日曜大工で「手作り防音室」 音楽好きが挑むオープンソースプロジェクト

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2021年10月27日 18:01  おたくま経済新聞

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おたくま経済新聞

日曜大工で「手作り防音室」 音楽好きが挑むオープンソースプロジェクト

 普段から音楽を嗜む方にとって、大きな悩みになるのが「音漏れ」。対策に防音設備を取り付けようとするものの、高価なために断念する人は多いはず。そんな「手軽に防音室が入手できれば」を叶えてみようと、Twitterユーザーのオープンソースプロジェクトさんがある提案を行っています。


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 「防音室欲しい人がたくさんいるので作り方や性能をどんどん公開しています」というつぶやきとともに投稿された写真には、箱型の個室らしきものと、音響による周波数解析のグラフが写っています。実はこれ、防音室オープンソースプロジェクトさんが作った「手作り防音室」。


 「プロトタイプ(試作機)1号機がほぼほぼ完成したので、宣伝もかねて投稿したんですよ」と語る、防音室オープンソースプロジェクトさん自身は学生時代からジャズが趣味。


 現在では一般向けのジャズサークルを立ち上げ、他にも楽器レンタルやバンド活動など、音楽と密接な生活をしている人物。そのため、「防音室問題」に関しては、身近な課題として以前から捉えていたそうです。


 「防音室は市販品がかなり高価なんですが、そのため、自作をしてそれを情報公開している人は実は結構いたりします。私もそれぞれとても参考にしています」


 「ただ、多くの場合、『防音室を作ってみた』で止まってしまっているんです。『作って使って改善して』というサイクルまで回っていないのが現状です」


 「なので、『防音室オープンソースプロジェクト』は、そのサイクルを回しつつ、都度設計改善もしていき、さらにその情報をオープンソース化したら、みんなの参考になっていいんやないかなと思ったのがきっかけなんです」


 今回、防音室オープンソースプロジェクトさんが公開した「プロトタイプ防音室」は、ホームセンターで販売されている石膏ボードや発泡ポリエチレンシートなどを使用。これらを用いて、遮音シートを覆うような構造で設計されています。


 肝心の防音性はというと、別の投稿でご友人がサックスで検証しているのですが、外では鮮明に聞こえた音色が防音室内では完全に遮断されています。これはすごい。


 ただ、この防音室はいわば「たたき台」。投稿のリプライ(返信)欄でも指摘があったように、通気性や空調面など改善すべき点があるのも確かです。


 また石膏ボードは、廃棄をする際に、一般の家庭ごみではなく、「産業廃棄物」として処理しなくてはいけない素材。その点も留意しなければなりません。


 さらに、安価とはいえ、今回要した材料費は約10万弱。そして組み上げるには一定レベルの工作スキルも必要。大いなる一歩を踏んだとはいえ、将来的に「オープンソース」として流通していくには、様々な設計改善をしなくてはなりません。


 とはいえ、興味深いプロジェクトであることも確か。それは、「正直こんなに反響がくるとは思わなかったですね(笑)」と、防音室オープンソースプロジェクトさんが思わず振り返るほどに、多くの人が寄せられた投稿に対する反応からもいえます。また音楽以外にも、ゲームや育児といった別ジャンルの「音」にも需要がありそうで、「完全体」が待ち遠しくもある挑戦です。


 そして一連の反響を振り返り、防音室オープンソースプロジェクトさんはある気づきを得たとのこと。


 「『防音室が欲しい人』というのは、本当は『部屋が欲しい』というより、『そこにしかできない、やりたいことがある』人だと思うんです。なので、このプロジェクトを通じて、そんな人が減少できれば何よりですね」


 ちなみに「防音室オープンソースプロジェクト」ですが、実は1人だけで行っている「ワンオペ」。そして今月10月に、福岡県福岡市にて製作工房「防音室研究所」をオープンしたとのことです。今後の動向に要注目ですね。



<記事化協力>
防音室オープンソースプロジェクトさん(@openbouonshitsu)


(向山純平)


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