阪神、巨人との差は「新助っ人」の働き? 今年も光ったヤクルトの“補強巧者”ぶり

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2021年10月20日 18:00  AERA dot.

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写真好調ヤクルトを支える新助っ人オスナ(左)とサンタナ (c)朝日新聞社
好調ヤクルトを支える新助っ人オスナ(左)とサンタナ (c)朝日新聞社
 6年ぶりの歓喜が近づいている──。2015年以来のセ・リーグ優勝に向け、マジックナンバーを「4」としているヤクルト。敵地・甲子園に乗り込んだ10月19日の阪神戦では大敗を喫したものの、今日の同カードに勝てば、明日21日にも本拠地の神宮で優勝が決まる可能性が出てくる。


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「野手、投手を問わずチームにプラスアルファをもたらす選手がどれだけ出てくるか──。ヤクルトが2年連続の最下位から巻き返し、セ・リーグの台風の目となるかどうかは、そこにかかっている」


 今年の春先、このAERA dot.に寄稿したコラムにそう書いた。「台風の目」どころか主役にまで躍り出たヤクルトにとって今シーズン、最も大きな「プラスアルファ」をもたらしたのは、その記事でも名前を挙げた高卒2年目の奥川恭伸だろう。


 昨年の一軍登板はわずか1試合だったが、今年は17試合に先発して9勝4敗、防御率3.35。19日の阪神戦では初回に3ランを浴びるなど、4回途中5失点で負け投手になったものの、それでも17試合中12試合がクオリティースタート(QS=先発で6回以上投げて自責点3以下)。QS率70.6%は、チームでは10試合以上先発した投手の中でトップの数字である。


 野手では、ルーキーイヤーから度重なる故障などで年間を通してプレーすることができなかった塩見泰隆が、今年はシーズン途中からほぼ不動の一番・センターに定着。ここまで打率.287(リーグ11位)、14本塁打、58打点、21盗塁(リーグ3位)の好成績を残しているのも、大きなプラスアルファと言っていい。


 打線においては、見逃せない「プラスアルファ」がほかにもある。それが今季から新たに加わったホセ・オスナ、ドミンゴ・サンタナの“助っ人”コンビだ。「強力」と言われるヤクルト打線ではあるが、最下位に終わった昨シーズンはチーム打率も.242でリーグ最下位、468得点(1試合平均3.9得点)は同5位と苦しんだ。




 特に課題だったのが、打率、本塁打、打点ですべてベスト5入りするなどハイレベルな成績を残した村上宗隆の後を打つ五番バッター。今年はソフトバンクから移籍してきた大ベテランの内川聖一が開幕からそこに収まったが、ほどなくして新型コロナウイルスの濃厚接触者と判定され、自宅隔離のため離脱。その後は4人の選手を入れ代わり立ち代わり起用したものの、なかなかフィットしなかった。


 そんな中、4月23日にオスナとサンタナが一軍に合流。その日はメジャー通算77本塁打のサンタナが五番、同24本塁打のオスナは六番に入ったが、すぐに五番・オスナ、七番・サンタナが定位置となる。2人は来日後、ファームで3試合に出場しただけで一軍に合流したのだが、日本の野球へのアジャストは思いのほか早かった。


 当初は三塁を守っていたオスナは5月初旬から一塁に固定され、右翼手のサンタナともども早くからバットで結果を出した。“未知数”だった2人にメドが立ったことで、交流戦の終盤にはチームのラインナップがほぼ固まるようになる。


 オスナはベネズエラ出身、サンタナはドミニカ共和国の出身。同じ1992年生まれであり、母国語はどちらもスペイン語。そんな2人は、常に行動を共にした。これがもし、1人での来日だったなら、異国の地で心細さもあったかもしれない。同い年で同じ言葉を話す“相棒”がいたことは、どちらにとっても心強かったはずだ。


「試合はあくまでも『ゲーム』。楽しまないと」というのが信条のオスナは、タイムリーを打った際に両手を挙げて左右に振るポーズをチーム内に流行らせるなど、見るからに陽気。マジック7で迎えた10月15日の巨人戦(神宮)では、7回に逆転3ランをレフトスタンドに叩き込むと、左手に持ったバットを高々と掲げて「どんなもんだい」と言わんばかりに自軍ベンチを指さし、右手でバンバンと胸を叩いてそのバットをポーンと放り投げた。


 そのオスナに比べるとやや控えめな印象のサンタナも、この試合で一度は試合を振り出しに戻す一発を放つと、ベースを一周する際にグッと拳を握って腕を思い切り振ってみせた。この日は2本のホームランを含む4打数4安打の大当たりで、試合後は逆転3ランのオスナと共に神宮のお立ち台に上がった。




「やっぱり打点とか、長打力とかっていうところが去年は(足り)なかった部分で、それを期待して2人にはメンバーに入ってもらってるわけなので。今日はホントに、まさにそのとおりの仕事をしてくれたのかなと思います」


 この日の2人の働きを、そう評したのは高津臣吾監督である。オスナは7月には打率.442、3本塁打をマークする一方で、8月は打率.178、0本塁打と波があるものの、ここまで114試合に出場して打率.266、13本塁打、59打点。8月はやはり打率.206、2本塁打と調子を落としていたサンタナも、10月に入ってチームトップの6本塁打を放ち、月間打率.353、12打点で、シーズン成績を打率.282、18本塁打、56打点(111試合)まで上げてきた。


 近年は外国人野手1人という体制が続いていたヤクルトにあって、2人の助っ人が100試合以上に出場するのは、2012年のウラディミール・バレンティンとラスティングス・ミレッジ以来。今年はそのオスナとサンタナに加え、2人と時を同じくして来日したピッチャーのサイスニードも13試合の先発で6勝2敗、防御率3.41と、“新外国人”が揃ってチームに「プラスアルファ」をもたらしている。外国人選手獲得の上手さに定評のあるヤクルトの面目躍如と言っていいだろう。


 翻って阪神は、投打の新外国人がほとんど戦力にならず、現在3位の巨人もエリック・テームズが初出場の試合で右アキレス腱断裂の重傷を負う不運があったとはいえ、途中入団も含め3人の新外国人はすべて帰国。この差は大きい。


 もっとも10月19日の阪神戦では、久しぶりに五番で起用されたサンタナが初回の1死満塁の好機で併殺打に倒れるなど4打数1安打。七番に下がったオスナは、3打数ノーヒットに終わった。


「自分の調子が良くない時でも、後ろにいるムーチョ(中村悠平)やサンタナがカバーしてくれるっていう信頼があるし、逆にヤマダ(山田哲人)やムラカミが打てない時は自分がカバーしたいっていう気持ちが強い」


 オスナは以前、そう話していたことがある。勝てばマジックを「2」として本拠地の神宮に戻ることができる今日の一戦。今年最後の阪神との直接対決で、サンタナともどもしばしば口にする「help the team win(チームが勝つ手助けをする)」を実行できるか──。(文・菊田康彦)


●プロフィール
菊田康彦
1966年生まれ。静岡県出身。大学卒業後、地方公務員、英会話講師などを経てフリーライターに転身。2004〜08年『スカパーMLBライブ』、16〜17年『スポナビライブMLB』出演。プロ野球は10年からヤクルトの取材を続けている。


このニュースに関するつぶやき

  • また始まったよ朝日の読売たたきが
    • イイネ!1
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  • 監督の投手起用の仕方に差があると思いますね。
    • イイネ!4
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