投票呼びかけに松本人志が「軽い感じで行かれてもよくない」と上から目線発言! 対照的に星野源は投票のハードル下げるススメ

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2021年10月26日 07:10  リテラ

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リテラ

『ワイドナショー』番組HPより

 菅田将暉や二階堂ふみ、コムアイらが投票を呼びかけ、注目を集めている「VOICE PROJECT 投票はあなたの声」だが、ここにきて足を引っ張る動きも見られる。昨日、報じたローラへの差別攻撃だけでなく、ネットには「芸能人がまた政治に口を出している」「顔ぶれを見たら反自民」「政治知らない奴がこんなことやるな」などという的外れな批判がばかりだ。



 さらに、あの松本人志の口からは、「軽い感じで(投票に)行かれてもよくない」と水を差すような発言が飛び出した。



 24日放送の『ワイドナショー』(フジテレビ)で菅田らの投票呼びかけが取り上げられたのだが、ワイドナティーンの伊藤小春が「18なので投票権は持ってるんですけど、まだ行ったことがなくて。専門的な知識もないし。行っていいのかな、みたいな」「そんな浅い知識で投票していいのかな、みたいなのがあって」と発言。



 こうした不安には「それでも行ったほうがいい」というのが普通だと思うが、松本人志は、「いまの働きかけ、素晴らしいと思う」と前置きしながらも、こう語ったのだ。



「ちょっと補足したいのは、ある程度勉強してから行ってくれ、と。軽い感じで行かれても、よくないと思うんですよ。もうちょっと勉強してからということと。それから、今回だけじゃなくて、今回から行こうっていうふうに、もっと訴えかけてほしいな」

「これはたぶん5年、10年かかると思うねんけど。なんとなくだけじゃ、どんどんおかしな方向に行く可能性もあるので」



 毎週毎週、床屋政談以下のコメントで、政治や社会状況に関する無知をさらけ出している松本が上から目線で何を言っているのか。「お前こそもうちょっと勉強してから、情報番組に出演しろ」という話だろう。



 いや、それ以前に問題なのは、この「勉強してから選挙に行け」「軽い感じで行かれても」という発言自体が、民主主義否定につながりかねないことだ。当たり前だが、民主主義では、あらゆる人に投票する権利がある。政治についてまったく勉強していなくても、中途半端な知識しかなくても、それぞれの立場、意識で投票に行っていいのだ。



 実際、政治に詳しくない人の声が間違っているとは限らないし、その意見が本質を突いていることもある。社会のありようや自分の置かれた状況への怒りや不満をもっているなら、投票にいくべきだし、その1票が社会を良くする可能性は十分あるだろう。



 そして、政治に関心のない人が投票することで、政治への参加意識が芽生え、政治について関心が高まっていくという効果もあるはずだ。



 松本のように、きちんと投票できるようになるまで「5年、10年かかる」などと言っていたら、それこそ政治は自称エリートたちだけのものになってしまうだろう。



 しかも、松本は投票に行く人に対して「少し勉強しておいたほうがいいよ」とアドバイスしたわけではなく、「軽い感じで行かれても」と、その投票行動を抑圧しようとしていた。いったい何様なのかという話だろう。



●星野源は荻上チキ氏とのラジオで「よくわからない人に入れることが無責任に感じて投票しないより…」



 実は、この投票をめぐる問題で、少し前、松本と対照的なことを語っていた人物がいる。ミュージシャンで俳優の星野源だ。



 9月21日深夜放送の『星野源のオールナイトニッポン』でのことだ。この日のゲストは評論家の荻上チキ氏。星野と荻上氏はもともと交友があり、この日の放送でも、星野が『ブエノス・ディアス、ニッポン 外国人が生きるもうひとつのニッポン』(ななころびやおき著、ラティーナ刊)という差別的な扱いを受ける在日外国人たちのリアルな姿を描いた本を荻上氏から紹介してもらい、技能実習生の問題を考えるきっかけになったことを話していた。



 この日の『星野源のオールナイトニッポン』は、そんな二人がリスナーのさまざまな質問メールに答えるという形で番組が進められたのだが、そのなかで、星野が「選挙でこれといって魅力ある候補者がいなくて、国政を変えたいから選挙に行きたいってとき、チキさんならどうしますか?」という旨のメールを読み上げた。



 荻上氏がまず、この質問に「現状を変えたいなら、現状の議員でない人に入れるとか。あとは、最高の候補者に投票したこと、僕1人も投票したことないんです。最高の候補者、ピッタリだなって人。いたことないです」「選挙は、よりマシを選びに行く場所なんで。マイナス50点とマイナス30点だったら、じゃあマイナス30点のほうを選ぼうっていう、そういったような感覚でいいと思います」と回答。



 すると、星野源が荻上氏の発言を受けて、こう熱く語ったのだ。



「その言葉に勇気をもらう人はめちゃめちゃいると思います。よりマシを選ぶのでいいっていうのは。何か変えたいと思うんだったら、すごくちゃんと自分が信じてる人に投票しなきゃいけないんじゃないかって思う人も多いと思うんですけど。そうじゃなくて、いろいろ調べて、その人がどういうことを言っているのか、今までどういう実績があったのか、っていうなかで、まあこの人がいちばんいいのかな、自分に合ってるかなって人を選ぶのでいいってことですよね。

それで、すごく自分が何もしていないとか、自分が無責任に感じちゃって、よくわからない人に入れるとか、自分が信じきれてない人に入れることが無責任に感じて、投票しないより、そうじゃなくて、よりマシな人でいい、ということですよね」



 この星野のことばに、荻上氏も同意し、「そうですね。絶対、投票したら責任芽生えると思うので。投票した人がろくでもない人だったら、次入れないじゃないですか」「次入れないという責任をそのあと果たせばいい」と言っていたが、そのとおりだろう。



 候補者のことや政治状況についてちゃんと知らなくても、その時点でよりマシだと思う候補者に投票する、現政権に不満があるなら、そうでない政党の候補者に投票する。そして、裏切られたと思ったら、次の選挙で違う候補者に入れる。そういうことでいいのだ。そうやって、多くの人が投票するほうが、民主主義を健全に機能させることができる。星野はそのことをきちんと理解しているのだ。



●投票率が上がると劣勢の自民党の本音は、かつての森喜朗の「無党派層が寝てしまってくれれば」が本音 



 星野や荻上氏のこうした発言に比べて、松本の民主主義への理解の浅さはどうだろう。いや、浅いだけではない。前述したように、松本の発言は、投票に行く人に対して「勉強しておいたほうがいい」とアドバイスするものでなく、「軽い感じで行かれても」と投票行動を抑圧するものなのだ。



 森喜朗氏が首相時代に、劣勢を伝えられる衆院選挙の演説で無党派層の投票行動について、「そのまま(選挙に)関心がないと寝てしまってくれれば、それでいい」と発言して大問題になったが、今回も投票率が上がれば上がるほど、自民党が劣勢になるため、自民党サイドには、同様の本音があるといわれている。



 松本のこれまでの自民党政権べったりの言動から考えると、今回も、政治に関心のない人が大挙して投票に行って自民党の議席が減ることへの忌避感が、無意識のうちにこうした投票を抑制するような発言につながっているのではないかと勘ぐりたくなる。



 いずれにしても、自分こそがたいした勉強をしていない政権応援団の「勉強してから選挙に行け」などという説教なんて聞く必要はない。政治について勉強していなくても、詳しくなくてもいい。自分が置かれた状況や社会への不満をぜひ、投票という形で表してほしい。

(伊勢崎馨)


このニュースに関するつぶやき

  • 確かに軽い感じで投票に行くことは「否」だな。そんな何も考えていないようなのがへずまりゅうに票を投じたり(続く)
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