自然災害が多発する時代にヤマハが提案する「平時に楽しみ、有事に役立つ」防災スタイル

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2021年10月27日 17:31  マイナビニュース

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今年で17回目の開催となる日本最大級の危機管理に関する総合展示会「危機管理産業展(RISCON TOKYO)2021」が、10月20日から22日までの3日間にわたり、東京ビッグサイト青海展示棟で開催。


「防災・減災」、「事業リスク対策」、「セキュリティ」の3分野を柱に、喫緊の対策が求められるテーマ(感染症対策、危機管理におけるデジタル化・DX推進等)を設け、さまざま企業・団体がブースを展開した。



そんななか、「PLAY SURVIVE 遊んで 備える」というコンセプトを掲げ、新たな防災スタイルを提案したヤマハ発動機ブースを直撃した。

○遊んで経験と技術を培い、災害時に活かす



自然災害が頻発し、災害リスクの増大が懸念される昨今。いざという時に「自分を守るための準備・行動」や「助け合いの精神と、平時におけるネットワークづくり」の重要性が高まっている。



ヤマハ発動機ブースでは国内グループ会社のヤマハモーターパワープロダクツ、ヤマハモーターエンジニアリングが共同で出展。悪路に対応するスクーターバイク、発電機や洪水救難艇といったコンセプトモデルの展示を通じて、個人や家族、コミュニティで「遊んで 備える」という自主・地区防災のかたちを提案した。



「“遊ぶ”という言葉はいかがなものかという議論は社内でもありました。単にふざけているみたいなイメージを持たれ、お叱りも受けてしまいそうなコンセプトでもあるので」とは、ヤマハ発動機ブースの担当者。



それでもあえて今回の出展テーマに「遊んで 備える」を掲げた背景について語った。

「「キツい訓練や災害派遣のような強烈な体験をすると、遊び心を大切にしないと精神的に参ってしまう」という話を自衛隊の方たちに聞いたのが、そもそものきっかけでした。レスキュー隊員の方やボランティアで活躍されている方など、実際に最前線で活躍するプロフェッショナルの方ほど、普段から遊び心を大事にしていることが多いんです」



備えていたつもりの防災ツールも正しく安全に操作するための知識やスキルがなければ、いざという時に必要なパフォーマンスを発揮させることはできない。そのため、日々の暮らしの中で防災ツールなどに親しむ機会をつくること、普段使いで楽しめる防災ツールが大切になる。



「遊んで備える」のコンセプトを落とし込んだ象徴的な展示がこちらの防災コンテナ。


暗くてカビ臭い防災倉庫のイメージではなく、屋外レジャーのワンシーンのような印象だが。



「ちょっとした工夫で雰囲気を変えれば、防災倉庫も普段から地域の方が集まって世代を超えたつながりが生まれたり、防災に関する知識を育む場になる、そんなメッセージを込めました。遊び中で工具を使った経験が、実際の災害の時に防災につながるかもしれないし、それは自家発電機や乗り物でも同じことなんです」

○“防災”の敷居を下げるコンセプトモデル



前2輪の3輪スクーター「TRICITY 125/155」のコンセプトモデル「ラフロード トリシティ コンセプト」は、スクーターの乗りこなしやすさは損なわないように、災害時の路面にも対応できる機能を追加。平時から災害時まで幅広く活用できるモデルだ。

「オフロードモデルをベースにした防災バイクは過去にも展開してきました。しかし、今回は大型二輪免許なしで普段の移動の足にも使いやすいスクータータイプのバイクを、災害時の荒れた路面でも使えるようにできないか? というアイデアを形にしています」


災害現場でもより多くの人が扱いやすいように、従来の「TRICITY 125/155」の安定感が高さ、走行中の有効視野の広さ、精神的負担感の小ささなどの利点は活かしつつ、数々の悪路対応の装備を施した。



「タイヤをブロックタイヤにして荒れた路面でもしっかりグリップできるようにしたほか、地震などの災害で路面に発生する亀裂や段差も想定し、車高を5センチほど上げています。その衝撃で腹打ちしないようにボディカウル・フェンダーも軽量でラフロード向けのスタイリングに変更しました。災害時の単独行動は危険なので、2人乗りが可能なタンデムシートで、後部に大型リアキャリアやサイドにバックを搭載することで積載性を確保。災害時の救援物資や救援機材を運びやすくしています」



一方、洪水救難艇「RS-13」は洪水災害における救難活動を目的としたボート。運用の現場から声を集め、救助や避難などの目的に合わせた最適な機能・性能を発揮する仕様にした。全長約4mのコンパクトな設計ながら乗船定員は最大6名。操安性を追求した運動性能や、船首からも乗降可能で、高い現場対応力を備える。



「今回の展示に合わせてゼロからつくり上げた洪水救難艇です。安定性が高く、フロントゲート部分のスロープは水に浮くつくりで車椅子での乗り入れもスムーズ。救助がしやすいだけでなく、釣りなどでのレジャーボートとしても使えます」


バン型トラックやコンテナ内で固定して運ぶ際に使用されるものだが、アタッチメントの規格を活かしたオプションパーツで、用途に合わせてカスタマイズができる。

「FRPというガラスの入った樹脂の素材を使っているので非常に高い強度があります。他社様の救難ボートはゴムチューブ製も多いんですが、瓦礫を踏んでも穴が開かない。ゴムボートには持ち運びの面でのメリットもありますが、うまく棲み分けをしている形ですね」

○レジャー用品としても注目の発電機



レジャー領域で熱い支持を受けるマリンジェット「MJ-FX HO」をベースに、各種特殊装備を備えた救難仕様水上バイクも展示されていた。水上バイクの機動力を活かしたコンセプトモデルで、「MJ-FX HO」自体はすでに東京消防庁はじめ各地の水難救助団体に採用されている。



「今回の出展に際してはカラーリングなどのデザインを特注し、後部に救助用のライフスレッドを搭載しました。「MJ-FX HO」はワンアクションでの後進・減速が可能で、直感的な操作性を実現しており、制御面での操縦性の違いが他製品との差別化ポイントになっています」


また、発電機「EF1800iS / EF900iSGB2」では「誰でも・いつでも使える発電機」を目指したラインナップが登場。発電機はアメリカだと日常的なレジャー用品として普及しており、ハリケーンなどの非常時にも活躍しているそうだが。



「日本ではレジャー用に購入される方はまだまだ少ないのが現状です。最近は防災向け商品として需要も高まってきましたが、多少のメンテナンスも必要なので、いざ使いたい時に使えなかったといった声を聞くこともあります」



国内の販売では土木や建設などの現場にプロユースの割合が最も大きいそうだが、本モデルでは随所に蛍光塗料のグラフィックを施し、一般の人が明かりのない場所でも操作しやすいフレンドリーな仕様に。



「メンテナンスと言っても一番注意が必要なのはガソリンの腐食です。長期間使わないでガソリン入れたままにしておくと、キャブレターが詰まりますが、普段から使っていればそれでメンテナンスしているようなもの。発電機は災害時の必需品ですが、10万円以上の商品でもあるので眠らせず、もっと積極的に幅広く活用してほしいですね。実際に使ってみると本当に便利ですし、普段から使っているものを防災・減災に役立てていくことが大切だと思います」(伊藤綾)

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