【秋の学園ドラマに見るキャストオーディションの実際】ドラマ『顔だけ先生』プロデューサーインタビュー「役のために坊主にした女優魂に報いるためにも、ぜひ話題になってほしい」

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2021年10月27日 20:02  デビュー

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デビュー

写真土ドラ『顔だけ先生』(東海テレビ・フジテレビ)第1話より。遠藤一誠役・神尾楓珠(左)、水原みずき役・田幡妃菜(右)。
土ドラ『顔だけ先生』(東海テレビ・フジテレビ)第1話より。遠藤一誠役・神尾楓珠(左)、水原みずき役・田幡妃菜(右)。
 10月、秋クールの各局連続ドラマが続々スタート。今クールは意欲的な学園ドラマも多数放送され、生徒役キャストの中に、キラリと光る個性を見つけるのも楽しみの一つだ。そんな中、新人俳優の発掘に関わり、新人をバックアップしてきたメディア「デビュー」が、ドラマ制作スタッフに、キャスティングの実際、新人抜擢に込めた想い、未来の役者に向けてのメッセージを取材。今回、10月9日にスタートした、神尾楓珠主演の土ドラ『顔だけ先生』(東海テレビ・フジテレビ系全国ネット毎週土曜 よる11:40〜)のプロデューサー、東海テレビ放送の後藤勝利氏に話を聞いた。

【写真】10月30日放送『顔だけ先生』第4話より。

ドラマ『顔だけ先生』は“顔は満点、中身は赤点”な非常勤講師の遠藤一誠(神尾楓珠)が、亀高千里(貫地谷しほり)らが勤める高校で様々な問題を解決したり、しなかったり…する学園コメディ。ブレイク俳優筆頭の神尾が初の教師役を務めることも話題だが、生徒役キャストも個性派ぞろい。

 THE RAMPAGE from EXILE TRIBEの長谷川 慎が、陰キャな園芸部部長、IZ*ONEで活動した矢吹奈子(HKT48)がクラスの中心的存在のチアリーダー部エース、『魔進戦隊キラメイジャー』キラメイレッドの小宮璃央が学級委員長役、TikTokフォロワー数1000万人を突破し女性日本一の景井ひなはJK社長役と、生徒役には濃いキャラが渋滞。そのほか『コントが始まる』で注目を浴びた三浦りょう太(※「りょう」はけものへんに寮のうかんむり無し)、『騎士竜戦隊リュウソウジャー』『恋とオオカミには騙されない』などで注目を集める若手俳優・綱啓永、第33回ジュノン・スーパーボーイ・コンテストグランプリの15歳・前川 佑らフレッシュな顔触れも見どころとなっている。

■『顔だけ先生』プロデューサーインタビュー
東海テレビ放送 制作局 東京制作部 主査 ドラマ担当・後藤勝利氏

――『顔だけ先生』も原作なしのオリジナル脚本による連続ドラマです。そのように、キャラクターをゼロから作っていく場合のキャスティングについて教えていただけますか?

「主演の神尾楓珠さんの場合、企画のコンセプトが先にあったので、『顔だけ先生』と題したときに説得力があるというのがまず第一のポイント。神尾さんは言わずもがな、カッコいいじゃないですか(笑)。とは言え、学園コメディではあるものの、学園モノの醍醐味として先生が生徒を救うという物語はやりたい。そうしたとき人の琴線に触れるようなセリフを言って、金八先生やGTOみたいな説得力を持たせられる人間性やお芝居のある人。というところで、神尾さんに行きつきました」

――まさにドンピシャなキャスティングだと思います。そしてそれに負けないぐらいの濃さを持つ生徒たち。キャストが発表された段階でも話題になりました。メイン以外にもバラエティに富んだキャラクターが揃っているんですが、こちらはオーディションで決定されたんですか?

「生徒が24人いて、一人不登校がいるので実質23人が発表されていますが、こちらからのオファー以外のオーディションでは13人を抜擢しています。制作会社から芸能事務所のマネージャーを通じて広めて、トータルで900人ぐらいの資料を集めたうえで選考しました。オーディションの時点では、5話ぐらいまでのラフなプロットが出来ているぐらいで、それ以降は白紙に近い状態だったので、オーディションをしながら魅力的な子に役を寄せていったというケースもあります」

――オーディションで選んだキャストで、特に印象的な俳優はいますか?

「第1話でフィーチャーされた田幡妃菜さんはオーディションですね。彼女が演じた水原みずきは丸坊主にしてもらう役なんですが、この役を選ぶにあたって、実際に丸坊主に出来る子と、カツラでもいいからその役をやりたい子の両方を集めたんです。彼女は、今までずっとロングで、生まれて一度もショートすらしたことが無いのに“ハイハイ!私坊主にしたいです!”みたいに屈託のない感じで手を挙げてくれて。実際に坊主にした後も、他のキャストに“触って触って”みたいに言っていて(笑)。ややもすると、坊主にするシーンって痛々しく見える可能性もありました。連続ドラマとしては彼女を視聴者に愛してもらわないといけないので、そんなとき彼女の屈託のない明るさと、ちょっと天然っぽい感じが魅力的だったのでキャスティングしました」

――彼女が選ばれたことで役が膨らんだ部分もあるんですか?

「オーディションの時点では、そのキャラクターを2話以降どう描くかというのは全く考えていなかったんですが、田幡さんがやってくれたことで広がった部分も多分にあります。実際、凄く坊主が似合ってるんですよ。2話以降ウィッグをかぶせて出演させることも考えていたんですが、こんなに似合っていて可愛らしいのに、かぶせる必要ないんじゃない?って話になって。今は逆に頭髪を剃らせてキープしてもらっています」

――若手の女優でそこまでする人はなかなかいないので、話題になりそうですね。

「ぜひ話題になってほしいし、今16歳で、役の為に坊主にしたいと言ってくれた彼女の女優魂に報いるため、プロデューサーの立場としては何としても話題にせねばならないですね。存在感は抜群でしたし、坊主に出来る出来ないを置いても監督と僕らの意見は一致していたので、ほっておいても売れる子だとは思うんですが、この作品がきっかけになったらなお嬉しいですね」

――ほかにも印象に残っている生徒はいますか?

「第6話でフィーチャーされる若林時英くんという子がいるんですが、オーディションの第一声が、“若林時英です。呼んでいただいてありがとうございます”って、あまりにボソッとぶっきらぼうな声だったので、思わず“え?”って聞き返しちゃったんです。今思えば、彼の術中に僕がハマっていたのかもしれません。ほかの子たちと自分は何が違うのかということを、その瞬間から体現して演じていたんです。その個性がずば抜けていたので、この子で話を作りましょう、と言ってできたのが第6話なんです」

――オーディションで選ばれたキャストが、作品にも影響を与えるケースもあるんですね。

「僕たちが考えたものをそのままやってもらうこともできるんですが、役柄とシーン上、守らなければいけないルールの中で、キャスト側から“私はこうやりたい”と言って出してきたものと、どっちが画にしたときに面白いかと言えば、圧倒的に後者だと思っているんです。プロデューサーも脚本家も監督も死ぬほど台本について考えるわけですけど、生身の子たちが自分たちから出て来たものを背負って演じるのにはかなわない部分もあるんですよ」

――オーディションで、特に重視している点はありますか?

「その子が“人と一番違う所はどこか”だと思います。本部りん菜役の城所茉莉花さんという子がいるんですが、オーディションの日がたまたますごい雨だったんです。彼女は体型がちょっとファットなこともあってか、自分の身体に付いた水が椅子に浸み付くのを異常に気にしてたんです。なかなか椅子に座らないからどうしたのかと思ったら、“私が座ると濡れちゃう気がして…”って。些細なことだけれど、彼女らしい気遣いだと思いましたし、そういう性格は台本を渡して役を演じてもらう時にも必ず活きるんです。そういうところは意識して見ています」

――そういう素の部分を見るために、オーディションで敢えてしていることなどはありますか?

「監督が自由にしゃべっている間に、全然脈絡のないことを聞くことはあります。“最近怒ったことは何ですか?”って聞いてみたり。普段考えていない事を聞かれると咄嗟に出てこないし、この世代の子は本当に怒ったことは言えないと思うんです。考えている間の様子もその人らしさだと思うし、結果絞りだした答えによって、この場の空気と自分をそんなふうに判断したんだ、ということが分かるので。台本の1シーンぐらい読んでもらっても優劣はつけ難いですし、仮にすごく芝居が下手でも、監督も含めスタッフも優秀だから、それなりには仕上げられる。そんなときに決め手になるのが、ドラマに落とし込んだ時に、いかに個性的で魅力的で面白いかという部分なんだと思います」

――オーディションで役を獲得できるかどうかは、“顔だけ”や“芝居だけ”ではないんですね。

「オーディションを受けている俳優たちと同世代の方は、テレビを観て“こいつより俺のほうが絶対にカッコいいのにな…”とか絶対に思うはずなんです。それは個人の主観だから間違いじゃない。でもそういう人たちと差別化をして、自分自身を知ってもらうようにしないと、同じ部分で張りあってもなかなか前に進まないと思います。芸能界に憧れる人は誰しもチヤホヤされたいだろうけれど、最初に出す個性はそっち側じゃないほうが、結果自分が掴みたい夢に近づける最短の道なんじゃないかと思います。現在主役しかやってない俳優も、不本意な役でもやり続ける事で今があるという人は多いと思うんです。何がきっかけで評価されるのかなんて僕らでさえ分からない。だから自分でそれを決めつけない方がいいんじゃないかなと思います」

――オーディションで選ばれたキャスト以外も、アイドルやコスプレイヤー、インフルエンサーなど、多彩なジャンルの方を起用していますね。

「話題の人の掛け算が僕自身楽しみですし、視聴者の方にも楽しんでいただけると思います。“みんなが見て面白そうな人を呼んでみたら、やっぱり面白かったです”という結論ですね。呼んで、会って、しゃべって人間性が分かると、大抵はそれを役に落とし込むことができる。そうするとどんな物語も展開できるんです。景井ひなさんは、直接会ってみると、そこら辺のサラリーマンよりずっとクレバーでいろんなことを考えている。じゃあJK社長にしてみようって役を作ったり。矢吹奈子さんの場合は、カッコいい曲の中で自分だけ可愛い振り付けを渡されることが多いことに違和感を感じていて。そういう話を突き詰めたところ“自分が一番分からない”と彼女に言われて、面白いと思ったんです。それを彼女が演じる三条愛佳のテーマとして、後々フィーチャーする話のベースになりました。キャスティングがクリエイターサイドに刺激を与えることも大きかったです」

――将来ドラマに出演したいと夢見ている人に向けて、心がけていてほしいことなど、メッセージをいただけますか?

「大前提として、僕たちがいるこの業界に参加したい思ってくれていることはすごく嬉しいです。僭越ながらその気持ちを大事にしてほしいです。皆さんが憧れと思ってくださる世界を、もっともっと面白くできるように僕も頑張ります。そのうえで、憧れと、なりたいものとは具体的になんなのかについて見つめ直してもらいたいなって思います。例えば連続ドラマの主役をやりたいという目標を掲げた場合に、どういう連続ドラマなのかによっても違うじゃないですか。自分がドラマの主役をやるならこういう役だというものが見えたとき、どういうプロセスを辿ればいいのかをイメージしてもらったほうがいいと思います」

――これまでお話しいただいたように、役が見えてくるような個性を見せてほしいということですね。

「主役に憧れているから一番カッコいい自分でオーディションの場に来る。その日着てきた衣装は一張羅なんでしょう。だけど、それでは個性が伝わらないことが多いと思う。他の人と自分のキャラクターは、どこが違っていて、個性的で魅力的なのかを語れるのは自分しかないと思うんです。最終的な目的から逆算して、自分自身の個性をどうやって出していくのかについては、周りの大人、マネージャー、親や友達と喋りながら見つけてもらうことが大事。それを人に伝わる形で表現することが一番なんじゃないかと思います」

 東海テレビ・フジテレビ系全国ネットの土ドラ『顔だけ先生』は、毎週土曜 よる11:40から放送中。
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