E-girlsが語る、「Perfect World」の挑戦と新たなステップ 鷲尾伶菜「E.G.familyの核に」

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2021年10月26日 12:11  リアルサウンド

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E-girls

 11人体制として初のアリーナツアー公演『E-girls LIVE TOUR 2018 〜E.G.11〜』の経験は、E-girlsにとって大きな糧となったようだ。ツアーを通して、それぞれの個性を開花させた彼女たちは、次なるステップとして多方面での活躍にさらに力を入れている。そんな中、10月3日にデジタル配信される新曲「Perfect World」は、岩田剛典(EXILE/三代目 J Soul Brothers)と杉咲花が主演を務める映画『パーフェクトワールド 君といる奇跡』の主題歌となっている。映画の世界観ともリンクする同曲は、レベルアップしたE-girlsの豊かな表現力が発揮されたミディアムテンポのバラードで、凛とした中に繊細な情緒を感じさせる一曲に仕上がった。同曲のレコーディングにまつわる裏話のほか、今回のツアーで得たものをひとり一人に詳しく聞き、E-girlsの現在地に迫った。(編集部)


参考:E-girls、11人体制の初アリーナ『E.G. 11』で見せた進化 MIGHTY CROWNらと次のステージへ


■映画のストーリーを思い出すような楽曲


――「Perfect World」のコンセプトとE-girlsの楽曲群のなかでの位置づけを教えてください。


鷲尾伶菜(以下、鷲尾):映画『パーフェクトワールド 君といる奇跡』の主題歌ということもあって、歌詞は映画の内容に沿ったものになっています。映画のストーリーを想像しながらレコーディングに臨みました。どこか切ないけど、微笑ましくて温かみのあるミディアムバラードになったと思います。E-girlsらしいポップさはありながらも、大人っぽさも感じられる新鮮な一曲です。


――歌詞に対してはどのような感想を抱きましたか?


鷲尾:〈真実(ほんと)の愛をあなたからもらって/世界のすべてが美しくなった〉という一節が印象的でした。真実の愛って、ひと言でいうのは簡単だけど、そこには人それぞれに違う葛藤があると思うし、場合によっては周りからすごく反対される恋愛かもしれない。それでも、二人にとって真実の愛なら、どんな困難だって乗り越えていけるというメッセージが込められていると感じました。ストレートな言葉が使われているからこそ、人それぞれに捉え方も変わりそうな深みのある歌詞だと思いましたね。


――藤井さん、武部さんはどんな印象でしたか?


藤井夏恋(以下、藤井):この1曲の中に、映画の世界観が詰め込まれていると感じています。映画もみんなで鑑賞させていただきましたが、映画本編を観たあとに聴くと、とてもグッとくる楽曲です。こういうバラード調のアプローチはE-girlsとしては久しぶりなので、映画を通じて聴いて、「これもE-girlsなんだ」と知ってもらえたら嬉しいです。


武部柚那(以下、武部):楽曲のテンポ感と歌詞がすごくマッチしていると思いました。普段、E-girlsの楽曲を聴いていない人にとっても、歌がすんなり耳に入ってくるように、キャッチーな歌い方を意識しレコーディングさせて頂きましたね。


――石井さんは女優としてドラマ『チア☆ダン』(TBS系)や映画『スプリング、ハズ、カム』(2017年)に出演しています。映画の主題歌という面での感想も教えてください。


石井杏奈(以下、石井):主題歌はエンドロールで流れるということもあって、ある意味では映画のオチを担う役割もあると思っているのですが、実際に映画を観たときに映画のテーマと歌詞がすごくマッチしていて、きれいな終わり方になっていたのが印象的でした。この曲を聴くたびに映画のストーリーを思い出すような楽曲になっていてすごく感動しました。


――ダンスの振り付けに関しては、どのようなことを心がけましたか?


佐藤晴美(以下、佐藤):今回はKYOさんという男性のコレオグラファーに振り付けを依頼したこともあり、女性らしい動きというよりは、曲線があまりないタイトな振り付けになっています。そういう振り付けだからこそ、ふとした瞬間に自分たちが感じたことや、感情のニュアンスを出しやすい面もあるので、そこからメンバーそれぞれの色を探すのも、今回の振り付けの見どころのひとつだと思います。加えて、MVではメンバー全員が密集して、その上半身にフォーカスしたシーンがあります。微笑みだとか細かい表情のニュアンスで楽曲を表現しているのですが、メンバーみんなが苦戦した部分でもあるので、ぜひ注目して欲しいです。


■みんなの気持ちが一つになった


――『E-girls LIVE TOUR 2018 〜E.G.11〜』を終えた感想も教えてください。今回は初の11人体制でのアリーナでしたが、挑戦的な試みがいくつもあって、とても見応えがありました。


坂東希(以下、坂東):いつものライブでは大体、1カ月半くらいのリハーサルを行ってから臨むのですが、今回のアリーナ公演では、じっくり作り込むためにリハーサルの期間をいつもより長く3カ月も取りました。セットリストも全部自分たちでいちから考えたので、楽曲の一つひとつにみんなの思いが詰まっています。最初は11人のライブがどんな感じになるのか、ワクワクする気持ちと同時に不安もありました。でもリハーサルを重ねるたびにみんなの不安や緊張もほぐれていき、私自身も楽しめるようになっていきましたね。スポーツをテーマに掲げた楽しい演出やパフォーマンスなど、今までにないアプローチもあり、これからもっと色んなことができるんじゃないかなと、自分たちの可能性も感じられました。


鷲尾:私もリハーサルの最中は緊張や不安が勝っていました。だけど、いざライブが始まってみると、楽しみに待ってくださっていたファンの方々の笑顔や歓声が自分の心に刺さってきて。今まで頑張ってきてよかったと思えました。いろいろと新しいことにチャレンジしてみたり、リーダーが(佐藤)晴美になり、頑張ってるところが新鮮だったり、11人のE-girlsの形が見えてきたライブでした。


――ソロでピアノの弾き語りを披露する場面もありましたよね。


鷲尾:めっちゃ緊張しました。弾き語りのときは孤独感がすごくて……。でも、そんな経験はなかなかできないから勉強になりました。


須田アンナ(以下、須田):沢山の方からの愛を感じられて、それが11人の自信につながったツアーだったと思います。11人体制になってから、ステージ上でファンの方々にパフォーマンスを披露する機会が少なくて、自信がもてず、自分たちを厳しめに評価してました。でも今回のツアー『E-girls LIVE TOUR 2018 〜E.G.11〜』を経たことで、ファンやスタッフの方々にちゃんと自分たちの思いが届いていることが、公演を重ねるごとに実感できるようになりました。最終日にして、みんなの気持ちが一つになったと思います。


楓:私も11人のE-girlsの可能性と自信につながるライブだったと思っています。セットリストや構成、演出などをみんなで考えて、本当にやりたいことを実現させてもらえましたし、この11人ならできるという確信を持てました。あとはやっていく中で、メンバーそれぞれの個性だとか、いいところを感じられたので、じゃあ次はこんなことができるとか、これからの自分たちに自信を持てるようになりました。


――ライブの前半の方の「DANCE WITH ME NOW!」は、最新のヒップホップのテイストを織り込んだエッジの効いた振り付けにアレンジされていたのが印象的でした。


楓:今回はHappinessのリーダーのMIYUUたちが、構成や振り付けを一緒にやってくれました。それこそサポートメンバーの振り付けに関してはMIYUUが担当してくれたので、自分たちのやりたいこともそうですが、E.G.familyの力を借りて一緒にやれたこともよかったと思います。


――石井さんは、終始満面の笑顔だったのが印象的でした。


石井:今までのライブも楽しかったけど、今回が一番楽しかったかもしれないです。ツアー公演の最終日から約1カ月経ちますが、それよりもずっと前に感じられますね。女優として出演した『チア☆ダン』の撮影と重なる時期でもあったので、寝る時間がないくらい過酷なときもありました。でも楽しいと思えることの方が勝っていて、最終日はいつも以上に終わりを強く実感しました。以前はあまり実感がないままで、「ああ、終わってた」という感じだったけど、今までと異なる気持ちで挑んでいたからか、楽しさと同時に大きな達成感もありました。


――SAYAKAさんは、90年代後半のコギャルに扮して小芝居を披露する面白いコーナーがありましたね。


SAYAKA:「HARAJUKU TIME BOMB」という楽曲は、原宿にいる設定なんですよ。それで「原宿といえばギャル、ギャルといえば私じゃないですか」と言っちゃったばかりに……自分から立候補しちゃった(笑)。世代的にルーズソックスは履いてませんし、ヤマンバギャルとかに対する憧れは特にないのですが、ギャルっぽい言葉遣いだったり、字の書き方とかは、流行に敏感な子なら必ず通る道だと思うんですよね。ファンの皆さんの反応も感じられて、私もギャルの恰好ができて嬉しかったです。今しかできないですから。まぁ、もう高校生でもないけれど(笑)。


■E.G.familyを盛り上げる核のグループに


――今回のライブで、武部さんはメンバーのまとめ役として大活躍していましたね。


武部:MCとか話すのが好きなんですよね。個性豊かなメンバーが集まる中で、性格上、自然とそういう立ち回りをしちゃうのかもしれません。E-girlsは11人になってから、ツアーがしたいとメンバー間でずっと言っていたのですが、何枚かリリースしたシングルのジャンルが様々で、だからこそ、どんなライブになるか誰も想像できなかった。でも逆に、今回のライブを通して、何にでも自分たちの色をつけられるし、それが表現の幅広さに繋がるのが、今のE-girlsの強みだと感じるようになりました。ボーカルが今よりも多かった時は、マイクを持つ機会も少なかったけど、今回はずっとマイクを握ってる感覚で、その分感じる責任も大きかったです。とりあえず今は、無事に終えることができてほっとしてます。


――藤井さんがラップを披露する場面もありましたよね。


藤井:もっと長くやってもよかったかもしれないですね。尺が長い方と短い方の2パターンを用意しましたが、短い方を選んだのが反省点です(笑)。石井杏奈が言ってたように、今回のライブは一番楽しめたし、いつもより達成感がありました。今までは楽しさよりも必死さの方が勝っていた気がします。でも今回はみんなのやりたいことを、やりたいようにやれました。今回の経験をちゃんと次に繋げたいし、今度のライブではもっとラップを頑張りたいと思いました。


――ツアー前にE-girlsの振り付けを長らく担当しているAKIKOさんを取材したのですが、メンバーの中でも山口さんは特に成長したと言っていました。


山口乃々華(以下、山口):AKIKOさんはE-girlsの形がまだ定まっていない、合宿のときから指導してくださった一番古いスタッフの方です。本当にAKIKOさんには鍛えていただいて、何もできなかった私をここまで育ててくださいました。メンバーひとり一人をジャッジメントするのではなく、すべてを受け容れた上でいろいろ教えてくださった方で、AKIKOさんがいなかったら今のE-girlsはないと思う。それくらい大好きな方です。今回のライブを通じてグループとしても成長できたことで、改めて感謝の気持ちが深まりました。


――佐藤さんはリーダーシップを求められる場面も多かったと思いますし、バラード曲「あいしていると言ってよかった」に合わせてソロダンスを披露するなど、新たな挑戦もしていました。


佐藤:前まではメンバーが19人いたため、みんなで一つの大きなものを作り上げる感じだったたんですよ。今回はひとり一人の役割がとても大事で、誰か一人欠けていたら、多分あのライブはできていなかったはずです。みんなそれぞれの意見とかユーモアが混ざりあったからこそできた形で、ソロダンスもその中の試みのひとつでした。リーダーシップに関しては、自分でやることで初めて前任のDream Ayaさんの苦労もわかってきて、申し訳なかったのと感謝の気持ちの両方を感じることができました。これから自分が発信していくという責任感はあるけれど、メンバーひとり一人がしっかりしているので、自分だけで頑張るのではなくてお互いに支え合っていけると思うし、それが今のE-girlsの強みなんだと思います。


――YURINOさんはスダンナユズユリーの一員としてラップを披露するなど、これまで以上にヒップホップやクラブミュージックとの相性の良さを感じさせるステージでした。ツアー後半で披露された「My Way feat. FIRE BALL, MIGHTY CROWN & PKCZ®」は、ヒップホップ/レゲエ界の大御所たちとフィーチャリングした楽曲で、その組み合わせにも驚きました。YURINOさんはどう感じましたか?


YURINO:私もこの話を初めて伺ったとき、「こんなにかっこいいことがさせてもらえるなんて!」と驚きつつも、めちゃくちゃ嬉しかったです(笑)。今まで応援してくれたファンの方には新しい一面を見て頂けたと思いますし、もともとレゲエが好きな方には「E-girlsがやるとこうなるんだ」というのを見て頂けたと思います。「My Way」は、歌詞でも私たちのストーリーを描いていて、それが皆さんとの掛け合いの中で力強く表現されているのがすごくかっこいいと思いました。観てくださった方々の間で、E-girlsというグループのイメージの幅が広がったと思います。また機会があれば是非やらせてもらいたいです。


――今回リリースした「Perfect World」は、ツアー後の第一歩という感じでもありますね。これからどんなE-girls像を描いていますか?


鷲尾:新しい11人のE-girlsとして走り出したばかりなんですけど、ツアー公演を経て、沢山の夢が生まれました。同時に、これからE.G.familyを盛り上げていける核のグループにならなければいけないという責任感も増してきましたね。E.G.familyとして、女の子が持っている力をどんどん出していけるような活動をしていきたいです。今、スクールで踊っている10代の女の子が沢山いると思います。いつか彼女たちに受け継いでもらうためにも、E-girlsの名前を残していけるように頑張りたいです。(取材=松田広宣/構成=セツ・ミチヲ/写真=石川真魚)


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