『スター・ウォーズ』狙った映画すみっコぐらし第2作 監督・大森貴弘さんと脚本・吉田玲子さん語る舞台裏

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2021年11月05日 07:00  ウィズニュース

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写真空を飛ぶすみっコたち=(C)2021 日本すみっコぐらし協会映画部((C)2021 日本すみっコぐらし協会映画部)
空を飛ぶすみっコたち=(C)2021 日本すみっコぐらし協会映画部((C)2021 日本すみっコぐらし協会映画部)

可愛いだけじゃない凝った設定のキャラクター「すみっコぐらし」。2019年に公開された映画第1作は関係者の想像を超える人気となり、Twitterではその名がトレンド入りしました。そして2021年11月5日、第2作となる「映画 すみっコぐらし 青い月夜のまほうのコ」が公開されます。監督を務めた「夏目友人帳」の大森貴弘さん、脚本を書いた「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」の吉田玲子さんに、「しゃべらない」映画の苦労や注目ポイントなどを聞きました。(影山遼)

【画像】たしかにスター・ウォーズ感がある?映画のワンシーンはこちら 飛ぶのに苦戦するすみっコたちも

BUMPは「どんな姿が見られるのか楽しみ」
まず簡単に、すみっコぐらしのキャラクターを紹介しますと、自分が本物のペンギンなのか自信がない黄緑色の存在「ぺんぎん?」、北から逃げてきた寒がりの人見知り「しろくま」、脂っこいから残されたトンカツの端っこ「とんかつ」、体形を気にする「ねこ」や捕まらないようとかげのふりをしている「とかげ」などがいます。

配給会社のアスミック・エースによると、第1作の映画は120万人を超える動員数を記録しました。

第2作の映画は「とある秋の日、キャンプに出かけて行ったすみっコたち。空を見上げると、いつもより青く輝く月が。『5年に1度訪れる、青い大満月の夜。魔法使いたちが町にやってきて、夢をかなえてくれる』伝説の通り、すみっコたちの町に魔法使いの5人きょうだいが舞い降りてきた」という状況で始まります。何やら、すみっコらしからぬ壮大な話です。とかげと魔法使いのすえっコ「ふぁいぶ」の2人(?)が中心(とは言っても全員が平等にすみっこにいますが)となって、映画は進んでいきます。

第1作に引き続き、ナレーションはV6の井ノ原快彦さんと本上まなみさん、美術監督は日野香諸里さん、アニメーションはファンワークス、そして今回の主題歌を作ったのはBUMP OF CHICKENという優しい布陣です。BUMP OF CHICKENのみなさんは「今回はすみっコたちのどんな姿が見られるのか楽しみです。公開を心待ちにしております」と話しています。

井ノ原さんは「すみっコたちの世界の魔法使いは完璧じゃない。それがまたすごく可愛くて!」、本上さんは「この映画を見たら、お月さまが輝く夜には空を見上げたくなるだろうなあ……」とコメントをしています。

「すみっコとはなんぞや」に帰結する映画
2021年9月、公開を前に、脚本を書いた吉田玲子さんと監督の大森貴弘さんが取材に応じてくれました。

感染対策をしながら、約2週間おきに対面で物語を固めていったという2人。すみっコぐらしの大まかな設定を知っており、第1作を近くの映画館まで見に行ったという吉田さんは「親子連れからカップルのような人までいて、幅広い客層だなと思いました」と振り返ります。

逆に、存在は知っていたけれど見たことはなかったという大森さんは「僕にこの話を振ってくるって何を考えているんだろうって、最初は思いました」と笑います。

今回の映画、「夢」という大きなテーマが根幹にあります。

当初、(すみっコぐらしの原作の)サンエックスのスタッフらと案出しの段階で、複数の人から出てきたのが「夢」というキーワードでしたが、大森さんは「夢をかなえちゃったらすみっコじゃなくなっちゃう。テーマにするのが難しいかなと、一回却下となりました」と言います。

けれど、もう一度思い直し、大森さんは「すみっコたちにとっての夢の存在がとても大きい」という考えに至ります。吉田さんも「かなわない何かを持っているのを含めてすみっコなんだよという、『すみっコとはなんぞや』に帰結すると思います」と同意します。

集まったり離れたりするだけでも物語に
オープニングで、新しいキャラクターである魔法使い「わん」「つー」「すりー」「ふぉー」「ふぁいぶ」が登場してくる場面は、これまでと違うエンターテインメント性があります。

魔法使いが現れた後のあらすじは「公園、スーパーマーケット、森の中。次々と魔法がかけられ、キラキラに彩られた町はまるでパーティー会場のよう。やがて楽しい夜に終わりが近づき、月へ帰って行く魔法使いたち。そこにはなぜか…たぴおかの姿が? すえっコの『ふぁいぶ』と間違えて連れて行かれてしまって…?」。普段のすみっコ以上に華やかなシーンが続いていきます。

大森さんは「オープニングは、なるべく映画っぽくしようっていう気持ちがありました。だから、往年のSF映画、『スター・ウォーズ』や『2001年宇宙の旅』といった、この作品とはミスマッチな感じをあえて狙いました。そういうシリアスでリアルな絵作りというのが、新しい場所・新しいキャラクターの紹介と言う役割では、可愛い絵とも逆にマッチする面白さがあると思ったので」と教えてくれました。

「わん」「つー」「すりー」「ふぉー」「ふぁいぶ」という名前は、吉田さんの最初の案で出てきた仮称が「このままでかわいいからこれでいこうよ」と満場一致で決まったそうです。

一方、作る上で苦労したのは、第1作と同様キャラクターがしゃべらない点。吉田さんは「普通のアニメーションではあまりないので……。ただ、前作がうまくナレーションを使っていて、素敵な世界を作っておられたので、指針になりましたね」と話します。

大森さんも「前作と同じ約60分ということは決まっていましたが、全然尺感が読めませんでした。セリフもないし、キャラクターの動きもあまり細かいことは出来ないし」と、すみっコの映画に特有の悩みを明かします。それでも「すみっコたち自身の表情や、集まったり離れたりするだけでも物語になる」ということに気づいて制作が進んでいったといいます。

とかげとふぁいぶの気持ちに寄り添って書いた
2人が推しているキャラクターを聞いてみると、大森さんは「とんかつです」。映画の作中、とんかつ(と他のすみっコたち)にある出来事が起き、普段とはまた一味違ったとんかつが出てくる場面に注目してほしいといいます。

吉田さんは「とかげとふぁいぶの気持ちに寄り添って書いてきたので、この映画の中では一番応援しています」。とかげとふぁいぶの物語は必見です。

最後に、今回の映画の鍵を握るふぁいぶについて、大森さんは「うまくやりたいと思って、失敗しまくっているけれど、それでも頑張ろうとしている。他の魔法使いたちを見て、そうしなきゃいけないと振る舞っているうちって、なかなかうまくいかない」と分析します。

「やっていることは変わらないのかもしれないけれど、ふと、失敗しても良いんだよという風に割り切り」、そして、なりたい自分を思い描けるようになる(すなわち、夢を持つ)だけで素敵だ、ということが今回の映画を通して伝えたいことの一つだといいます。

基本はすみっこにいつつ、スクリーンの中で躍動するすみっコたちの活躍。見終わった後には優しい気持ちになれるはずです。

     ◇

〈おおもり・たかひろ〉
1984年にアニメ制作会社「スタジオディーン」に入社。フリーのアニメーター、実写映像のディレクターを経て、96年に「赤ちゃんと僕」で監督としてデビュー。主な作品に「地獄少女」「夏目友人帳」「デュラララ!!」「海月姫」 がある。

〈よしだ・れいこ〉
1993年にデビュー後、アニメーション作品を中心に活動。主な作品に「猫の恩返し」(2002年)、「映画けいおん!」(11年)、「聲の形」(16年)、「若おかみは小学生!」(18年)、「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」(20年)がある。

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