◆「投げることが出来たこと自体が良かった」
8月に右ひじの手術を受け、リハビリを続けていたオリックスの山岡泰輔が16日、日本シリーズを前に京セラドーム大阪で行われた紅白戦に登板。「自分では、いけるという準備だけはしておく」とシリーズ登板に照準を当てた。
山岡は6月22日の日本ハム戦(京セラドーム大阪)の1回途中に右ひじの違和感を訴えて降板。「右ひじ関節炎」と診断され、翌23日に出場選手登録を抹消された。その後、8月15日のウエスタン・リーグ阪神戦(ほっともっと神戸)の9回にリリーフ登板したものの、9月17日に右ひじのクリーニング手術を受け、以降はリハビリを続けていた。
この日は、8月25日の同リーグ阪神戦(鳴尾浜)以来、約3か月ぶりの実戦形式のマウンド。宮城大弥に続く2番手として登板し、先頭の佐野晧大に二塁内野安打を許したが、一死から連続三振。4回は先頭・山足達也にソロ本塁打を浴びるなど失点し、2イニングを4安打2失点、3奪三振の内容だった。
「リハビリ中、打者に向かって投げることは、ほとんど考えていなかった。それだけに投げることが出来たこと自体が良かった」という山岡。140キロ半ばの球速にも「いい時に比べると良くないが、手術して2カ月くらいでそこまで出るのはいいペース。むしろ早いくらい」と表情は明るい。
体にメスを入れたのは初めて。怖さより「手術してどんな感じになるのか、楽しみだった」と話し、「クイックも普通に投げられ、痛みもない。あとはスタミナだけかな」と明るい表情が戻った。
金髪など派手な髪の毛などで話題となったこともある山岡だが、チームを思う心は誰よりも強い。ドラフト時の入団交渉で、担当スカウトから告げられたのは、当時の福良淳一監督(現ゼネラルマネジャー)からの「チームを変えてくれ」との伝言だった。その言葉を愚直に守り、投手陣のリーダーとして若手の先頭に立ってチームを引っ張ってきた。
25年ぶりのリーグ優勝にはほとんど貢献できなかったが、日本一の力にはなるつもりだ。
取材・文・写真=北野正樹(きたの・まさき)