ千葉)でプレー、日本代表に招集されるなど日本サッカーの発展をつぶさに見てきた生き証人がこれまで経験したことや、現地で取材してきたインパクト大のエピソードを踏まえ、独自視点でサッカーシーンを語る――。

今回のテーマは、W杯アジア最終予選について。1勝1敗と厳しい結果に終わった日本代表の10月の2試合を宮澤ミシェル振り返る。

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オーストラリア代表に苦しんだけれど、どうにか勝ってくれた。あれでひと息つけたらから、この週末はしっかりJリーグに集中できたよ!(笑)

W杯アジア最終予選の10月シリーズは、グループの1位と2位を相手にして1勝1敗。ベストとは言えないけれど、この1勝は先につながったね。オーストラリア戦の勝ち越しゴールからは、代表選手やスタッフたちの執念のようなものが感じられたよね。

1戦目のアウェーでのサウジアラビア戦に負けて、ホームでのオーストラリア戦には大きな重圧を感じていたと思うし、追い込まれたことで森保監督が変化を決断できたのが勝因だったんじゃないかな。

この試合のシステムはそれまでの4−2−3−1から4−3−3へ変えた。最終予選が始まる前から事あるごとに、「日本代表は4−3−3にした方がいい」と提言していた私としては、『遅いよ!』って感じだったんだけど、日本代表メンバーの技量を考えたら、間違いなくこの方が実力を発揮しやすいんだよね。

4−3−3はサイドバックが高い位置を取れれば中盤が厚くなって、4−2−3−1よりも攻撃は厚みが増えるんだよ。一方でサイドバックが高い位置を取れないと、後重心になる危険性もあるんだけどさ。

でも、いまの日本代表CBの力量を考えれば、その可能性は小さいよ。吉田麻也と冨安健洋に安定感はあるからね。中盤を構成する3人の人選さえ間違えなければ、両サイドバックは安心して高い位置に張り出せる。結果的に攻撃だけではなく、守備でも安定するんだよね。

そのことは森保監督もわかっていたとは思うよ。だけど、変更しない決断をしたんだよな。この最終予選に向けて4−2−3−1に費やした時間や積み上げ成果に自信があったから、そこに賭けたんだと思うよ。

でも、初戦のオマーン戦に敗れ、中国戦は勝つには勝ったけど、内容は不完全燃焼。そこをどう感じ取ったかが、サウジアラビア戦の勝敗をわけたような気がするよ。

『勝ったチームはいじるな』という格言があるけど、森保監督は中国戦での内容よりも、勝ったという事実を大事にしたんだろうね。信頼するメンバーが勝ち星を手にしたことで普段の力を取り戻してくれるって。

だから、サウジアラビア戦のメンバーは基本は中国戦と同じ。9月シリーズは欠場した南野拓実が復帰したことと、伊東純也に変えて右MFに浅野拓磨を使った以外はいつも通りのラインナップだった。

誤算だったのは、試合内容も中国戦までと同じで冴えないものになったってこと。

サウジアラビアの決勝点について言えば、柴崎岳は責められて仕方ないミスをした。だけど、柴崎に出てきたパスも乱れていたんだよね。柴崎はそれをどうにかマイボールにして立て直そうとして、そこからバックパスが痛恨の失点につながった。

ただ、ミスがつきものなのがサッカーだし、ミスをチーム全体でカバーできるかがどうかが、チーム力なわけだしね。

その柴崎を森保監督はオーストラリア戦では先発から外したけど、同点になってから柴崎をピッチに送ったでしょ。この起用には柴崎への熱いメッセージが込められていたように感じたんだよな。

柴崎がベンチにいたまま試合終了を迎えるのと、勝利の瞬間のピッチに柴崎が立っているのとでは、今後の柴崎という選手のあり方が大きく違うからね。

ミスを取り返す舞台を与えてもらって奮起しない選手はいない。来年3月まで続くW杯アジア最終予選のなかで、柴崎が必ずミスを取り戻すお仕事をしてくれるっていう期待が、あの交代シーンから持てたよな。

その柴崎に代わってオーストラリア戦が代表デビュー戦にして初先発となった田中碧は攻守にわたって素晴らしかった。先制点は言うまでもなく、守備でも組み立てのところでも持ち味を存分に発揮していた。

川崎Fで4−3−3というシステムに慣れていて、そこで一緒にやっていた守田英正も同時起用だったことも大きかっただろうね。遠藤航とも東京五輪でボランチを組んでいたのも効いたよな。試合終盤に田中碧の足が攣ってからは交代枠もなかったからハラハラしたけど、最後までよく頑張ってくれたよ。

これで日本代表は4戦を終えて2勝2敗でグループ4位。自動的にW杯出場できるグループ2位の後ろ姿も見えてきただけに、11月シリーズは大事だよ。

ベトナム戦、オマーン戦は2連戦でアウェーでの試合。ピッチコンディション、気候、時差など難しい状況だけれど、日本代表はこの2試合で勝ち点6を奪わなければキツイんだよな。難しいミッションだけど、流れをオーストラリア戦で変えた日本代表ならやってくれると期待しているよ。

構成/津金壱郎 撮影/山本雷太

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