『ブックスマート』ビーニー・フェルドスタイン 最新作“女子高生の自分作り”に込めた思い

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2021年10月22日 09:11  クランクイン!

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クランクイン!

写真映画『ビルド・ア・ガール』ビーニー・フェルドスタイン、インタビューカット (C)Monumental Pictures
映画『ビルド・ア・ガール』ビーニー・フェルドスタイン、インタビューカット (C)Monumental Pictures
 アカデミー賞作品賞ノミネートの『レディ・バード』、ゴールデン・グローブ賞(ミュージカル・コメディー部門)主演女優賞ノミネートの『ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー』での名演で人気爆発! 今、世界中の映画ファンが注目する超パワフル系女優ビーニー・フェルドスタインが単独主演する最新映画『ビルド・ア・ガール』が本日22日より公開される。残念ながらコロナ禍のため来日プロモーションは果たせなかったが、ネットを介したリモート・インタビューで、時おりチャーミングな素顔をのぞかせながら、本作に込めた思いを語ってくれた。

【写真】明るくインタビューに応じてくれたビーニー・フェルドスタイン

 UK音楽業界でライターとして活躍していたキャトリン・モランの半自伝的小説を映画化した青春エンパワーメント・ムービー。さえない高校生だったジョアンナ(ビーニー)は、持ち前の想像力と文才で大手音楽情報誌のライターとして成功を収めるが、取材で出会ったロック・スターに恋をしてから冷静な記事を書けずに失脚。編集部のアドバイスで辛口批評家“ドリー・ワイルド”として再出発し、毒舌記事を書きまくる。

■ “演劇オタク”だった10代 即興演劇にコメディー、合唱に励んでいた

――ジョアンナはまさにハマリ役! ビーニーさんのパワフルな魅力が生きた作品でした。キャトリンさんの脚本を最初に読んだとき、どんなことを感じましたか?

ビーニー:うれしいお言葉、ありがとうございます! 私は生まれも育ちもL.A.で、ジョアンナが住むイギリスのウルヴァーハンプトンとは地球の反対側になるんですが、彼女のはち切れんばかりの気持ちにとても親近感を覚えました。次のステージに向かおうとしているところや、自分が「何者か」を人生において見極めようとしているところ、そして、自分のアイデンティティーを必死に求めているところは、すごく共感できましたし、彼女の勇敢さにほれ込みました。「自分もあれだけ勇敢だったら…」って、ちょっぴりうらやましくもありましたね。

――これまでビーニーさんは、10代の若者役を多数演じてこられたと思いますが、その中で今回のジョアンナというキャラクターはどんな存在として心に残っていますか?

ビーニー:私も年齢を重ねてきているので(現在28歳)、そろそろ女子高生役も厳しくなってきてはいるのですが(笑)、ハイスクールものが大好きで、私自身が楽しんで演じているので、起用する側にその熱量が伝わっているのかもしれませんね。確かにたくさんのティーンエイジャーを演じてきましたが、今回のジョアンナがこれまでの役と違うところは、やはり「孤独」なところですよね。親友という存在もなく、母親も産後鬱(うつ)とかいろいろあって自分のことに関心を持つ余裕がない。常に自分のそばにいて、愛してくれる人がいないんです。映画の冒頭から、世界と一人で戦わなければならないような描写が多くみられたと思いますが、その辺りが私にとっては挑戦的な役でしたね。今までは、複数の友達と絡みながらキャラクターの気持ちを掘り下げていく作品が多かったけれど、今回はジョアンナというキャラクターを自分一人で掘り下げていくわけですから。

――ビーニーさんご自身はどんな10代を過ごしてきたのですか?

ビーニー:どちらかというと演劇オタク、特にミュージカル系が大好きでした。しかも観る側ではなく、演じる側。高校時代は普通のドラマやミュージカルはもとより、即興演劇やコメディー、合唱などの活動にも励んでいました。10代って、悪びれることなく、好きなことに一途に情熱を傾けられる時代。だから今でも、あの時代を演じるっていうのは、私にとっては大きな喜びです。

■ 『若草物語』へのオマージュを込めた役づくり

――劇中、髪を赤く染めたり、『若草物語』のジョーのように髪をバッサリ切ったり、ジョアンナの髪がすごく象徴的なモチーフとしてストーリーを貫いていると思いました。そういった髪型やファッションで、ビーニーさんがこだわった点があれば教えてください。

ビーニー:『若草物語』のことに気づいてくださってありがとうございます! 原作者のキャトリンも私も大好きで、劇中、たくさんのオマージュがシーンに込められているんです。ご指摘の通り、赤い髪もそうです。実はウィッグなのですが、ロンドンのウィッグ店さんが手作りで作ってくれたもので、ショートが私の一番のお気に入りでした。あの髪型をしているときは反逆心みたいなものが湧き上がって、自分がクールに思えてきたので、ずっとあの髪型でいようかなって思ったくらい(笑)。

――アクセントを習得するために2週間ウルヴァーハンプトンに滞在されたそうですが、アクセント以外で役作りに生かせたところはありますか?

ビーニー:アクセントを習得すること以外なら、やっぱりそこにじっくり滞在して、生活することで深みのある役づくりができたというのはありますね。キャトリンの家にも行くことができましたし、本当に有意義でした。現在は、他の方が住んでいるので中に入ることはできませんでしたが、彼女が歩いた通りに行くことができたし、そこにご近所の方が出てきて、「キャトリンのことなら知っているわよ!」と呼びかけられ、いろんな話を聞くこともできました。町はとても静かで魅力的だけれど、キャトリンには物足りず、情熱を抑えきれずに飛び出したんだな、とか、想像をあれこれ膨らませながら過ごした2週間…そこで生活することでキャトリンという人物をより深く知ることができたように思いますね。

■ 本当の「自分らしさ」を持つことの大切さ

――本作のテーマは「自分作り」とおっしゃっていましたが、自分自身を知るために重要なことはどんなことだと思いますか?

ビーニー:この作品に携わって、本当にたくさんのことを学ぶことができました。キャトリンの文章を読んだ方だったら分かると思いますが、彼女が作品に込めた贈り物の一つは、私たち一人ひとりに「それでいいんだよ」「間違っていてもいいんだよ」と許しを与えてくれるところです。ティーンエイジャーはもとより、大人にも、「挑戦し続けていいんだよ」「変化しても許してあげるよ」と背中を押してあげることがすごく大切なことだと思うんですね。

また、キャトリンがよく言うのは、「自分を守るための鎧(よろい)を着てしまうと、安心するし、安全だとは思うけど、一方で鎧があるためにそれ以上挑戦できなくなってしまう」という閉塞感。踊りたくても踊れないし、自由に動くことができなくなる…そのことがどんなに人生をつまらないものにしているかを改めてこの作品から学んだような気がします。

――ビーニーさんは、「本当の自分らしさ」と、ファンから「求められる自分らしさ」にギャップを感じることがありますか?

ビーニー:もちろん、皆さんそうした経験があると思いますが、私たちのような人目につく仕事をしていると、その感覚が何倍にもなってしまうのは現実としてありますね。求められたものを返せる時もあれば、返せない時もあるし、このようなインタビューで答えた言葉が、活字になると、意図していなかった方向で捉えられてしまったりすることもある。大切なのは、何があっても「自分」というものをしっかり持っていること、結局、そこに行き着きますよね。

――本作のように、ポジティブなメッセージを社会に発信する作品が増えていると思います。ビーニーさんはこうした傾向をどのように感じていますか?

ビーニー:全く同感です。そういう作品にもっと関わって行きたいと思っています。今回の作品も素晴らしい旅でした。ジョアンナはまだキャリアウーマンというほどの年齢ではないけど、着実に自分のキャリアを築き始め、自分の名を周りに知らし始め、そしてお金を稼いで家族を支えている。そんな彼女の成功していく姿を演じられたことで私も何か受け止めるものもあったと思います。これから演者としてそういう作品にどんどん関わっていきたいし、観客としてもそういう社会的なインパクトのある作品をもっと観たいと思います。特に大学で社会学を学んでいたので、そういう視点が私の中にしっかり根付いているのかもしれませんね。(取材・文:坂田正樹)

 映画『ビルド・ア・ガール』は全国公開中。
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