決まった儀式を行うと、脳のスイッチがONに。事前に準備することで効率が上がる/世界の「頭のいい人」がやっていること

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2021年10月28日 20:11  ダ・ヴィンチニュース

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ダ・ヴィンチニュース

写真『世界の「頭のいい人」がやっていることを1冊にまとめてみた』(中野信子/アスコム)
『世界の「頭のいい人」がやっていることを1冊にまとめてみた』(中野信子/アスコム)

 世界で通用する「頭のいい人」がどんなことをやっているのか興味はありませんか?

優秀な頭脳を持つ人がやっているのは、「空気は読まない」「集中力を身につけない」など、周りを自分のペースに巻き込んでいく力を持っているから。東大、フランス国立研究所、MENSA(高知能者の交流を目的とする国際団体)などで世界のさまざまな「頭のいい人」を見てきた脳科学者・中野信子さんが、「世界で通用する、本当に賢い人達」が実践していることを1冊に集約。少し意識を変えるだけで、誰にでも今日からできるコツが満載です!

この作品は、2012年8月に刊行された『世界で活躍する脳科学者が教える! 世界で通用する人がいつもやっていること』を改題し、一部加筆・修正したものです。

※本作品は中野信子著の書籍『世界の「頭いい人」がやっていることを1冊にまとめてみた』から一部抜粋・編集しました

『世界の「頭のいい人」がやっていること』を最初から読む

決まった儀式を行う。
──勉強や仕事の前に、集中力が高まる動作をする

勉強や仕事の前にする儀式を決めておく

 勉強するときに、いきなり始めても、なかなか調子が出ない……、ということも少なくないでしょう。

 そんなときは、自分なりの簡単な「儀式」を行ってから、勉強を始めてみてください。この「儀式」を行うことによって、脳が勉強のための準備を始めるので、自然に効率が上がります。この儀式というのは、「やりたくないな……」という気持ちを心から追い払うための工夫なのです。

 私の場合は、勉強や仕事(原稿を書くなど)の前に、サイフォンで美味しいコーヒーをいれることにしています。気分によっては、濃い目の紅茶にすることもあります。カフェインは目を覚ましてくれるし、適度にやる気を刺激してくれる効果があるからです。

 また、ちょっと手間をかけてこうした準備をすることも、実は大事なことです。ズルズルとニュースサイトを見続けてしまったり、あまり緊急でないメールのやりとりに時間を取られてしまうことをシャットアウトできますから。気持ちもリフレッシュできて、「さあ、やろう!」という心を整えられます。

5分だけ集中することでその後に何時間もできることも

 芸能人初のMENSA(IQで上位2%に入る人だけのクラブ)メンバーとなったお笑い芸人・ロザンの宇治原史規さんに、テレビ収録の際にお会いしたことがあります(彼がMENSAのメンバーとなった試験に私も立ち会いました)。彼もやはり、京大受験生であった時代に、勉強を始める前の工夫をされていたようでした。

 宇治原さんがやっていたのは、勉強机の整理整頓。つまり、勉強に関係ないモノを机の上から取り除くということ。ノート、参考書、問題集、時計、筆箱などを、決まったポジションにまず置くのです。

 決まった儀式を行うと、「これから勉強が始まるぞ」ということが脳に伝わります。勉強を始めるためのスイッチをONにするんですね。

 しかし、「儀式」を行っても、どうしてもやる気が出ないときもあるかもしれません。そんなときは、どういう工夫をしたらいいのでしょうか。

 まず、ちょっとだけガマンして、5分間だけ集中してやってみることです。たった5分間だけ、ガマンして勉強や仕事を続けてみましょう。そうすると、脳は勝手に勉強モードや仕事モードに入ってくれて、そのまま30分でも1時間でも勉強や仕事を続けていくことができるのです。

 人間というのは、勉強や作業など、面倒なことに対して、最初はやる気が起きないもの。それでも一度始めてしまうと、意外にすんなりと進めることができる性質を持っています。つまり、勉強を始める瞬間の、「やる気が起きない」気持ちを取り払うことが、一番大事なのです。

 とはいっても、それでも勉強や仕事のモードに入れないこともあります。そのときは、自分でも気づかないような疲労が溜まっている場合がありますから、あきらめて少し横になったりしましょう。休むことが必要なときもありますから。

ニコニコしながら主張する。
──角を立てずに相手を操縦!

日本を代表する技術者は一緒にいるのが楽しい人

 しばらく前に、NHKの『プロジェクトX』という番組が放送されていました。

 この番組は、戦後の日本で起きた様々な開発プロジェクトを取り上げています。成功までの苦難をどのように乗り越えていったのかをドラマチックに描いたことで、大変な人気を博しました。電気製品や自動車などの産業、ダムやトンネルといった土木事業など、題材は多岐にわたります。

 この『プロジェクトX』で特集を組まれた一人に、日本の某大手電気メーカーで役員をされていたKさんという人物がいます。世界に冠たる日本の科学技術を、Kさんは地道に発展させてきたのです。Kさんこそまさに、20世紀の「技術大国・日本」を牽引してきた功労者といえるでしょう。

 Kさんは、技術畑での仕事をはじめ、アメリカやヨーロッパでの営業、現地法人の立ち上げなどの任務、そして最終的には本社の重要な役職までこなされました。現在は第一線を退かれ、有望な若手実業家を育てるという立場にいらっしゃいます。

 こんなKさんですから、経歴だけ見ると、何だかものすごいものがあります。最初に会うときはとても緊張してしまいました。「もしかしたら、怖い人なのかな……」と。

 でも、実際にお会いしてみると、本当に物腰が柔らかで、いつも笑顔の素敵な紳士なのです。若い人とカラオケに行くのも大好きなようです。

 何より、若い人と話をして、いろいろな知識を吸収するのを楽しむというように、好奇心にあふれているのです。機知に富んだ会話で年齢を感じさせず、一緒にいるとこっちまで楽しくなりました。

笑顔をふりまきながらも主張は押し通す

 Kさんは、一見とても人の良さそうな、親しみやすい雰囲気を持っています。なので、「この人が、海千山千の強力なビジネスマンが闊歩するアメリカやヨーロッパで、どうやって、自社の技術を売り込んできたのだろう?」と考えると、何とも不思議な感じがしてしまいます。ただでさえ、日本人は世界中で「いいカモ」と思われがちだというのに……。

 Kさんはなぜ、カモにされることなく、相手にとっても自分にとっても良い関係を築き、事業を大きく発展させることができたのでしょうか?

 実は、Kさんはとても物腰が柔らかで、いつも笑顔を絶やさない一方で、主張を絶対に曲げることがなかったのです。

 Kさんは、相手の話をよく聞く人であるのはもちろんなのですが、ずっとお話ししていると、いつの間にかKさんのペースに巻き込まれていくのです。そうすると、話をしているうちにKさんの考え方や方針が、何となく正しい気分になってしまうわけです。

相手を尊重することで友好的な関係が長続きする

「議論を戦わせて、相手のミスを突き、自分の考えを通す」という方法が有効だと考える人も多いかもしれません。特に、欧米で仕事をしていたら、なおさらです。

 でもそれでは、相手を傷つけてしまう場合があります。傷つけられた相手はどう感じるでしょう? 「もう、こんな奴とは二度と仕事したくない」と思ったり、「こいつともう一度仕事をすることがあれば、徹底的に恥をかかせてやろう」なんて復讐心に燃えたりしてしまうんじゃないでしょうか? これは欧米に限らず、世界中どこでも同じこと。人間の本質によるのです。

 相手を言い負かしたそのときだけは、優越感に浸れます。でも、その相手と持続的に良い関係を築いていくことは難しくなってしまうのです。それは、ビジネスのあり方としては、あまり効率の良い方法ではないですよね。

 Kさんのように、いかにも日本人らしく、周囲を気遣うといった「和」を重んじながらも、譲らない。あわよくば、相手を巻き込んでしまう。こんな方法であれば、相手のプライドを傷つけることはなく、自分のやりたいことも良い形で貫けるのです。

 また、相手を尊重しているという姿勢は崩さないので、友好的な関係を長く保ち続けることができ、互いにメリットが大きいのです。実にしたたかで賢いやり方ではないでしょうか。

気持ちの良い会話を生み出す「アサーション・トレーニング」

「そう言われても、うまくできそうにない……」という人もいるかもしれません。いったんクセ付けされてしまった自分の行動は、そう簡単には方向転換できませんよね。

 でも、解決策はあります。その一つが、「アサーション・トレーニング」。自分の意見を冷静に伝え、かつ相手側の立場をも考慮したコミュニケーションを体得するための、心理学を使った方法です。

 アサーション・トレーニングをするにあたっては、人間の対応パターンを「攻撃的」「受け身的」「アサーティブ(誠実で対等)」という三つに分けて考えることから始まります。そして、この中でも「アサーティブ」にあたる態度をとることができるように練習するのが、アサーション・トレーニングとなります。

 例えば、身に覚えのないことで怒られたりして嫌な思いをしたとしましょう。このとき「逆切れ」をして、怒っている相手に怒鳴り返すのは「攻撃的」な態度となります。

 口をつぐんで、本当は自分は何の罪もないのに「ごめんなさい……」と謝ってしまうのは「受け身的」となります。

 では、あまり聞きなれない「アサーティブ」にあたる態度とは、どんなものなのでしょうか? これは、「私はそのようなことをした覚えがないのですけど、あなたからはそのように思われているので、とっても悲しいです」などと言うことで、相手を責めもしなければ、自分を卑屈にすることもないことを指します。つまり、自分の素直な気持ちを伝えるのです。

「『あなた』がそんなことを思うなんて」とか「『あなた』はどうしてそんな風に思うのですか?」などの言い方をせず、「『私』はそんな風に思われて悲しい」というように、あくまで『私』を主語にする言い方に徹するのが秘訣です。

 少し練習が必要ですが、「アサーティブ」な態度をとるクセを、ぜひつけてみてくださいね。

 アサーション・トレーニングをすることで、さわやかに主張できるようになります。そして、不当に扱われたり、人に利用されたりすることが減ります。また、怒りをぶつけて相手との関係を悪くしてしまうとか、腹が立ってストレスをため込んでしまうという状況も、未然に防げるようになります。

 別に、相手を議論で打ち負かさなくてもいいのです。肩書きや業績で勝つ必要もまったくありません。

 ただ、相手の言うことにしっかりと耳を傾けながらも、笑顔を絶やさず、自分の主張は曲げない。言葉で書くと簡単ですが、実は意外と難しいこと。でも少しずつ、練習してみてください。誰でもできるようになっていきますから。

 それだけで、あなたのペースに巻き込まれて味方になってくれる人が倍増します。不思議なことですが、だまされたと思ってやってみてください。その効果に驚くことは間違いありません!

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