渡邊雄太、八村塁の今季の活躍は? NBAイースタンはビッグ3の一角が欠けたネッツに黄信号

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2021年10月22日 17:11  webスポルティーバ

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 NBAの2021~22シーズンが開幕した。日本のファンにとっては、やはりイースタン・カンファレンスのチームに属する2人の日本人選手たちの活躍が、注目ポイントのひとつになるだろう。




 現地時間10月18日、各チームが開幕ロースターを発表し、渡邊雄太もトロント・ラプターズの一員として登録された。メンフィス・グリズリーズの2ウェイ契約選手だった2年間も含め、これで4年連続のロースター入り。本契約選手として開幕を迎えたのは初めてとなる。

 今プレシーズンでは、すべてが順調だったわけではなかった。10月6日の練習中に左ふくらはぎを負傷した渡邊は、以降のプレシーズン戦を欠場。10月20日、当初は八村塁との日本人対決が期待されたワシントン・ウィザーズとの開幕戦に間に合わなかったのは残念ではあった。

 ただ、大事な時期に離脱しても、ニック・ナースHCをはじめラプターズ首脳陣の渡邊に対する高評価は変わらなかった。昨季、自己最多の50戦に出場し、その能力とチームへのフィットが認められたということだろう。プレーオフの連続出場が7シーズンでストップしたばかりのラプターズに、今季の渡邊がどのような形で貢献していくか楽しみだ。

「去年同様、まずディフェンスをしっかりやって、オープンショットをしっかり決めて、オフェンスにもっと絡んでいきたい。僕には『NBAで優勝したい』という目標があります。ラプターズの一員として、優勝に貢献できるような選手になっていきたい。具体的な数字とかではなく、(勝つために)チームから求められる選手になっていかなきゃいけないと思っています」

 現実的に、今季のラプターズは優勝に近い位置にいるチームではない。だが、向上中のプレーだけでなく、チームに対して献身的な渡邊のメンタリティーは、コーチ陣、チームメイトたちからも好意的に受け取られているはずだ。年齢的にもピークの27歳。ケガの影響を引きずることがない限り、日本バスケットボール界が誇る"努力する俊才"は今季中にさらに成長する可能性は高い。

 一方、ここ2年でウィザーズの主力に定着した八村は、3年目のスタートが遅れている。9月27日、NBA の各チームでほぼ一斉に催されたメディアデイを"個人的な事情"を理由に欠席。以降、トレーニングキャンプにも合流できず、4戦のプレシーズン戦はすべて欠場した。

 10月10日、八村がワシントンDCに到着したことをNBCスポーツ電子版が報じたが、今はまだ個人練習でコンディションを整えている段階。NBAでの3シーズン目にして、初めて開幕戦の出場は叶わなかった。

 それでも、今季からウィザーズの指揮を執るウェス・アンセルド Jr.HCは、八村の状況を理解し、焦らずに取り組んでいくことの大切さを強調している。

「じっくりと様子を見ていきたい。彼が万全な時に復帰すればいいと思っている。もっとも大事なのは復帰に向けて時間をかけること。他の選手にも言えることだが、ブレずに取り組むことだ」

 昨季まではラッセル ・ウェストブルック、ブラッドリー・ビールという2人のガードが絶対的存在だったウィザーズだが、オフにウェストブルックがトレードされ、チームは大きく変わった。昨季までは層が薄かったウィザーズのウィングには、カイル・クーズマ、ダービス・ベルターンス、ケンテイビアス・コルドウェル ポープ、デニ・アブディヤ、新人のコーリー・キスパートらが揃ったという背景もあって、復帰後も八村のスタメンの座はもう安泰ではあるまい。

 ただ、何よりも大事なのは、八村自身が最高のコンディションを作っていくことだ。それさえできれば、遅れは取り戻せるはず。波乱のスタートになった八村の2020~21シーズンが、徐々に、少しずつでもいい方向に進んでいくことを願いたい。

 そのほかの今季のイースタン・カンファレンスの見どころとしては、やはりスーパースター軍団を中心とした優勝争いになる。

 開幕前の時点でもっとも評判がよかったのは、ケビン・デュラント、ジェームズ・ハーデン、カイリー・アービングという"ビッグ3"が、トリオ結成2年目を迎えたブルックリン・ネッツだった。昨季は多くのケガ人を出しながら、のちにファイナルを制することになるミルウォーキー・バックスとプレーオフの第2ラウンドで死闘を演じた。シリーズ最終戦で敗れはしたものの、ポテンシャルの高さを印象づけたと言っていい。

 今オフにパティ・ミルズ、ポール・ミルサップらを獲得した補強の評価も上々。スター選手とロールプレーヤーのバランスがよく、主力のコンディションさえよければ今季は高勝率を残す可能性は高い。

 しかし――。絶対に負けられないシーズンの開幕前、少々意外な形でビッグ3のひとりが離脱している。過去オールスターに7度選出されたアービングが、新型コロナウイルスのワクチン接種を拒否。ネッツが本拠地を置くニューヨークでは、ワクチンを打っていない選手のプレーが許されていないため、アービングはゲームに出場できない事態になった。

 10月12日、ショーン・マークスGMは次のようにコメントした。

「私たちはカイリーの選択の権利を尊重する。現在、彼はその選択によってチームにフルタイムで帯同することが難しくなっている。チームとしては、どんなメンバーであれ"パートタイム"での参加は認められない」

 当初、ネッツはアービングを敵地でのゲームのみの"パートタイム・プレーヤー"として起用するという見方もあったが、マークスGMはこの一件が落ち着くまで、アービングをチームに合流させないことを発表。こうして当面の間、3大スターのひとりが不在ななかでの戦いを余儀なくされることになった。

 10月19日、アービング抜きで臨んだ開幕戦で、ネッツは昨季王者のバックス相手に104−127で完敗。この時期の1敗に大騒ぎする必要はないが、理想的ではないスタートになったことは間違いない。今後、アービングはワクチンを接種してチームに戻るのか。それともニューヨーク州の基準が緩和され、ワクチン未接種でもプレーが可能になるのを待つか。今後の動向に注目が集まる。

 本命視されたネッツがもたつくようであれば、バックスの2連覇の可能性が膨らんでくる。昨季のファイナルMVPに輝いた大黒柱ヤニス・アデトクンボを軸に、ドリュー・ホリデー、クリス・ミドルトンという攻守のバランスがいいコアメンバーは健在。守備の要だったTJ・タッカーが移籍したのは痛いが、ブルック・ロペス、ドンテ・ディビンチェンゾ、ボビー・ポーティス、パット・カナートンといったサポーティングキャストは息が合っており、間違いなく今季も上位に入ってくるだろう。

「(昨季の優勝で)僕たちは歴史の一部になったわけだけど、それはもう終わった。今はまたいいバスケットボールをすることに集中すべきとき。今季に連覇を果たし、来季も、その先も勝ち続けたい」

 開幕戦で32得点、14リバウンドと爆発したアデトクンボは、決意に満ちた表情でそう述べた。26歳と今が旬の"グリークフリーク(ギリシャの怪物)"に率いられたバックスが、リピート(連覇)を果たしても驚くべきではない。

 ここまで挙げた2強以外では、今オフにラプターズからカイル・ラウリーを獲得し、ジミー・バトラー、バム・アデバヨとの"職人トリオ"を完成させたマイアミ・ヒートの戦いぶりも楽しみ。また、昨季にトレイ・ヤングというヤングスターに率いられ、予想外の快進撃でカンファレンス・ファイナルに進んだアトランタ・ホークスがどのくらい向上するかも興味深い。さらに、昨季はレギュラーシーズンで最高勝率を挙げながら、プレーオフでは惨敗し、オフに主力のベン・シモンズがトレード志願という激震に見舞われたフィラデルフィア・76ersがどうなるかも目が離せない。

 その他、昨季に復活の狼煙を上げたニューヨーク・ニックス、東京五輪でも活躍したジェイソン・テイタムが引っ張るボストン・セルティックスといった、伝統チームも無視はできない。昨季の新人王である"ファンタジスタ"ラメロ・ボールが率いるホーネッツ、リック・カーライルがHCとして戻ってきたペイサーズにも伸びしろはある。

 これらの有力チームの中から、どこがバックス、ネッツに迫っていくのか。全体にタレント層が分厚くなったイースタン・カンファレンスでは、序盤からハイレベルな争いが続きそうだ。

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