AIの少女を演じた経験が、教えてくれたこととは――『アイの歌声を聴かせて』シオン役・土屋太鳳インタビュー

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2021年10月27日 17:41  ダ・ヴィンチニュース

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ダ・ヴィンチニュース

写真土屋太鳳
土屋太鳳
アイの歌声を聴かせて

 10月29日に公開されるアニメーション映画『アイの歌声を聴かせて』。AIの少女・シオンと、高校生たちの心の交流が爽やかな印象を残し、何度でも物語や劇中で流れる楽曲を反芻したくなるような、愛すべき作品である。本作でシオン役を演じ、彼女が歌う劇中歌4曲の歌唱を担当したのが、女優・土屋太鳳。収録に臨むにあたって自身の中に芽生えた思い、2016年に放送され声優としての演技に初めて挑戦したTVアニメ『僕だけがいない街』での経験、心を重ね合わせたシオンに伝えたいこと――『アイの歌声を聴かせて』の劇場公開を機に、幅広く話を聞かせてもらった。

アニメでは表情で伝えることができないので、声の情報量が大事

――『アイの歌声を聴かせて』、とても爽やかな余韻がある、素晴らしい映画になりましたね。

土屋:嬉しいです! ありがとうございます。

――今回の作品は劇場版のアニメーションで、お芝居だけでなく歌にも挑戦されるということで、強い気持ちを持って収録やレコーディングに臨まれたのではないかと思います。この作品に取り組むにあたって、土屋さんの中に芽生えた覚悟や決意について聞かせてください。

土屋:まず、「わたしで良いのだろうか?」と思いました(笑)。声のお仕事をされてる方は、声の中に情報量や密度があると思います。アニメでは自分の表情で伝えることができないので、その声の情報量が大事になってくると思うのですが、わたし自身いろんなアニメを観て元気をもらったり感動をしたり、あとは弟(土屋神葉)が声優をやっていて、練習している大変そうな姿を見ていることもあって、ただ「やってみよう」というだけの気持ちでは臨めないな、と感じていました。観てくださる方にどう伝わるかはまだわからないですが、もちろんベストは尽くさせていただきましたし、声優である弟の姿や、自分が感動した作品を思い出しながら、心を込めてやりたいな、と思っていました。

――台本が手元にあるアニメの収録でも、セリフを覚えていくんですか?

土屋:アニメでも覚えます。覚えることで、やっとその人として言葉を発することができると思います。今回の場合は映画で、最初から台本が全部あったので、覚えていくことができました。弟の場合は、アニメは毎週収録があって次々に台本がくるから、夜な夜な巻き戻しながら声を当ててみて、とやっているのは見ています。セリフだけでなく、今回の作品には歌もあって、シオンの歌声がわたしの音域よりもはるかに高かったので、自分の中ではちょっと試練だな、と思っていましたが、監督やプロデューサーさん、スタッフの方にポジティブな声をかけていただきながら、収録することができました。

――先ほど「声の情報量」の話をされていましたけど、以前『僕だけがいない街』出演時にお話をさせてもらったとき、「高山みなみさんや悠木碧さんの声の情報量がすごいんです」とおっしゃってましたね。話を聞きながら、当時の経験や学んだことが今回の収録に活きているんだな、と思いました。

土屋:そうかもしれないです。悠木さんが演じる雛月には「バカなの?」というセリフがあったのですが、「バカなの?」のバリエーションがとにかく多くて。今回、シオンちゃんの収録に臨む前に、皆さんはどうアプローチしているのかな、と思って、『僕街』をもう1回観直しました。それと、『アイの歌声を聴かせて』と『僕街』のディレクションが同じ方で、その意味でとてもご縁を感じたことを覚えています。『僕街』の収録のときに、高山みなみさんから「楽しかった? またやってね」とおっしゃっていただいた言葉が自分の中に残っていて、やるからには「楽しかったな」って思えたらいいな、と思ってシオン役に取り組ませていただきました。

――雛月の「バカなの?」と、シオンが『アイの歌声を聴かせて』の劇中で何度も問いかける「サトミ、今幸せ?」には、近しい性質がありますよね。両方とも、同じ言葉だけどもいろんな種類、いろんな感情が乗っていて、それを表現する役であり、セリフであり。

土屋:そうですね。ただひとつ違うのは、「バカなの?」は人間のセリフだから、息を入れることができるんです。でもシオンはAIだから、息は通ってないんですね。だから、息を入れながら「幸せっ?」と言うと人間っぽくなっちゃうので、言葉を切ってセリフを言うことで、AIらしさや、その中にある切なさのようなものが届けられるのかな、と思いました。

――AIである、という役柄上の制約がある中で、表現していったんですね。

土屋:はい、そこは難しかったです。ボーカルディレクションの方や監督、あとは楽曲に仮で声を入れてくださった方の声に、シオンの赤ちゃんのような命を感じて、それが最終的にわたしにとってもパワーになりました。

――ちなみに、『僕街』は土屋さんにとってアニメでの声優に初挑戦された作品だったわけですが、そのときに「心を動かして、ここに立たせていただいてる意味を考えてやっていきたい」と言っていて、当時とても印象的でした。今回の『アイの歌声を聴かせて』においては、土屋さんがこの作品に参加してる意味とはどういうものであると考えていましたか。

土屋:当時と同じように「心」が大事かな、と思っています。やっぱり、心でしかそこには立てないので。シオンの心、仮で声を入れてくださった人の心、この作品を作ろうと思った監督の心、曲を作ろう・歌詞を書こうと思ってくださった方の心。その心を伝えるのがわたしの仕事なので、心を理解して立ちたいと思っています。声のお仕事を経験してからも、いろいろな作品に関わらせていただきましたが、やっぱり大切なのは心だなって感じています。

土屋太鳳

アイの歌声を聴かせて

アイの歌声を聴かせて

アイの歌声を聴かせて

シオンを演じていて、元気になりました

――『アイの歌声を聴かせて』はAIと人間の友情が作品のテーマのひとつになっていますが、これまでにもアニメに限らずいろいろな作品で同じモチーフが描かれてきたと思います。土屋さんも、そういう作品をご覧になったことがあるのでは、と思いますが、シオンを演じたり歌唱をする上で参考にした作品はありましたか?

土屋:はい、わたしもそういう作品は好きです。参考にしたのは『PLUTO』という、わたしも参加させていただいた手塚治虫さんの作品です。人間になりたいんだけどなれないことはAI自身が一番わかっていて、その苦しさだったり、人間に近づいたら逆に人間が怖いと思って殺されてしまうのではないか、とか、そういう悲しさがあってこそ、明るさも表現できるのかな、と思っていて。人も、マイナスな部分がわかるからこそプラスになれると思うので、それを理解する上で『PLUTO』を参考にさせていただきました。

――今回は劇場版アニメーションなので、TVアニメと違って長期ではなく数日で収録をされたのではないかと思います。シオンに没入する・シオンとして生きた時間があって、心を共有したシオンに、土屋さんからかけてあげたい言葉はなんですか。

土屋:「シオン、今幸せ?」って言いたいです(笑)。あとは……「ずっとそばにいてね、側に」です。

――収録が終わったから急に離れていってしまうのではなく、土屋さんの中にいつまでもいる存在になりそうですか。

土屋:はい、なりそうです。わたしは、役柄の気持ちをわりと自分の心に重ねていくタイプなので、シオンの気持ちは常にそばにいることになるんじゃないかなって感じています。

――特にシオンのどんな部分が、土屋さんの中に残り続けると思いますか?

土屋:シオンにとって歌うことは、心を表現することのひとつです。ある意味、たぶんそれがすべてだと思うのですが、わたしにとっても音楽や歌は、感情を出せる場所だと思っています。歌が得意、ではないけれども、大好きなんです。そういった部分で、シオンは背中を押してくれる存在になってくれるかな、と思います。「好きだったら、それを出していいんだよ」「一緒に歌お!」みたいな感じです。

――この作品にチャレンジして土屋さん自身が成長した、変化したと感じている部分はありますか。

土屋:とても助けていただきながら録った作品なので、自分が成長できているかは今はわからないですが、シオンを演じていて元気になりました。呼吸ができた、みたいな。人にとって感情は声だから、声を当てること、発声することはすごく大事だなって思います。

――では最後に、映画をご覧になる方、シオンとして歌った楽曲を聴いてくれる方に、メッセージをお願いします。

土屋:いっぱいありますね――見てくださる方と一緒に成長できて、寄り添うような作品、見てくださった方を守るような作品になっていると思います。ひとりひとりのキャラクターが愛おしいので、いろんなキャラクターに想いを寄せながら映画を観て、楽しんでいただけたらと思います。

取材・文=清水大輔 写真=GENKI(IIZUMI OFFICE)
スタイリスト=藤本大輔 ヘアメイク=尾曲いずみ
衣装協力=MSGM(アオイ/03-3239-0341)、PRMAL(support@prmal.com)


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  • 土屋太鳳は今年の出演映画が、大体コケてますが今回はどうだろ
    • イイネ!3
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