二階前幹事長、安倍元首相、麻生副総裁が異例の地元出陣式「側近は今そこにある危機」

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2021年10月20日 19:30  AERA dot.

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写真地元の出陣式に出席した二階俊博前幹事長(撮影・今西憲之)
地元の出陣式に出席した二階俊博前幹事長(撮影・今西憲之)
 衆院選公示日の10月19日、自民党の前幹事長、二階俊博氏は和歌山3区、生まれ故郷、御坊市の出陣式でマイクを握った。


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 事務所前には500人を超す人が集まり、和歌山県の仁坂吉伸知事をはじめ、地元の市長や町長などが顔をそろえて、二階氏を待っていた。


 壇上にあがった二階氏は、5年以上、幹事長など党の要職にあったため、ほとんど地元には帰れなかったという。今回は地元中心の選挙戦となる。


 二階氏はシンボルキャラクターのうさぎのイラストを示してこう力を込めた。


「しっかり頑張れと温かいお気持ち、感動の一言です。シンボルマークの通り今年はウサギ年。ウサギはバックできない動物です。腹の中では俺はウサギだ、バックはできないぞと戦いに挑んでいます。あえて戦いと言うわけですが、政治は戦いなんです」


 まだまだ健在だと言わんばかりに熱く語った。だが、出陣式に来ていた地元の地方議員はこう話す。


「二階先生を入れて4人も出馬というのは、ひょっとして将来のためなどの思惑があるようです。それだけ二階先生のパワーも落ちてきたのかな。岸田首相に幹事長から降ろされてしまったしね」


 また、二階氏を長く支援をしている、有権者はこう語る。


「うちは娘の名前まで二階先生につけてもらったほどで、応援しちゃるよ。コロナも影響あるのでしょうが、これまでの出陣式ならこの3倍、1000人以上は来ていたのでさびしいね」


「今回が最後の出馬でしょう。引退興行でしょうから、しっかり二階先生の姿を目に焼き付けようと来た」(別の有権者)


 永田町でも二階氏をとりまく状況は厳しい。二階氏が幹事長を降りると、衆院選の公認争いでは、山口3区で官房長官、文科相を歴任した河村建夫氏(二階派)が元防衛相の林芳正氏(岸田派)に公認争いで敗れて引退した。河村氏の後継、長男の建一氏は中国ブロックではなく、北関東ブロックの比例32位だった。


 新潟2区は安倍晋三元首相が実質的に率いる細田派の前職、細田健一氏が小選挙区から出馬となり、二階派の前職、鷲尾英一郎氏は公認争いに敗れ、比例にまわった。




「党本部の決定に二階氏は立腹していた」(二階派の国会議員)


 今回の衆院選では衆院議長だった大島理森氏や二階派の重鎮、伊吹文明氏らが高齢を理由に次々と引退した。


「私もまだ若い。若い者に負けない。そういう闘志で国政に立ち向かう」と引退を否定した二階氏。そして、演説後、記者団に囲まれ、岸田首相について問われると、こう持論を語った。


「よく変われ、変われというが、何を変わるのか。国民の声に忠実に対応していくことが大事だ。そんなに変わらなくてもいいんだよ。 正しい方向に進むなら、変わらんでいいだよ。変わらなくては、いけないという言葉に(岸田首相は)まあ、酔っているというのか。変わる必要はない。政治は変わらなければいけないと言うが、悪く変わらないでくださいよ」


 安倍元首相も地元山口4区で選挙戦初日を迎えた。安倍氏が公示日に地元で出陣するのは、2009年8月の衆院選以来という。安倍氏はマイクを握るとこう訴えた。


「コロナを克服しなければならない。雇用を守るためには財政出動、思い切った経済対策でV字回復させる」


 そして、首相の再々登板も噂される安倍氏は、「私にはまだやり残したことがあります。北朝鮮による拉致問題はまだ解決していない。憲法改正も必要だ」と声をあげた。


 山口県の自民党の地方議員はこう語る。


「安倍氏は上機嫌で選挙前から連日、地元の支援者をまわっています。『こんなに皆さんにご挨拶できるのは何年ぶりかな、うれしいな』と満面の笑顔でした」


 今回の衆院選は、隣の山口3区では参院から鞍替えした林芳正氏が出馬した。中選挙区時代は、安倍氏と林氏がともに山口4区も地盤だったので支持者が重なる。


「これまで林氏の陣営は、安倍氏に票をまわしていた。それが衆院に鞍替えなので、林氏の組織が動くかちょっと不安な点がある。再々登板には、圧勝してもらわないとダメですから」(前出・山口県の自民党の地方議員)




 そして安倍氏は衆院選に合わせて10月19日、YouTubeに「あべ晋三チャンネル」を開設した。


「政策、理念を伝えるにはやはりSNSを活用しなければならないと考えました」と理由を説明した安倍氏。たった2日で登録者数は14万5千人とすごい数字になっている。


 全国から応援要請が寄せられている安倍氏は今回の衆院選で地元で活動できる日は、そう多くないという。中でも安倍氏が応援に入りたがっているのは、初村滝一郎氏が出馬した長崎1区だ。長く安倍氏の秘書を務めていた初村氏。安倍氏が2度目の首相の座に返り咲くと、政策秘書となった。長崎県連が長崎1区に公募をかけたところ、初村氏が手をあげたという。


「安倍氏はわざわざ県議らに電話し、初村氏を公認候補にお願いしますと依頼したと聞きました」(地元の自民党県議)


 晴れて長崎1区の公認となった初村氏だが、自民党の調査では相手の国民民主党の前職、西岡秀子氏が優勢となっている。


「安倍氏は森友学園、加計学園問題や桜を見る会の疑惑などを切り抜けられたのは、初村氏の功績が大きいと高く評価。長崎へも電話かけて支援を訴えています。しかし情勢がよくないので、心配している」(自民党幹部)


 また、もう一人安倍氏が気にかけるのが、前職で比例中国ブロック選出の杉田水脈氏だという。安倍氏が事実上、率いる細田派(清和政策研究会)に属する国会議員は、こう語る。


「杉田氏はいろいろお騒がせだが、政治観が安倍氏と一致するので選挙前も『比例の順位をアップさせられないかな』などと話していたそうだ。杉田氏も当選ラインはギリギリとみられ、気をもんでいる」


 そして自民党の副総裁、麻生太郎氏も地元の福岡8区で出陣式に臨んだ。会場には1000人近い人が集まりコロナ対策のため、会場には「密を避けて」というプラカードがアチコチに掲げられたという。挨拶に立った麻生氏は、笑いを取りつつこう語った。



 



「選挙が始まりますが、従来と違うのはコロナのおかげで集会は難しい。握手はするな、集まるな、などの三密対策をしつつ、選挙をさせていただいていますので、どこまで声をかけていいのか難しい。おかげさまでコロナも猛威をふるっている状況から解放された。東京で(新規感染者が)1日30人と激変した。みなさんのご協力のおかげです。おかげさまで私も結婚以来、3日続けて女房と飯を食ったことはなかったが、今回は132日間連続で飯を食べた。いや大変なもんでした。両方とも耐え抜いて今日、2人でこの壇上立っている」


 そして立憲民主党と共産党の野党共闘についてこう批判した。


「立憲民主なんとかと、名前が変わるから立憲、共産と一緒に立憲共産になったのかと。皆さん、立憲共産はさけてほしい。内閣ができたら共産はどうなるのか。天皇制や日米安保反対しているじゃないか」


 麻生派の国会議員によると、麻生氏の選挙は、これまでほど安泰ではないという。自民党の世論調査では麻生氏は共産党候補、れいわ新選組候補より大きくリードしている。しかし、前出の麻生派議員はこういう。


「共産党とれいわが候補を一本化していれば、麻生氏との差はそう大きくないのが現実です。これまでの麻生氏には考えられなかったことです」


 麻生氏も気がかりなのは、側近議員の落選だ。緊急事態宣言中に銀座通いがバレてしまい離党した神奈川1区の松本純氏が今回は無所属で出馬し、大苦戦中だという。


「松本氏をなんとか復党させて出馬と考えていたが、反対が強すぎてダメだった。『松本はなんとかならないか』とよく口にしています。気になるのは、側近の今そこにある危機ですね」(前出・麻生派の国会議員)


 二階氏、安倍氏、麻生氏が気になるのは、自身ではなく、その「周辺」のようだ。


(AERAdot.編集部 今西憲之)


このニュースに関するつぶやき

  • 和歌山3区の候補者を見てみた・・・まぁ、勝つでしょこれ。麻生・安倍はどこまで逆風吹こうが盤石だろうし。
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  • 二階さんも麻生さんも菅さんも安倍さんも大差で勝利してほしい。
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