井上尚弥は「練習からオーラが違う」 周囲を驚かせた“ストイック”な逸話

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2021年10月22日 18:00  AERA dot.

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写真拳ひとつでファンを魅了し続ける井上尚弥 (c)朝日新聞社
拳ひとつでファンを魅了し続ける井上尚弥 (c)朝日新聞社
 日本史上最高のボクサーとの呼び声も高い井上尚弥。現在継続中の世界戦15連勝は日本歴代1位で、米ボクシング専門誌「ザ・リング」のパウンド・フォー・パウンド(PFP)では最高で2位となるなど、日本という枠を超え世界のボクシング史に残る名選手なのは間違いない。


【写真】井上のトレーニングを見守る、元ミス・インターナショナル日本代表の村山和実さん
 拳ひとつでファンを魅了し続ける井上だが、試合前の舌戦など何かと“うるさい"格闘家が多い中、井上は決して多くを語らないタイプのボクサーだ。


 そのため、リング外での姿がなかなか見えにくい部分もあるが、周囲の人間の目には井上はどう映っているのだろうか……。井上が昨年から導入した低酸素トレーニングを行う『高地トレーニングStudio. Green・Terrace』(以下、Green・Terrace)でオーナーを務める村山和実さん、そして井上が所属する大橋ボクシングジムの会長・大橋秀行氏に井上の強さの秘密がどこにあるのか聞いてみた。


 横浜にある大橋ジムと同じビルの6階にジムを構えるGreen・Terraceには、井上を含めたボクサーや、他競技のアスリートも多く訪れるが、まず醸し出す雰囲気からして違うという。村山さんは「一番感じるのは、トレーニングにいらっしゃる時のオーラです。また、とてつもない集中力の中でトレーニングされていることがパッと見ただけで伝わってきます」と練習に臨むその姿だけで既に他者とは異なる空気を身にまとっているようだ。


 そして、昨年から取り入れた低酸素ルームのトレーニングは大橋会長曰く「立っているだけでも非常に息苦しい環境になり、その中での走り込みなので、最初は倒れこむぐらいの選手もいました」と過酷な練習となるようだが、「継続して低酸素トレーニングを行うようになり、持久力は飛躍的にアップしました。これで1日のスパーリング数が少なくてもスタミナ強化ができ、実戦を少なくすることでケガも予防もできるようになりました」と、アスリートとして努力を惜しまず、常に成長することを求める姿勢を崩さないという。




 さらに、井上の“常人離れ"したストイックさを感じた瞬間として、村山さんは以下のようなエピソードを教えてくれた。


「低酸素トレーニング中は常に血中酸素飽和度という血中の中にある酸素の量を計測しながら行っていきます。ボクサーの皆さんは心肺機能が強く、通常のトレーニングではこの数値があまり下がらない方が多いのですが、そこを敢えて強度の高いトレーニングを行って、数値が下がったのを見て喜んでいらっしゃったのには驚きました」


 このように、トレーニングを見守るジムのスタッフからは井上が自らを追い込む姿に驚愕したという話が後を絶たない。


 また、少し話は逸れるが、ボクサーは「身体が固い」というイメージもあるが「一度、スタジオで行えるヨガホイールを少し体験していただいた際に背中を反る後屈のポーズがとてもしなやかで驚きました」と身体の柔軟性があるという意外な話もしてくれた。


 もちろんボクサーとしてリング上での強さもケタ違い。プロ入り後から井上の成長を見守り続ける大橋氏は「ボクサーとして国内外どこであっても、どの局面であっても、決して慌てることがないのが凄い部分です。19年11月のWBSS決勝のドネア戦でも分かる通り、眼窩(がんか)底を骨折し、かつ片目が何重にも見えてしまうような状況でも最終ラウンドまで冷静でした。気持ちと身体は熱いのに頭は常にクールなのです。言葉にするのはたやすいですが、行動に移すとなると本当に難しい。それをいとも簡単にやってしまうのです」とリング上での“冷静さ”を絶賛する。


 ただし、ここまではあくまでボクサーとしての姿。時に28歳の青年としての表情も見せてくれる村山さんは語る。


「お会いする前は、“モンスター"と呼ばれているだけあって、武闘派で少し怖いイメージがあったのですが、実際にお会いすると、リングの外ではいつも気さくに笑顔でお話してくださり、普段からとても礼儀正しく爽やかな好青年!という印象に変わりました。また、弟の拓真さんとお2人で練習にいらっしゃることも多く、お互い切削琢磨して今のお2人の強さがあるのだろうと思い、兄弟の絆を感じております」



 そんな“モンスター”井上の次戦が12月14日に東京で行われることが決定した。相手はIBF世界同級6位のケンナコーン・GPPルアカイムック(タイ)。国内でのリングで戦うのは2019年のワールド・ボクシング・スーパーシリーズ(WBSS)のバンタム級決勝戦以来、約2年ぶりとなる。


 WBAスーパー・IBF世界バンタム級の統一王者である井上は久々となる母国のリング上でどんなパフォーマンスを見せてくれるのだろうか。“強すぎて”早く試合が終わってしまうことも多いが、高地トレーニングで鍛えたスタミナがどれほど上がったのかも見てみたい気もする。いずれにせよ、“モンスター”が日本のボクシングファンの前で相手選手を圧倒する姿を披露してくれるはずだ。


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  • パンチで視界がおかしくなり目をグローブで隠しながら視点を合わせたとか、1発目のジャブにいきなり右カウンターを合わせてきた実力者ロドリゲスを2回で料理したとか、何かと凄い。
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