2021年秋、最新「インフルエンザ」流行状況は…予防接種は受ける・受けない? 【医師が解説】

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2021年10月21日 20:52  All About

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写真2021年10月現在、今シーズンのインフルエンザは散発的で、まだ本格的な流行開始は報告されていません。一方でインフルエンザは毎年流行する可能性があるため、適切な予防が大切です。予防法と治療法で知っておくべきことを解説します。
2021年10月現在、今シーズンのインフルエンザは散発的で、まだ本格的な流行開始は報告されていません。一方でインフルエンザは毎年流行する可能性があるため、適切な予防が大切です。予防法と治療法で知っておくべきことを解説します。

インフルエンザの症状・有効な予防法

11月頃、急に寒くなってくる頃に気になり始めるインフルエンザ。2020年秋から2021年にかけてのインフルエンザシーズンは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行による手指衛生などの感染予防対策の徹底と、海外からの渡航者が少ないことなどから、例年のような流行は見られず、散発的な発生のみでした。

2021年秋から2022年にかけてのインフルエンザの流行状況については、現時点ではあまり流行しない可能性が高いのではと考えられています。根拠としては、2021年、日本は夏だった時期に冬を迎えた南半球で、インフルエンザの流行が見られなかったためです。

また、手指衛生などの感染症予防は継続されますし、日本への入国もまだ制限されています。RNAウイルス(新型コロナウイルス)が流行しているときには他のRNAウイルス(インフルエンザ)は流行しにくいこともあるかもしれません(ウイルスによって免疫が高まった状態になるときに他のウイルスに対する免疫が働くことがあります)。

一方で、インフルエンザの大流行が数年なかったことで抗体が低下し、感染が拡大する可能性を懸念する声もあります。例えば2020年にはほとんど流行しなかったRSウイルスは、2021年には本来あまり流行しない季節である春に流行しました。ワクチンは事前の予防ですので、流行の可能性が低いと考えて接種を見送るのではなく、流行していない段階で接種して備えておく必要があります。

インフルエンザは風邪と異なり、39℃以上の高熱が続き、咳、鼻水、全身倦怠感、筋肉痛、関節痛、嘔吐、下痢、腹痛が見られる感染症です。インフルエンザウイルスが原因で起こります。非常に感染力が強く、1人が感染すると周りの3人に感染させてしまうといわれています。

インフルエンザウイルスは遺伝子の変化が多いため、以前の抗体だけでは対応できません。そのため、一度罹ったから大丈夫ではなく、何度も罹ってしまうのです。

インフルエンザウイルスはツバや痰などによって主に人から人に感染するので、感染経路を考えると、身近な対策が可能です。冬場は乾燥するために、ツバや痰が小さくなりやすく、飛散する距離が長くなり、感染する範囲が広くなることも考慮し、マスクや咳エチケットを守る等の感染拡大予防を心がけることが大切です。

また、規則正しい生活、バランスのよい食事、十分な睡眠で免疫力を高めることも重要です。さらに、感染経路を遮断する意味で、以下の点も意識することが大事です。

・身の回りのものにウイルスが付着している可能性があるので、手洗い、特に食事前の手洗いは大切です。指と指の間もしっかりと石鹸で15秒かけて手を洗います

・うがいは粘膜を潤すために有効で、付着したウイルスを減らすことができます

・マスクは、ウイルス用マスクなら、口や鼻からの侵入を防いでくれますし、何より手で口や鼻を触るのを防いでくれます

インフルエンザに対してはまずは予防が大事と言えます。

インフルエンザ予防接種は有効? ワクチンによる予防方法

毎年インフルエンザシーズンになる前には、予防接種を受けるか受けないかで迷われる方も少なくないようです。インフルエンザにはワクチンで予防する2つの方法があります。

・日本で現在使用できる不活化ワクチン(承認済み。任意。ただし高齢者は定期。費用や実施時期は自治体によって異なる)
・将来的に使用できるかもしれない生ワクチン(未承認。現在は個人輸入)

通常「インフルエンザの予防接種を受ける」という場合は、もちろん前者でしょう。しかし不活化ワクチンにはデメリットもあり、特に子どもの場合は接種効果が悪いことも指摘されています。皮下注射であること、流行するタイプとワクチンのタイプが異なると効果が落ちてしまうこともあり、特に1歳未満でのワクチンの効果は乏しいとされています。

接種回数は1〜2回で効果は約4カ月。ワクチンの効果が出てくるのに、2〜4週間です。例年の流行時期は、インフルエンザA型は12月下旬から2月上旬まで、インフルエンザB型は2月〜3月ですので、接種する場合は流行時期から逆算して予約することが大切です。

また、インフルエンザB型は以前はワクチンの効果が悪いといわれていました。それは一言で「インフルエンザB型」といっても実は大きく2つの種類があり、それぞれに対応するワクチンの抗原が異なるからです。そのためワクチンに入っていない方の種類のB型が流行した場合、ワクチンを打っていても発症してしまうことが少なくありませんでした。

2015年からは、B型にも広く効果があるように、B型の抗原が2種類入れられています。現在のインフルエンザワクチンは一回の接種で、「2種類のインフルエンザA型、2種類のインフルエンザB型」に有効になっているのです。

一方、生ワクチンは鼻から弱毒ウイルスを摂取する方法なので、痛みもなく、子どもでの効果が高いというメリットがあります。また、流行するタイプとワクチンが異なっていても、効果が落ちにくいです。接種回数は多くは1回で効果は約1年。

ただし、50歳以上では効果が良くありません。いずれにしてもこちらは未承認のものになるので、あまり一般的ではなく、将来日本国内でも普及するかが気になるところです。

感染症に対しては、流行しないうちの予防が重要ということは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行時にも多くのことが感じられたことではないでしょうか。

インフルエンザ薬による予防法

抗インフルエンザ薬による予防方法があります。抗インフルエンザ薬に対する耐性インフルエンザの発生の懸念や、100%の予防効果ではないことから、主に重症化すると考えられる方に勧められています。

予防投与の対象としては、「インフルエンザウイルス感染症を発症している患者の同居家族または共同生活者である下記の者」が対象者です。

・高齢者(65歳以上)
・慢性呼吸器疾患(※リレンザは除く)、慢性心疾患患者
・代謝性疾患患者(糖尿病等)
・腎機能障害患者

■オセルタミビル(タミフル)
1日1回投与で10日間

■ザナミビル(リレンザ)
1回2吸入で1日1回で10日間

■ラニナミビル(イナビル)
大人及び10歳以上の小児が対象で、イナビル20mg(1個)を1日1回、2日間吸入投与です。

現在は、この3種類が認められている予防薬ですが、医療保険が使えませんので、自費になってしまいます。

次に、インフルエンザに感染してしまった場合の治療法について解説します。

インフルエンザの治療法

インフルエンザに罹った場合、自分の免疫でウイルスを排除していきますので、基本的には自分の力で治すことになります。幸い、インフルエンザにはインフルエンザに対する薬がありますが、インフルエンザウイルスの増殖を抑える抗インフルエンザ薬が中心です。

つまり、抗インフルエンザ薬を使うことで、ウイルスが増えずに済み、自分の免疫でもウイルス量がより早く減らせるため、発熱期間を短縮することができるのです。症状の軽い場合は自分の免疫で治るとも言えますし、抗インフルエンザ薬がない時代にインフルエンザに罹った人も治っていたことも挙げられます。

とはいえ免疫が強くない子どもや高齢者の場合は、できるだけウイルス量を減らした方が合併症を起こすリスクを抑えられるため、抗インフルエンザ薬を使うことになります。一方で最近は、抗インフルエンザ薬では、ウイルスの変異による耐性ウイルスが問題になりつつあります。

抗インフルエンザ薬には、現在、内服、吸入、点滴があります。また、症状を緩和させるために、咳、鼻水などの症状に対しては、痰を切りやすくする去痰薬、咳を抑える鎮咳薬、鼻水を抑える抗ヒスタミン薬を、発熱や頭痛に対しては、鎮痛・解熱薬を使用します。

■オセルタミビル(タミフル)
1日2回投与で5日間

カプセルとドライシロップの2種類です。カプセルは75mgです。ドライシロップは1kg体重当たり1日4mgです。カプセルはやや大きめですので、飲みにくい人はドライシロップが良いと思います。ただ、ドライシロップも後味が苦いので、子どもは嫌がります。

実際、ゼリーに混ぜたり、アイスクリームに混ぜたりして飲んでもらっています。小さい子どもでは吸入ができないので、5歳未満では最初に使用される薬です。耐性ウイルスが問題になることがあります。

■バロキサビル(ゾフルーザ)
1日1回投与

この薬は、細胞内でのインフルエンザウイルスが増えるのを抑える効果があります。10mg、20mgの錠剤と1包10mgの顆粒があります。体重と年齢によって投与方法が異なります。12歳以上の子どもと成人では、20mgの錠剤2錠または顆粒4包を1回内服します。80kg以上の体重のある人は、20mgの錠剤4錠または顆粒8包を1回内服します。ただし、耐性ウイルスの報告もありますので注意が必要です。

12歳未満では、40kg以上で20mgの錠剤2錠または顆粒4包、20kg以上40kg未満で20mgの錠剤1錠または顆粒2包、10kg以上20kg未満で10mgの錠剤1錠

■ザナミビル(リレンザ)
1回2吸入で1日2回で5日間

吸入する薬で、1日1枚のディスクを使います。5日間吸入する必要があります。薬としては、活性型といって、気道に直接効果を発揮しますので、解熱までに時間が短いです。

■ペラミビル(ラピアクタ)
1回の点滴で1日

点滴する注射薬です。薬が飲めない、吸えない子どもやお年寄りに使用されます。点滴ですので、痛みがあります。点滴は15分以上かけて1回行います。

■ラニナミビル(イナビル)
10歳未満で1日1回2吸入(20mg)
10歳以上で1日1回4吸入(40mg)

吸入する薬で、1日1回、5日間の効果を発揮します。活性型の前の段階の薬のため、効果は5日間持続します。リレンザより解熱までの時間が少しかかります。

この薬は、インフルエンザウイルスが細胞に感染して、細胞外に出る時に必要なノイラミニダーゼという酵素を抑える薬です。そのため、感染してから初期に効果を発揮します。できるだけ早期に48時間以内に服用した方がよいとされています。

■ファビピラビル(アビガン)
現在は、成人にしか使用できません。1錠は200mg
1日2回で1日目に1回8錠(1600mg)、2日目から5日目までは1回3錠(600mg)で、5日間内服します。

この薬は、インフルエンザがRNAという物質による遺伝子をもっているため、このRNAを複製するために必要なRNAポリメラーゼという酵素を抑えます。そのため、インフルエンザに感染してから48時間以降も効果があるといわれています。

ただし使用できる条件は、新型又は再興型インフルエンザウイルス感染症であることや、他の抗インフルエンザウイルス薬が無効又は効果不十分のものに限っています。動物実験で胎児に奇形をもたらす作用が報告されていますので、妊婦には使用できません。

インフルエンザは規模の差はあれ、毎年流行する可能性があります。それに合わせた対策も予防対策も毎年必要になるのです。

清益 功浩プロフィール

小児科医・アレルギー専門医。京都大学医学部卒業後、日本赤十字社和歌山医療センター、京都医療センターなどを経て、大阪府済生会中津病院にて小児科診療に従事。論文発表・学会報告多数。診察室に留まらず多くの方に正確な医療情報を届けたいと、インターネットやテレビ、書籍などでも数多くの情報発信を行っている。
(文:清益 功浩(医師))

このニュースに関するつぶやき

  • 十年程前に重いインフルエンザにかかってからは毎年打ってますが、来月にコロナのワクチンを打つので期間をどれくらい空けるのか確認してからですかね�����������������ӻ�������
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  • 先日、家族総出で済ませた。子等には受けさせなくてはならん事情があり、なのにパパとママだけ注射しないのズルい!と言われたら返す言葉が無いからなあ~…
    • イイネ!2
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