うさぎが観光客に翻弄されている? 野生で500羽以上生息する「うさぎの島」に写真家が警鐘

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2021年10月25日 07:30  ORICON NEWS

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写真大久野島のうさぎたち(C)うさぎ写真家 uta
大久野島のうさぎたち(C)うさぎ写真家 uta
 瀬戸内海に浮かぶ小さな島、大久野島をご存知だろうか。別名「うさぎの島」とも呼ばれるその場所では、野生のうさぎが500羽以上生息しており、たくさんのうさぎと触れ合うことができる。そんな大久野島のことを「うた島」と呼び、こよなく愛する中村隆之・麿矢さん夫妻は、“うさぎ写真家”として2000年から大久野島のうさぎを撮影し続けている。2011年には、日本初の「移動型うさぎさん撮影会」をスタートさせるなど、うさぎの魅力を伝えるため活動している2人に、野生のうさぎならではの魅力や、観光地でもある大久野島が抱える問題点についても聞いた。

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■自然の中で生きるうさぎに魅せられ20年 大久野島の環境に疑問「私たちに何か出来ないか」

――うさぎに魅せられたきっかけを教えてください。

もともと2人とも動物が好きで、うさぎさんも好きだったのですが、2000年に一緒に大久野島へ行ったことがきっかけで、魅力にとりつかれました。

――どれくらいの頻度でうさぎ達を撮影されているのでしょうか。

以前(2009年まで)は、広島の三原市に住んでいましたので毎週のように通っていることもありました。熊本に引っ越してからは、月に4〜6日間ほど滞在して大久野島のうさぎさんたちを撮影し、うさぎさんの変化なども観察するようにしています。各地のおうちで暮らすうさぎさんたちは、コロナ禍前までは、夏以外の時期は毎月「撮影会」を各地で開催し撮影しておりました。

――かなりの頻度だと思いますが、これまでで何枚くらい撮影されたのでしょうか。

あまりに多すぎて正確には数えられていませんが、数十万枚は撮影しております。

――数十万も!その中で発見した撮影のコツなどはあるのでしょうか。

うさぎさんたちがどんな時にどんな行動をするかということを観察し、撮影したいと思う場面を思い描くことだと思います。そうすることで、うさぎさんが「次に何をするか」を先読みすることが出来るんです。先読みをして、撮りたい写真に近づけていけたら楽しく撮影出来ると思います。そして、何より大切なのは「うさぎさんを愛すること」ですね。

――20 年以上愛してやまないうさぎの魅力とは何でしょうか。

うさぎさんの魅力は何といっても「可愛いこと」だと思います。ですが、私たちが20年以上大久野島のうさぎさんたちを撮影し続けることになった理由は「自然の中で生き生きと過ごしている姿」に心を奪われたからです。大久野島のうさぎさんたちは、生きるだけで危険を伴い、過酷な環境で過ごすことも多々あります。どんな状況になろうとも、うさぎさんたちは文句を言う訳でも、恨む訳でもなく、逞しく精一杯生き生きと暮らしています。それが何よりも魅力的に感じています。私たちがSNSで発信をはじめたきっかけも、そんな健気な大久野島のうさぎさんが置かれている立場に疑問を持ち、おこがましくも「私たちに何か出来ないか」と思ったからです。

■観光地になり生態系が変化した“うさぎ島” 「人間が干渉しすぎるべきではない」

――数多くの野生のうさぎが生息している大久野島の魅力を教えてください。

大久野島はうさぎさんとふれあえる島として有名になりました。「ふれあい」だけでしたら動物園などでも出来ますが、生態を観察しながら見守れる場所は貴重で、私たちは他には知りません。静かに見守れば、アナウサギの自然の営みが間近で観察できる、日本のみならず世界でもまれな、魅力的な場所だと思います。また、それだけではなく綺麗な景色や自然も大久野島の魅力の一つです。

――大久野島では、人間とうさぎたちは共存関係にあるのでしょうか。

共存という言い方よりもどちらかというと、うさぎさんが人に翻弄されているというべきなのかもしれません。近年、観光客が増えたことで、天敵に狙われにくくなったり、たくさんのエサをもらい栄養状態が良くなり一度に出産する仔うさぎの数が増えたりしたことで、結果的にうさぎさんの数が増えすぎてしまいました。しかし、ここ数年では、うさぎが食べきれずに余って放置されたエサでカラスやネズミなどの天敵が増えてしまい、うさぎさんの数が減るという状況に陥っていました。今回のように、コロナ禍で人が行かなくなったことにも影響を受けていることは確かです。ですがうさぎさんたちは人の行動に文句も言わず、恨むこともなく、健気に暮らしています。人間側は、もっとうさぎさんたちのためにはどうしたらいいのかを考えるべきだと感じています。

――うさぎと接する際の注意点はありますか?

「過度に干渉しないこと」です。もちろん、人が原因でうさぎさんに危害がおよぶことに対しては、対策をしなくてはならないのですが、自然の生活を送る上での出来事に対しては、私たち人間が干渉しすぎるべきではないと考えています。皆様にお伝えしたい注意点としては、うさぎさんは身体が「飛び跳ねることが出来るように」出来ているため、骨が細くすぐに骨折をしてしまいます。むやみに抱っこをしたり、不注意で踏んでしまわないように気を付けてもらえたらと思います。また、過度の「餌やり」が、うさぎさんたちの本能を失わせることにもつながりますので、適度な距離感が必要だと考えています。

■20年以上観察していても日々気付きや発見が「うさぎたちはかけがえのない存在」

――大久野島に生息するうさぎたちの生態を教えていただけますでしょうか。

まずは、うさぎさんの一生についてお話いたします。おんなの子が妊娠をすると、巣穴を掘り子育ての場所を作ります。そこで出産し巣穴の中で育て、1か月ほどで仔うさぎたちが外に出てきます。(この頃、カラスなどの天敵に狙われ半分以上が捕食されてしまいます)
そこで運よく育った仔たちは大人になっていきます。平均で2・3歳くらいが寿命だと言われていますが、長生きをするうさぎさんは6〜7歳まで元気に過ごしています。食べ物についてですが、果実や草花や葉っぱ(枯葉も)、木の根などの比較的栄養の少ないと言われるものを食べて一度盲腸糞という栄養価の高い糞を作り、それを食べることで生きていくために必要な栄養素を摂取して過ごします。うさぎさんの数が多すぎなければ、大久野島の自然の食べ物だけで生きていけます。

――大久野島のうさぎが増えすぎることによる問題点などはあるのでしょうか。

うさぎさんが増えすぎると、病気がまん延してしまいます。また、限られた食べ物やテリトリーをめぐって喧嘩が増え、怪我が増えます。大久野島の自然に対して、うさぎさんの数が多すぎると自然の食べ物だけでは生きていけなくなるので、適正な数が保たれることが大切です。

――長い間うさぎたちを撮影していた気づいたこと、発見したことはございますでしょうか。

20年以上観察し撮影していても、日々気付きや発見があります。先入観を持たずに観察することで、一般的に言われていることとは違うことを発見できることも多くありました。
うさぎさんの食事についても、色んな発見をさせてもらいました。毎回大久野島に行くたびに教えてもらうことばかりです。

――お 2 人にとってうさぎはどのような存在でしょうか。

私たちの人生の半分近くを大久野島のうさぎさんたちと共に過ごしてきました。ですので、無くてはならないかけがえのない存在です。これからもずっと見守り続けたいと思っています。

このニュースに関するつぶやき

  • 難しいことだけど野生環境だけにしていて病気や怪我をしたうさぎも放置で?数を一定数保つために一部のうさぎに避妊手術したり、産まれた子うさぎを天敵から守るのもいけないこと?観光地化してる島ですよね
    • イイネ!0
    • コメント 2件
  • 大久野島には、とある団体が定期的にウサギ達へエサを与えに来ていると言う。そんな連中が生態系を狂わしているのは間違いないと思うけどね。そんなに可愛いければ、引き取って自宅で飼ったらどうだ?
    • イイネ!66
    • コメント 3件

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