箱根駅伝予選会で好走。昨季スーパールーキーと呼ばれた逸材など本戦でも注目の3選手

0

2021年10月25日 06:51  webスポルティーバ

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

webスポルティーバ

写真写真




 

 今回の箱根駅伝予選会は、駿河台大が初出場を決め、箱根常連校の拓殖大が11位で落選するなど、例年のように明暗が分かれる大会になった。予選突破を決めたチームには、エースはもちろん、故障から復帰した選手がいきなり活躍するなど、チームを勢いづかせる要素がある。本戦出場を決めたチームからキープレーヤーにクローズアップした。

 今回の予選会で安定した強さを見せたのが、明治大だ。

 10キロ、15キロとトップを走り、最終的に10時間33分22秒でトップ通過を決めた。そのなかで、チームのトップ通過に大きな役割を果たしたのが、児玉真輝(2年)だ。次代のエース候補であり、自らもその意識が高い児玉は1時間2分58秒で日本人9位、明大では加藤大誠(3年)、鈴木聖人(4年)についで3番目でフィニッシュした。

「今日のレースは、風が出たり、気温が高くなったりすると思っていたので、個人的にはあまりタイムを気にしないようにしていました。日本人の2位集団の中で粘って走り、後半に上げていって、1位集団に追いつけたらというプランで走っていたんですが、そのとおりになりました。そういう意味では自分らしいレースができたかなと思いますし、自信がつきました」

 だが、明大内での順位について感想を聞かれると、表情が引き締まった。2年生としては、十分に役割を果たしたかのように見えたが、児玉はもうひとつという様子だった。

「チームのなかではトップを目指していました。先輩方に負けてしまったので、悔しい気持ちが大きいですね。先輩方に頼りすぎなので、自分は(先輩方を)どんどん倒していくという気持ちでこれからやっていきたいです」

 児玉の調子が100%であれば、明大内でのトップも見えただろう。だが、この予選会は、児玉にとってはレース復帰戦だった。5月、関東インカレ前に肺気胸を患った。再発を防ぐために手術を行ない、それから1か月半、走ることはもちろん、歩くのが精一杯という状況だった。

「手術して何もできなかった時は、キツかったですね。でも、7月にちょっとずつ走り始めて、夏合宿でだんだん上げていくことができました」

 夏合宿に参加した時も最初からトップチームの練習に参加できたわけではなかった。主力の選手が30キロ走をしている時、児玉は20キロに落とすなどセーブして練習しつつ、個人的な目標を持って練習をこなしていた。

「夏合宿は、復帰過程だったので、まずはケガをせず、確実に体力と走力を戻していくのと、予選会があるのでハーフマラソンの距離に対応するために距離を走るというふたつのことを意識して練習していました。左の肺に穴が開いたんですけど、合宿の最初の頃はすごく違和感があったんです。でも、気がついたら違和感がなくなって、最後は1番上のチームで、みんなと一緒に練習ができるようになったのでホッとしました」

 児玉は復帰レースとなった予選会で結果を出し、チームは箱根駅伝の出場権を獲得した。昨年は、優勝を目標に臨んだが、11位という予想外の結果に終わり、選手は失意の底に落ちた。「同じ思いは二度としたくはない」と児玉は語る。希望区間は、2区だ。

「2区は、地元ですからね(笑)。そこをエースとして走るのか、それとも耐える区間としての2区になるのか、まだわからないですけど、自分は2区を行きたいです」

 2区に児玉が入れば、他の区間を上級生が走り、強豪校とも十分に戦えるオーダーが組める。そうなればシード権獲得はもちろん、5位内も狙えるだろう。

 中央大吉居大和(2年)も児玉同様に、このレースで復活を印象づけるすばらしい走りを見せた。中央大は今回、予選会で2位通過を果たしたが、そのチームにあって吉居は1時間2分51秒でチームトップのタイムを叩き出した。

 吉居は、1年時、スーパールーキーとして三浦龍司(順天堂大)とともに陸上界に新風を吹かせた。5000mでは、13分28秒31のU20(20歳未満)日本記録をマークし、全日本インカレの5000mで驚異的なラストスパートを見せて優勝。箱根予選会でも一時、日本人トップを走り、最後は三浦に敗れたが、チームのトップをマークし、箱根駅伝出場に貢献した。

 だが、2年目のジンクスなのか。2年目に向けてさらに飛躍するために1年生の終わりにアメリカに行ったが、帰国後、なかなか調子が上がらなかった。

「アメリカに行って、春のシーズン、調子が上がらなかったのでアメリカに合わなかったんじゃないかって思われていると思うんです。もちろんそれもあったのかもしれないですけど、それだけはありません。調子が上がらない原因がわかったらこんなに苦しむことはなかったと思うんです」

 不調の原因がわからず答えを探しつづけ、トラックシーズンは苦しんだ。3か月ぶりに出場したレース、9月の全日本インカレ5000mも14分12秒80で11位に終わった。

「前半シーズン、自分が思うような走りができず、悔しかったです。トラックでは結果が出なかったですけど、距離に対する苦手意識を克服するために夏合宿でしっかりと走りこみをしましたし、その手応えも感じていました。今日は、自信をもってスタートラインに立てました」 

 レースは昨年の予選会のような積極的な走りを見せた。日本人のトップ集団に入り、粘り強くしっかりとついていった。

「風が非常に強かったので、大きな集団のなかで様子を見ながら走っていました。最後、その集団をかわしきれなかったことは課題ですね。でも、最後まで前で走ってラストスパートで勝負ができ、久しぶりに自分の走りができたと思います。前半シーズンのように粘ることができずにズルズル落ちていくという状態にならなかったのは、大きな収穫でした」

 もともとスピ―ドはあったが、スピード持続力が戻り、粘りも出てきた。これから全日本大学駅伝、箱根駅伝に対応していけるだけの力が戻ってきていることを確認できた。箱根では、リベンジに燃えている。

「前回の箱根では自分は失速してしまったので(3区15位)、個人的にはそのリベンジをしたいと思います。チームとしてはシード権をとるのが目標になります。希望区間は、1区ですね。単独走よりもよーいドンからの集団走のほうが自分の持ち味が出ると思っているので。ただ、最終的には任された区間で結果を出して、チーム全員で笑って終われるように頑張りたいと思います」

 吉居の復活は、戦力としてはもちろん、チームの士気を高め、一体感を生む源にもなった。全日本、箱根とエースを軸とした中大は、大きな風を吹かせてくれそうだ。

 中央学院大は昨年11位で箱根駅伝への出場が叶わず、悔し涙を流した。今年は7位で予選会を突破し、箱根に戻ることになる。復活劇の主役は、栗原啓吾(4年)だ。ラストは、ふらふらになりながらも歯を食いしばって粘り、1時間2分46秒の日本人トップでフィニッシュした。

「相手が詰めてきたのは息が聞こえてくるまでわからなかったんですが、1秒でも稼がないといけないと思ったので、最後は粘りました。本当は、もう少しあとのラスト1キロぐらいで上げる予定だったんです。でも、集団が思った以上に固まっていたので、このままいくと勝てないという焦りが出てきて......。ラストは、失速しましたが、日本人トップを狙っていたので、そこはとれてよかったです」

 栗原はホッとした表情を見せた。

 昨年の落選から1年、ここまで栗原は「長かったです」と苦笑した。自分たちはなぜ負けたのかを考え、その弱点を補うべく練習に取り組んできた。

「昨年、予選会で負けたのは、スピードに対応できなかったことと、15キロ以降の粘りが足りなかったからでした。今年は、スピード練習を取り入れてやってきましたし、ハーフ対策としては後半にしっかりと上げられる練習をしてきました。練習の質が高いので、崩れてしまう選手もいたんですが、それでもみんな必死に食らいついてきたので、力はついてきたと思います」

 6月の全日本大学駅伝予選会では、その力の一端を示し、3組の小島慎也と武川流以名がワンツーフィニッシュを見せ、栗本も4組で9位に入るなど総合6位で通過した。その後、チームには故障者が多く出てしまい、今回の予選会もベストメンバーをそろえることができなかった。

「ここまで正直、怖かったです。故障者が多く、チームはドン底で、もしかしたらまた落ちるかもしれないという危機感が大きく、余裕はなかったです」

 それでもチームは練習の成果を見せて予選を突破した。だが、栗原は満足していない。

「今回、主力選手、昨年走れている選手が出ていないので、まずチームの足並みをそろえることが大事かなと思います。そうして箱根では、みんな、万全の状態で走ってほしいと思っています」

 全日本大学駅伝予選会で活躍した駅伝主将の小島や武川、松島匠らが戻ってくれば、箱根でも戦える手応えを栗原は感じている。その箱根駅伝、栗原は1年時は3区13位、2年時は1区5位だった。最後の箱根は、どの区間を走りたいと思っているのだろうか。

「まだ決まってはいませんが、1区か3区と言われています。自分は逆転できるような力はないんですが、有利なポジションをキープしてうしろにつなげ、しっかりと流れを持ってこれるような走りをしたいです。そうしてシード権を獲得するのが目標です」

 箱根で主力が戻り、栗原が今回のように快走すれば、フラッシュイエローのユニフォームはより鋭い輝きを放つだろう。

    ニュース設定