ドコモの通信障害から考える「サブ回線」を持つ意味とは

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2021年10月22日 13:32  ITmedia NEWS

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写真最近のiPhoneは物理SIMとeSIMの2つのSIMを利用できる
最近のiPhoneは物理SIMとeSIMの2つのSIMを利用できる

 10月14日夕方に発生したNTTドコモの通信障害は、復旧までに長い時間がかかったこともあり、多くの人に影響を与えた。



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 その過程で話題になったのは、「回線トラブルに備えて予備回線を持つのは現実的なことなのか」ということだ。



 個人でメイン回線以外にサブ回線を契約し、常時使える状態にしている人は決して多くない。ハードルが高いのは事実だろう。



 だが、そのハードルは下がっているのも事実だし、見方を変えれば「別の方法」があるのも事実だ。



 回線トラブルへの対応手段について、改めて考えてみたい。



●ドコモのトラブルは「状況の複雑さ」が混乱を拡大した



 10月14日に起きたNTTドコモの障害で、最後まで残った3G回線での不具合が解消されたのは、翌15日午後10時のことだった。30時間近くトラブルが続いたこともあり、影響を受けた人も多いだろう。



 筆者もNTTドコモ回線を使っている。だが一時的に通話に支障が出た程度で、そこまで深刻ではなかった。より深刻なトラブルに見舞われた人にとっては災難でしかなかっただろう。



 今回の件については、トラブルの状況にばらつきがあり、状況が分かりにくかった。理由の詳細は省くが、アンテナピクトまで消えて完全にダメだった人もいれば、通話だけできずに通信はできた人もいる。



 さらに「トラブルから回復した」と思われる時間も明確でなかったことから、問題がさらに複雑化した部分もある。



 14日午後7時57分、NTTドコモから「ネットワーク規制が完全に緩和された」と案内が出る。これはトラブルから完全に復旧したことを意味していない。トラブルが原因となって携帯電話ネットワーク全体にさらなる悪影響が出ることを防ぐためにかけていた制限を緩和した、というものだ。



 だが、10月14日午後7時台後半から、一部メディアから「NTTドコモのトラブルは復旧の見通し」という報道が始まった。中には「完全復旧」という見出しのものもあった。



 結果として、そうした報道を見た人や、ネットワーク制限緩和によってアンテナピクトが復活したことによって「電話がつながる」と思った人が一斉に使い始め、ネットワークのトラブルを生んだ。



 実際に、4Gや5Gのトラブルが解消されたのは15日午前5時のことであり、トラブル部分の切り分けがより難しかった3Gについては「影響範囲は4G・5Gほどではない」(NTTドコモ)ものの、完全復旧が15日午後10時とかなり遅くなっている。



 面倒なのは、通信障害の影響を受けた「利用者の数」を算出するのが難しい、という点だ。



 NTTドコモは、通話や通信の量が通常に比べ何%少ないかや、どのくらいの回数通信が試みられたのかはすぐに算出できる。だが、つながらないために一人が何度も通信・通話を試みた可能性が高く、結果として何人に、どのように影響を与えていたのか、というデータを算出するのが難しい。



 そうしたことも、今の「携帯電話ネットワークのトラブル」を語る上では理解しておきたいポイントである。



●必要ならば「サブ回線」を、楽天とpovo2.0が追い風に



 どちらにしろ、携帯電話ネットワークがトラブルによって不通になることは「十分にあり得る」ことだ。どの事業者でもその可能性はあるし、利用者の側から何かすることで避けるのも難しい。



 この辺は、日常的な回線の快適さや「通話可能エリア」の話とはまた違うものだ。



 MVNOであっても、今回のように大規模な通信障害が回線を提供するMNO側で起きると、結局「借りている立場」なのでトラブルの影響を受けることもある。



 仕事などの関係で携帯電話ネットワークに強く依存している場合、万一のために「トラブルが起きた回線以外を用意する」ことを考えるべきかもしれない。



 筆者は複数回線を持っているが、これは各社サービスのテストや理解のためと、トラブル時のリスク回避の両方の意味がある。大手MNO4社とは全て契約している。



 これは非常に特殊な例だ。データ使い放題の契約を複数社と交わす人はごく少数であり、普通はやはり「1社としか契約しない」ものだ。コストの面を考えれば当然といえる。



 ただ、ハードルが本当にコストであるなら、現在はずいぶん状況が変わってきたといえる。「povo2.0」や「楽天モバイル」のように、あまり使わないのであれば毎月の支払いをごく少額に抑えられるサービスが出てきているからだ。



 以前、こうした複数回線の契約はMVNO回線が使われてきた。低価格なプランであえて「サブ回線」を持っておくわけだ。今もそれは有効なのだが、前述の2サービスが「使わない場合には利用料はほぼゼロ」という形を示してしまったので、魅力は薄れている。



 本当に「仕事上、回線が落ちては困る」のであれば、これらの回線を利用し「複線化」できるよう考えておくべきだろう。



●サブ回線、eSIMにするか物理SIMか



 とはいえ、課題はもちろん残っている。



 サブ回線を用意するとして、それを「どう使うのか」という点だ。



 古いスマートフォンを用意し、そちらに入れて「サブ回線用」にすることもできるだろうが、サブ回線のためにスマホを2台持ち歩き、どちらの充電も管理し続けられる人は、やはりちょっと特別な人かと思う。



 メインのスマホ1台で対応するのが望ましい。トラブルを察知してサッと素早く回線を切り替える形がいいだろう。



 手早くやりたいなら、やはりeSIMがいい。スマホの中で設定変更すれば良いので、分かってしまえば簡単だ。また、今だと2つの回線を同時に待ち受けられるので、切り替える必要すらない。



 2枚のSIMカードを入れられて、どちらでも待ち受けできるスマホもあるが、日本では、一部のオープン市場(過去のSIMフリー市場)向けの製品に限られている。同時待ち受けなら「eSIM」の方が楽だろう。楽天モバイルやpovo2.0が有利なのは、eSIMでの契約がしやすいから、という部分もある。



 ただ、結局一番の課題は「eSIM対応のスマホを用意すること」だ。すでに持っているスマホがeSIM対応ならいいが、そうでない場合、買い替えが必要になってくる。iPhoneの場合ならiPhone XS/XS Max/XR以降で対応しているが、Androidは国内向けの機種の場合、未対応のものが多い。楽天が積極的に対応端末をそろえているが、他の事業者に関してはまだこれからだ。SIMロックのないオープン市場向けのデバイスには対応製品も多く、GoogleのPixelシリーズなどがeSIM対応となっている。



 実際問題、eSIMでなくても「サブ回線」運用はできる。サブ回線用のSIMカードを持ち歩いておき、必要な時に差し替えるのだ。サブ回線用のSIMカードとSIMピンを薄いケースなどに入れ、カバンの中などに入れておくのがいいだろう。



 どちらにしろ、1台のスマホで「サブ回線運用」をする場合には、スマホ側は「SIMロックがかかっていない」ことが前提となる。これはeSIMでも物理SIMでも同様。2つの回線事業者を併用する場合、SIMロックがかかっていると使えない。



 最近購入した機種であればロックがかかっていないこともあるし、10月1日以降は原則としてSIMロックはかからない形で出荷されることになった。だがその前に携帯電話事業者から買ったものである場合、SIMロックを解除しておく必要がある。



●Wi-Fiも含め「複線化」は柔軟な発想で



 筆者は「複線化」に対し、また別の発想もあると思ってる。何が何でも「スマホの中で携帯電話回線を使う」ことにこだわる必要はない。



 筆者は複数回線を契約していると述べたが、実のところ出歩く時、常にスマホを何台も持ち歩いているわけではない。メインのスマホ1台と「セルラー版のiPad Pro」を持ち歩いている。この両者で使う事業者を分けることで、どちらかの調子が悪かったり、回線の入りが悪い時でも、もう一方で対応できる……という体制にしているのだ。



 そもそもは「iPad Proでどこでも通信を使いたい」という発想だったのだが、同時に、スマホ側の回線がダメなとき、iPad側からWi-Fiでつないだり、逆にiPad側がダメな時にスマホをテザリングしたりする使い方をしている。費用はそれなりにかかっているが、「スマホをサブとして2台持ち歩く」「使わないサブ回線のSIMを持ち歩く」よりは、ニーズ的にもすっきりしている……と自分では考えている。



 もちろん、片方は別にiPadである必要はない。別のタブレットでもいいし、4Gや5Gを搭載したPCでもいいだろう。



 もっとお金を使わない方法もある。



 立ち寄り先に公衆Wi-Fiがあるなら、それを使うことを考えても良いはずだ。駅やコンビニ、携帯電話ショップなど、その気になればけっこういろいろな場所にある。都会のように移動しやすい場所に有利な考え方ではあるが、コンビニや携帯電話ショップを視野に入れれば、歩いて移動できる範囲にあることも期待しやすいのではないだろうか。



 今回起きたNTTドコモのトラブルは、純粋に「ドコモ側のミス」によるものだった。だが、「回線が不通になる」ことは、災害時などにも十分考えられる。



 その時は仕事や待ち合わせのためでなく、安全・安心のために通信が必要になるだろう。そこでこそ「複線化」の発想は必要になる。サブ回線の用意もあっていいし、「近くでWi-Fiが使える場所はどこか」を頭に入れておく必要もある。どれも使えないかもしれないが、逆にいえば、どれかで少しでも通信ができて、安否確認できればそれでいい。



 この機会に、「自分はどのくらい『オフライン』の時間があってはいけないのか」「災害時も含め、どうしても回線が必要な時はどこに行くべきか」を考えておいてもいいのではないだろうか。


このニュースに関するつぶやき

  • 正副入れたら「お知らせ」も2倍になるのかな?
    • イイネ!0
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  • 私は災害時にとりあえず強そうなDocomoを選んでる。今回の障害のときは、お母さんから電話来るまで知らなかったし、なんならWi-Fiでゲームしてたw つまり、さほど深刻に考えてないw
    • イイネ!15
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