戦力外から“復活”の2人が明暗…中日福留は高評価も、ヤクルト内川は微妙な状況に

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2021年10月25日 18:00  AERA dot.

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写真ヤクルト・内川聖一(左)と中日・福留孝介(右)(c)朝日新聞社
ヤクルト・内川聖一(左)と中日・福留孝介(右)(c)朝日新聞社
 今季から新天地となるヤクルトに加入した内川聖一と、古巣へ復帰した福留孝介のベテラン2人。リーグ優勝目前のヤクルトでプレーする内川は残留が微妙な立場の一方、Bクラスに沈んだ中日の福留孝介は早々と来季契約が内定したという。


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 球史に残る2人のバットマンに対する評価が好対照だが、この差はどこから生じたのだろうか。


「ヤクルトは僕のプロ野球人生にとって最後の道になると思う。もうひと花咲かせられるように頑張りたい」(内川/20年12月11日のヤクルト移籍会見)


 昨オフ、ソフトバンクを退団した内川に対してヤクルトの動きは早かった。12月7日の自由契約選手との交渉解禁後、即座にアプローチを開始し契約まで一気に進んだ。1年契約、年俸は2億円減の5000万円だったが背番号「7」を準備するなど、通算2171安打(当時)のヒットメーカーに対し球団として最大限の誠意を見せた。内川本人も全身全霊で結果を残す覚悟を前述の移籍会見以降は常に公言していた。


「マスコミによく話す選手。チームのためを公言するが、率先してチームプレーをするタイプではない。結果を残せばチームの勝利につながる、というイチロー(マリナーズ他)に近い考え方。チームリーダーではなく職人タイプだから調子が落ちてくると口数も少なくなり自分のことに集中する。移籍会見のコメントでも、自分のことを語っていたのは内川らしかった」(ソフトバンク担当記者)


 横浜時代からヒットメーカーとして知られ勝てないチームでヒットを打ちまくった。08年に首位打者、最多安打を獲得したことで次はチームの勝利を味わうため11年からソフトバンクに移籍。タレント揃いの常勝球団では自ら結果を出すことがチームの勝利に直結した。成績が下降線をたどり選手生活晩年に差し掛かった今、結果を残さないとユニフォームを着られなくなる。自らの打撃と向き合う日々だ。


「人間的には素晴らしいのでヤクルトはチームリーダーとしても期待した。しかし自分の打撃を考えたいタイプだけに調子が悪い時は周囲への影響もある。二軍暮らしが長くなるのも仕方ない。青木宣親も若い時は似たような部分もあったがメジャー経験などを重ねチームの重要性を認識した。個人成績は今ひとつでもラインアップから外せない選手で村上宗隆とともに(チーム内での)MVP候補です」(ヤクルト担当記者)




 優勝争いも佳境の9月16日、CSへ向けての再調整もあり内川は出場選手登録抹消となった。今季は主に代打として起用され38試合出場、打率.208、0本塁打、2打点(10月24日時点)。開幕直後の3月31日には新型コロナウイルスの濃厚接触者に認定され隔離生活を強いられるなど不運もあった。しかし目立った活躍は7月9日の広島戦(神宮)でのサヨナラ安打くらいでは本人も納得いくはずがない。


 一方の福留は、阪神8年目の昨年は43試合出場、打率.154、12安打、1本塁打と低迷し自由契約となった。


「ユニフォームを着させていただくことが出来て感謝の一言。少しでもチームが勝つことの力になれるように。若い選手が野球を続けていく中でぼくが経験したことを少しでも伝えていくことが出来たらいい」(福留/20年12月18日の中日移籍会見)


 本人の現役続行の意向を踏まえ07年以来14年ぶりの中日復帰。1年契約3000万円と阪神時代の1億3000万円から大幅減となったが、復帰会見では真っ先に感謝の気持ちを口にした。自らの衰えを自覚しており、それでもプレー場所を与えてくれた古巣の期待と温情を感じたからだ。


「攻守に精彩を欠いた原因は視力低下だと思われる。球界きってのバットコントロールを誇る好打者が打ち損じをする機会が増えた。仮にパワーが落ちてもボールをしっかりミートできれば良いが、それができない。またシートノックでも飛球が見づらそうなことが多かった。技術ではカバーできない部分であり、阪神側は選手として限界という判断だった」(阪神担当記者)


 今季、優勝を争っている阪神は有望な若手選手がチームを牽引した。夏場から大きく調子を崩したがルーキー佐藤輝明など、福留とポジションが重なる選手もいて戦力外は必然だった。しかし中日もチームは過渡期であり外野手では根尾昂、岡林勇希、高松渡、伊藤康祐などの若手を積極起用したい状況がある。かつての功労者とはいえ福留を獲得する必要性はあったのだろうか。


「チームのために尽くすことを覚え周囲からの信頼が厚い。かつての福留は自分本位にプレーすることもあった。しかしメジャーリーグや老舗・阪神でプレーしたことで多くの苦労を味わった。自らの晩年をチームに捧げる覚悟を感じる。期待の若手を多数抱える中日にとって、これ以上の手本はいない。練習、試合への取り組みやグラウンド外での過ごし方などプロとしてのすべてを学べる教科書。3000万円でも安過ぎるくらい」(中日担当記者)




 今季は91試合出場、打率.218、4本塁打、18打点(10月24日終了時点)。10月10日のDeNA戦(横浜)で通算2000試合出場(史上54人目)を達成した後は、若手に出場機会を与えるため出場登録抹消された。来季も勝負どころでの代打起用が予想され同時にコーチ的役割も求められそうだ。NPB通算2000安打にもあと49安打と迫っている。立浪和義新監督を迎えることが濃厚で転換期のチームにとってレジェンドの存在は大きい。


 内川、福留ともに昨オフ、戦力外の形で移籍したのはかつてのように結果を出せなくなったからだ。そうなるとプレー以外の部分でチームに化学反応を起こす存在でなければ在籍する意味をなさない。福留に関しては将来の幹部候補に推す意見もあり中日に欠かせない人材のようだ。


「内川はこの先CS、そして日本シリーズ出場の可能性が残っている。調整を兼ねて出場中の宮崎・フェニックスリーグでは好調を維持している。ソフトバンク在籍10年で数多くの日本一を経験した優勝請負人の存在はここからのチームに大きい存在。ここで結果を出し影響力を示せれば周囲の評価は一気に高まる。『中日の福留』同様『ヤクルトの内川』になれる」(ヤクルト担当記者)


 CS通算10本塁打(CS歴代1位)、CS・MVP3回(CS歴代1位 11年、15年、17年)、日本シリーズMVP(14年)、日本シリーズ優秀選手(17年)という記録を持つ短期決戦男。昨年最下位からまさかの優勝争いをするヤクルトに01年以来の日本一があるとすれば、内川の活躍が必要な時も来るかもしれない。現状では福留に差をつけられた感もあるが、ここからの戦いで評価は大きく変わってくる。


 ポストシーズン出場があるならば来季契約の行方を踏まえ内川のプレーから目が離せない。そして立浪新監督誕生後、福留に対して何を求めるのかも気になるところである。秋風が寒くなり始め今シーズンも最終盤を迎えつつあるが、2人のベテランの動向に注目だ。


このニュースに関するつぶやき

  • 内川!スワローズだったのか!!
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  • 正直、昔の福留には「能力値は高いけれどもポカが多い選手」という印象があった。しかし世界で経験を重ねたそのキャリアが彼を変えた。若い選手たちには「生ける手本」とも言える
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