なぜ眞子さまの結婚にザワついた? 背景に「小室さんが皇室を変えてしまう」懸念も

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2021年10月26日 08:00  AERA dot.

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写真19日、結婚の報告のために皇居・宮中三殿を参拝した眞子さま。小室圭さんは18日、東京・元赤坂の赤坂御用地を訪れ、秋篠宮ご夫妻に結婚のあいさつをした (c)朝日新聞社<br /><br />
19日、結婚の報告のために皇居・宮中三殿を参拝した眞子さま。小室圭さんは18日、東京・元赤坂の赤坂御用地を訪れ、秋篠宮ご夫妻に結婚のあいさつをした (c)朝日新聞社

 テレビのワイドショーやネット、雑誌……。さまざまなメディアで報じられてきた眞子さまと小室圭さんの結婚。婚約内定会見から4年。いよいよ結婚が実現する。これほど注目され、話題に上り、世間で賛否が議論されてきたのはなぜなのだろうか。AERA 2021年11月1日号は「眞子さまの結婚」特集。


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 秋篠宮家の長女・眞子さま(30)と小室圭さん(30)が今月26日、結婚する。小室さんの母親の金銭トラブルが明るみに出て2018年に結婚はいったん延期になったが、その頃から、結婚に否定的な世論が次第に大きくなっていった。ネットなどでの誹謗中傷が原因で眞子さまは複雑性PTSDの状態であることも今月、明かされた。


 9月に行われた毎日新聞の世論調査では、結婚を「祝福したい」との回答が38%、「できない」が35%。今月の読売新聞の世論調査では「結婚はよかったと思うか」に対し「思う」が53%、「思わない」は33%と、いずれも否定的な声は3割を超えた。この数字を大きいとみるかどうかは判断が分かれるが、否定派が一定数いることは確かだ。


 ネットではさらに批判の声が大きくなる。アエラドットが9月下旬に行ったアンケートでは、1人が何度も回答できるなど世論調査とは調査方法が異なるが、3万5千件以上の回答が集まり、「祝福する気持ちはあるか」との問いに93%が「ない」と答えた。なぜ、結婚を祝福できない人がこれほど多いのだろうか。


■自分の中に眠る価値観


「何かの情報に接したときにザワつくとしたら、自分が大事にする価値観が脅かされている表れ。反動で誰かを責めたくなる気持ちも起きやすいんです」


 こう話すのは星槎大学大学院教授でコラムニストの三田地真実さん(59)だ。


 たとえば、結婚は個人の自由だと思っている人でも、皇室の結婚となると「家と家のバランス」を考慮することはやはり大事という、自分の中に眠っていた価値観が呼び覚まされる。


「皇室はこの国の(私たちの)顔であり『自分事』と感じる人ほど、自分と関係した大切なこととして小室さんに関するさまざまなことが気になってくるわけです。その結果、本当はお母さんの問題であるはずの金銭トラブルも、『小室“家”の問題』となり、批判してしまうのでは」



 結婚とは、「家と家」。そんな意識を根強く持つ層はまだ多いと話すのは、精神科医の香山リカさん(61)だ。


「選択的夫婦別姓への強い反対もそうですが、『結婚は家と家とのつながり。皇室という自分の理想であるべき家の娘が理想とは言えない家に嫁ぐなど許せない』といった価値観を持つ保守層が、安倍政権の長期化とインターネットの普及でむしろ勢力を強めていること。これがまず、お二人の結婚に否定的な声の背景としてあると思います」


 もう一つは、多くの人が自分を抑えながら生きるコロナ禍で、「好きなことを選択する人」に対して、「私はこんなに我慢しているのに」という自分の葛藤をそのまま「許せない」とぶつけてしまっているのではないか、という点だ。


「その際によく使われるのが『税金』という言葉。血税でニューヨークで優雅な暮らしをしようとしているらしい。でもこっちがスポンサーなんだから好きには使わせない、とか。この『払っている側にモノを言う権利がある』というおかしなお客様意識は少し前から広まっていて、公務員バッシングとも地続きだと感じています」(香山さん)


■分をわきまえていない


 批判の背景として、小室さんが皇室を変化させてしまうのではという懸念がある。そう見るのは成城大学教授で『天皇家の財布』などの著書もある森暢平さん(57)だ。


「1970年代、女性週刊誌は現在ほど皇室を大きく扱ってはいなかった。これは、経済がうまく循環し豊かだったから、あえて皇室を参照する必要がなかったという側面がある。ところがいま経済が停滞し、日本の先行きは明るくはない。天変地異があると急に神仏を信じたくなるのと同じように、不安の時代には不変なものを信じたくなる。だから、皇室のなかに過剰に伝統を読み込もうとする傾向があると思います」


 加えていま日本では階級性がほとんどなくなり、社会は平準化された。だから小室さんのように「『平民』から急に成り上がろうとする者」が、皇室に不変性や権威・威厳を求めたい人たちにはどこか胡散臭く見えてしまう、そう森さんは見る。



 変化を恐れる傾向は若い世代にもあると指摘するのは、筑波大学教授で社会学者の土井隆義さん(61)だ。


「同じく民間人と皇室の結婚で、美智子さまのときは皇室の『変化』を期待した。もちろんそのときも伝統重視の反対派はいましたが、いまは若年層も変化に懐疑的。変化とは希望を感じるものではなく、不安を煽るもの。変化を望まない若年層の保守化とも根がつながっています」


 いまの30代以下世代の意識の特徴は、「分相応をわきまえる生き方」だと、土井さんは言う。


「彼らにとって、『分をわきまえていない』ように見える小室さんが、『自分たちの秩序感覚を乱す存在』に見えて、許せない。そんな面もあるのかもしれません」


■承認の重みがなくなる


 土井さんは「家族のあり方の変化」も背景として指摘する。明治維新後の日本では、日本全体が大きな家族であり、頂点にいる父が天皇家、臣民はその子ども、という「疑似家族」のイメージで国家が形作られてきた。


「実際の家族も、家父長的なものが強かった。しかし戦後、家父長制からいわゆる愛情家族(相互の愛情と合意によって結ばれた民主的な家族)へとだんだん変わっていき、家庭内での父親は権威を体現するものではなくなってきたんです」


 その結果、父親と子どもは権威と服従の関係ではなく、「相互に承認し合う関係」に近づいてきた。


「日本という家族の父親的なものだった天皇家と、国民との関係もまた、相互承認の関係に変わってきた。私たちが好ましい存在として認めるから天皇家なんだし、天皇家も国民のことを愛して認めるから日本という国が安定する、というような関係。その承認が、さまざまに批判される小室さんの登場で揺らぎ、安定感に楔を打ち込まれたような感覚があるのかもしれません」


 どういうことか。自分を承認してくれる天皇家には、昔のように絶対的な権威でなくとも、「ある程度は」絶対的なものでいてくれないと困るという思い。でないとその承認の「重み」がないため、安定しないのだ。



「しかし今回のことでさまざまな『世俗的なゴタゴタ』を見せられ、『なんだ、天皇家も私たちと同じことやってる』と見えてしまう。そこで何となく安定せず落ち着かず、苛立ったりしてしまう面もあると思います」


 批判の声が多いことが注目される一方で、結婚にポジティブな意見も多い。前出の森さんは、眞子さまは今回の選択で「皇族の結婚では、旧華族や学習院関係者を選ぶべきだという従来の『同等性の原則』にこだわらなくていいことを見せてくれた。いろんな結婚の形がありうることを示した」と話す。


「皇室は社会の鏡です。たとえば、同性婚でも、非婚でもいい。釣り合いの取れた結婚でなくても、広く世間が認める結婚でなくてもいいということを、眞子さまは私たちに見せてくれた」


 かつて、美智子さまは失声症、雅子さまは今も適応障害に苦しむ。そして、眞子さまも。前出の香山さんは言う。


「皇族としての生活が、私たちのようにはのびのびと生活できない、さまざまな面で不自由な空間であることは、3人を見ていてもう多くの人が気づいていると思うんです。眞子さまは生まれたときからそんな環境で育ってきたにもかかわらず、強い意思を育み、それをもって今回の選択をした。私はひじょうに肯定的にとらえています」


(編集部・小長光哲郎)


>>【後編:眞子さまの結婚で考える「天皇・皇族の公と私」 人間としての意思は認められないのか】へ続く


※AERA 2021年11月1日号より抜粋


このニュースに関するつぶやき

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  • 皇族が庶民と同じことをやっては皇室の品位を損なうでしょう。なんのための皇室なのかわかりません。
    • イイネ!22
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