『ガラスの仮面』実力はあるのに! マヤのライバルになりそこねた人物3選

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2021年10月22日 12:01  リアルサウンド

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『ガラスの仮面(1)』

※本稿は『ガラスの仮面』の内容に触れている箇所がございます。未読の方はご注意ください。


 未完の大長編漫画『ガラスの仮面』(美内すずえ)の主人公・北島マヤは、天才的な演技の才能を持つ少女である。マヤの宿命のライバルと言えば「演劇界のサラブレッド」とも呼ばれる姫川亜弓で、血のにじむ努力でマヤと共に伝説の演目『紅天女』の主演候補になった。


 『ガラスの仮面』には、他にも演技力に長けた少女たちが登場する。亜弓がいない『ガラスの仮面』は今や想像もできないが、もしそのような世界線があれば、誰がマヤの強敵となったのだろうか。選りすぐりの三人の若手女優を紹介する。


関連:『ガラスの仮面』雪の中、納屋で役作りで猛特訓する姿が描かれた3巻


■最初にマヤの役を奪おうとしたのは……水無月さやか


 唯一紅天女を演じた元大女優・月影千草。マヤを指導する師匠でもある。彼女が立ち上げた劇団つきかげには、実力を買われ月影にスカウトされた役者が、マヤの他に四人いた。マヤ以外は演技の経験も豊富である。


 その中のひとりが、マヤと同い年の水無月さやかだ。マヤが入団してすぐ『若草物語』の上演が決まった。メインは四人姉妹の役で、やさしい印象のさやかは三女のベス役にぴったりだった。しかしベス役に抜擢されたのは、演技経験がほとんどないマヤ。さやかはショックを受ける。


 最初はベス役を奪おうと積極的に自分の演技力をアピールしていたさやかだったが、稽古をする中でマヤの類まれな才能をまのあたりにする。諦めて自分に与えられた役を頑張ろうと心を切り替えるのだ。


 一時はこのまま悪役になるのではないかと思ったさやかだったが、現在は他の三人の役者と共にマヤの友人となり、共演したり稽古を手伝ったりして良好な関係を築いている。


■迫真の演技でマヤを驚かせた……金谷英美


 『奇跡の人』の上演に伴い、マヤと亜弓はオーディションを受けることになった。目指す役は少女時代のヘレン・ケラーである。このオーディションには二人以外も候補者がいた。その中のひとりが、マヤの通う学校の演劇部に所属する金谷英美である。


 この演劇部は、高校演劇の大会でほぼ毎年優勝している。指導しているのも著名人だ。稽古を見たマヤは度肝を抜かれた。英美はマヤと同様に、演技をするとき以外は平凡に見える少女だ。しかしいざ自分の出番になると、表情や動きが一変する。マヤが彼女の稽古を見たとき、鬼気迫る演技で自分の役・鬼婆そのものになっていた。


 オーディション前、各候補者はさまざまな形で稽古をする。英美は徹底的にヘレン・ケラーについて調べつくした。役になりきるには知識が必要で、得た知識から人物像を浮かび上がらせるというのが彼女の役作りの方法だった。


 オーディション当日もヘレンを演じきり、それまで若手女優は亜弓しか褒めていなかった小野寺監督ですら絶賛する出来栄えだった。


 しかし亜弓とマヤは努力と才能によって英美を越えた。負けた英美は、二人をライバルだと認識し、「いつか(マヤと亜弓の実力を)しのいでみせる」と決意して会場を去る。


 英美は卑怯なところのない実力派の役者だった。再登場があるかどうかはわからないが、作品の外で今も女優として活躍しているのだろう。


■卑怯な手段でマヤを陥れ主演の座を奪う……乙部のりえ


 さやかと英美はあくまでも演技でマヤと戦おうとする実力者だったが、マヤが芸能界で有名になった頃から登場する乙部のりえは違っていた。


 最初はマヤのファンとして、地味な姿に変装して現場に現れる。マヤが母の死でショックを受けたとき、それをチャンスととらえてマヤを陥れ、変装を解いて本来の姿を明かし、マヤが演じていた役を奪う。はじめからマヤを利用して芸能界でのし上がるつもりだったのだ。


 彼女にマヤほどの才能がないことをいち早く見抜いたのは姫川亜弓だ。亜弓は、のりえの演技はマヤの模倣にすぎないと言い当て、直後にのりえが卑怯な手段でマヤを芸能界から追放したと知る。


 初主演の舞台『カーミラの肖像』でスターになろうとするのりえ。亜弓は自ら希望して主演ではない役でのりえと共演し、本番でのりえをのむ演技をした。観客はのりえではなく亜弓に注目し、劇評家も亜弓だけを絶賛した。


 才能の差に打ちのめされた後、のりえはマヤが亜弓の唯一のライバルだったことを思い出す。のりえの最後の登場シーンは、自分のしでかしたことの恐ろしさに震える場面だ。のりえはマヤや亜弓の実力にはとうてい及ばなかったのだ。


■『ガラスの仮面』をより輝かせた三人の少女たち


 伝説の役・紅天女を演じるのは、才能だけでも、努力だけでも不可能だ。マヤと張り合える宿命のライバルは、やはり亜弓だけである。亜弓はかなり早い段階からマヤをライバルとして意識していたが、意外とマヤがそれを自覚するのは『ガラスの仮面』連載開始からだいぶ経ってからである。


 マヤと亜弓が演技力を競う場面だけではなく、マヤのライバルになりかけた少女たちの奮闘を読んでみると、よりこの漫画の面白さが実感できるはずだ。


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  • 乙部のりえしか覚えてないわ。
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