清水エスパルス、崖っぷち。激戦のJ1残留争いから抜け出すことができるか

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2021年10月26日 11:02  webスポルティーバ

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Jリーグクライマックス2021

 残留を争うチームにとっては、勝ち点を得ることができなかった以上、試合の内容がどうあれ、痛い敗戦なのは確かだろう。

 J1第33節、清水エスパルスは敵地で川崎フロンターレと対戦し、0−1で敗れた。90分でわずか4本というシュート数が示すように、ほとんどゴールの可能性を感じさせないまま終えた完封負けだった。

 とはいえ、相手は次節にも優勝を決めようかという首位独走のチーム。一方、こちらはJ1残留に必死の状態のチームである。それを考えれば、内容的には悪い試合ではなかった。

 清水を率いるミゲル・アンヘル・ロティーナ監督も、「いいスタートを切れて、拮抗した展開に持ち込めた」と言い、こう結論づけている。

「相手の力を考えると、我々にとってはいい試合ができた」

 その言葉は、決して強がりや負け惜しみではないだろう。客観的に試合を見ていても、全面的に同意できる見立てである。




 ロティーナ監督の言葉を借りれば、川崎は「守備においてかなり多くのことを要求してくるチーム」である。つまり、川崎の攻撃に対して、多くの準備をしていなければ、失点を防ぐことはできないというわけだ。

 それでも清水は、1失点こそしたものの、「ハードワークして、ほとんど(川崎に)チャンスを作らせなかった」。スペイン人指揮官が続ける。

「守備で必要なのは、チャンスを作らせないこと、そしてチャンスを少なくすることだが、すべてを防ぐのは不可能。失点したが、相手のチャンスはふたつしかなかった。その意味では、守備は悪くなかった」

 ロティーナ監督の言う「川崎のふたつのチャンス」が、FWレアンドロ・ダミアンのゴールの他にもうひとつ、どれを指すのかは定かでないが、実質的にチャンスと呼べそうなのは、前半にMF脇坂泰斗が、後半にFW小林悠、FW家長昭博がそれぞれ放ったシュートぐらいのものである。決定的な得点機はほとんどなかった。

 裏を返せば、清水にとって、だからこそ勝ち点1は手にしたかった試合だろう。後半開始直後の「まだ我々がボールを触っていないところで彼らのプレーが続き、すばらしいチャンスからゴールが生まれた」(ロティーナ監督)のは、あまりにも痛かった。

 内容は悪くなかっただけに、何とも歯がゆく、もったいない試合ではある。

 しかしながら、J1屈指の攻撃力を誇る川崎に対し、これだけ安定した守備ができたことは見逃せない要素である。

 無理に高い位置からボールを奪いにいくことはせず、自らが設定したゾーンに引き込みながらスペースを消し、相手の選択肢を限定したところでボールを囲い込む。そんな組織的な守備が、川崎の攻撃がテンポアップするのを防いだ。

 シーズン終盤にしてようやく、の感はあるものの、ここにきてロティーナ監督のチームらしい、相手の狙いを先回りして潰す守備が機能し始めている。

 欲を言えば、もう少し攻撃の時間を増やし、得点までは至らずともチャンスを作りきるくらいまではしたかったところだろう。

 だが、ロティーナ監督が「用意したビルドアップで、チャンスの手前までは作れていた。狙っていたボールの動かし方で、相手のペナルティーエリア近くに入ることができた」と、攻撃についても一定の評価を与えたように、落ち着いたポゼッションで敵陣に攻め入る機会は少なくなかった。

 センターバックとして川崎の攻撃を跳ね返し続けた、DF井林章が振り返る。

「ボールを持った時は、自分たちがやりたい形は出せつつあった。守るべきところも(狙いを)共有して守ることができていた。失点は振り返る余地があるが、大方はうまくいっていた試合だった」

 残留争いをするチームにとって、最高の良薬が勝ち点であることは言うまでもない。どんなに内容がよくても、負けは負け。敗戦から多くの収穫を見いだすのは難しいのかもしれない。

 しかし、忘れてならないのは、清水は第33節終了現在、降格圏となる17位とは勝ち点2差の15位につけているということだ。「勝ち続けていけば、降格圏に入ることはない」(井林)のである。

 さすがに、すべて勝ち続けるのは現実的な目標ではないとしても、勝ち点2というアドバンテージを生かすという発想は持っているべきものだ。

 当然、玉砕覚悟で勝ち点3を狙いにいく必要はない。まずは守備を安定させ、取れる勝ち点を確実に拾っていく。そんな落ち着いた戦い方が、残り5試合で求められる。

 それを考えれば、清水が首位の川崎を相手に得た手応えは、決して小さなものではなかったのではないだろうか。

 ロティーナらしい守備がこのまま機能し続けるならば、残り5試合、清水にとってJ1残留はそれほど難しいタスクではないはずである。

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