眞子さんが結婚で脱出したい日本社会の正体 お金を援助してもらう女性に偏見はなかったか

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2021年10月27日 10:25  AERA dot.

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写真小室眞子さん(c)朝日新聞社(代表撮影)
小室眞子さん(c)朝日新聞社(代表撮影)
 作家・北原みのりさんの連載「おんなの話はありがたい」。今回は、眞子さんの結婚について。


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「私は眞子さんを愛しています」


 さすが小室圭さんだと思った。日本中がこの日を待ち、どれだけ邪悪な好奇心で待ち望んでいるかと考えたら、第一声の「愛しています」はなかなか言えることじゃない。私もいろんなパターンを想像していたけれど、「愛している」は思いつかなかった。ロン毛に続く「愛している」発言。このくらい自由な発想の持ち主でなければ、厳しい監視社会で生きている日本のプリンセスの脱出口にはなれないのだ。


 会見で眞子さんは、「海外での生活拠点をつくってほしい」と圭さんにお願いしたことを明かした。圭さんが海外留学をしたことをめぐっては臆測に基づく様々な報道がされたが、そもそもは眞子さんの意思だったのだ。3年以上前から、眞子さんは緻密に日本脱出計画をされてきた。



 眞子さんは「心を大切に守りながら生きていける社会となることを心から願っております」と最後に発言された。この4年間、事実に基づかない報道が、下世話な関心と誹謗中傷を嵐のように巻き起こした。その渦中にいながら反論できる立場にないまま、悔しさを噛みしめてきた時間の長さ、そのつらさが伝わる「祈り」だと思う。


 眞子さんを応援する若い女性は少なくない。皇室に関心があるわけでも、圭さんをステキだと思っているわけでも、眞子さんと圭さんの関係に憧れているわけでもなく、ただ、眞子さんの置かれている状況が自分と似ていると感じるからだ。


 いくら憲法24条で両性の合意だけで結婚できる時代とはいえ、この国にはいまだに亡霊のようなイエ制度が根付いている。結婚する女性の9割以上が男性の姓に変わるが、それは「男の家に女が嫁ぐ」というイエ制度感覚が抜け切れていないからだろう。いまだに結婚する人が「入籍しました」と当たり前に使うくらいに、結婚=籍に「入る」という感覚も残っている。「娘さんをください」と、女性の父親に挨拶に行く男の物語も「セリフ」として生きている。結婚式場も「○○家」「○○家」のパーティーであることが強調される。そんな2021年、イエとイエの結びつきである結婚イメージのなかで、自分の声が通らない心もとなさを生きている女性は少なくないのだ。



 そういう中で、イエから飛び出るための結婚。そしてイエが強烈であればあるほど、脱出は大がかりなものになるだろう。そして圭さんのように、くじけない、諦めない、粘り強い、空気を読まない力が相手に必要だ。



 改めて思うのは、日本のプリンセスが緻密に準備し、脱出を試みなければ生きていけない社会とは何なのか、ということだ。


 圭さん親子をめぐる報道を通して、私自身、うっかり圭さんの母親に対する偏見を持ってしまいかねなかった。金銭トラブルを抱えている人、いろいろ問題の多い人、疑惑のある人、誠実ではない人……そういう印象は簡単に膨らんでしまう。圭さんの母の言い分がフェアに聞かれることはほぼなく、身の危険を感じるほど追いつめられていった背景に、「お金を援助してもらう女性」に対する偏見はなかったか。「一人で子供を育てる女性」への偏見はなかったか。偏見による臆測は過激にエスカレートし、ヘイトに発展していったのではないか。


 私自身も様々な場で発言していると、事実に基づかないことを面白おかしく書かれたりする。臆測が臆測を呼ぶ過程で嵐のような誹謗中傷に巻き込まれて、一時はネットを見ることができなかったことがある。叩いてもいい人、と決められてしまった時に広がるヘイトは、一度火がつくと終息は難しい。


 先日、オンライン上での女性の安全を求める「オンライン・セーフティー・フォー・シスターズ」という団体を、石川優実さん、菱山南帆子さん、伊是名夏子さんが立ち上げた。ネットでの誹謗中傷は、時間を奪い、生活を壊し、死すら頭をよぎるようになるまでに人生を中断させる。自分の意思を貫き、発言し、自由に生きようとする女性たちがたびたびそのターゲットになってきた。もう黙らない、変えたい、という意思を女性たちが表明したのだ。オンラインは、リアル社会構造の鏡である。リアルが女性にとって安全でない社会は、オンラインも危険だ。そういう危険ななかを、たった1人丸腰で歩くのはもう無理なのだと思う。



「心を大切に守りながら生きていける社会となることを、心から願っております」



 眞子さんのこの言葉は重たい。女性が逃げ出したくなるような社会は限界ということだ。


週末はいよいよ選挙。民間人になったばかりの眞子さんに選挙権はないのかもしれないが、眞子さんを苦しめてきたルールや習慣の限界を変えられる人に、国政に行ってほしいと思う。


北原みのり(きたはら・みのり)/1970年生まれ。女性のためのセクシュアルグッズショップ「ラブピースクラブ」、シスターフッド出版社「アジュマブックス」の代表


このニュースに関するつぶやき

  • 小室家の対応がなぁ朝鮮文化っぽい……https://bunshun.jp/articles/-/37345 農村の村社会で、責任をうやむやに痛みを分かち合う日本文化と【そりが合わない】気がする
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  • 詐欺の疑惑は晴らしておかないとね。詐欺でないならね。
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