89歳の現役美容部員の半生「夫を亡くし、これからは自分の人生を作ろうと思った」

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2021年11月25日 09:21  女子SPA!

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写真飯田芳子さん
飯田芳子さん
 89歳の現在も現役のビューティーディレクター(※)として働き、化粧品の魅力を手ずから伝える“魔法の手”の持ち主としてウォールストリート・ジャーナルにも紹介されたポーラの飯田芳子さん。12月には90歳を迎えます。

 約60年にも及ぶキャリアを支えた心の持ちかたと、大切にしている言葉を伺いました。

(※ポーラの販売員のこと)

◆31歳の時に知人に誘われポーラの販売員に

――飯田さんは、未経験のまま化粧品販売のお仕事に飛び込まれたそうですね。お仕事を始められたきっかけは……?

飯田芳子さん(以下、飯田)「21歳で結婚して、30歳までは専業主婦だったんです。外で働いた経験はありませんでしたが、化粧品販売をしていた知人に『やってみない?』と誘われまして……。『私にできるかしら?』と思ったけれど、とくに難しい手続きもありませんでしたし、訪問販売が主な時代でしたので風呂敷に包んだ化粧品を持って知り合いを回ったのが始まりですね。

 風呂敷を抱えて大きなお家の門を押したら、『いらっしゃい』と言われまして。そこの奥様が『あなたね、この仕事は笑顔が大事よ。あなたの笑顔はとてもよかったから、それを忘れるんじゃないよ』とおっしゃったんです。

 それで、『あなたのところでいちばん高い香水を持ってきてちょうだい』と言われ、香水を持って戻ると、『はい、お代よ。それと、これはあなたの足代に』って300円くださったんです。『こういうこともあるんだ。この奥様は指導の神様だな』と思いまして、次のお宅に伺うときはニコニコ笑って行ったんです。

 そうしたら、そこの奥様にも『何笑ってるの? 上がっておいで!』と言っていただいて。上がってお肌のお手入れをしてさしあげたら『とても気持ちがよかったわ。じゃあその化粧品セットいただくわね』と、買ってくださったんですよ。それでけっこう自信がつきまして。お客様に喜んでいただけて、お給料もいただけるなんて最高だな!と思いました。以来、89歳の今まで化粧品販売の仕事を続けています」

◆嫁入り前はお稽古ばかりしていた

――笑顔でお仕事されて、よいご縁がつながっていったんですね。ご結婚前や、お仕事を始める前はどのように過ごされていましたか。

飯田「結婚前も勤めたことはなかったんです。昔は、お茶、お花、洋裁、和裁、みんな身につけなければお嫁に行けない時代だったので、嫁入り前はお稽古ばかりしていましたね。私は農家の生まれで、自分で言うのもなんですが働き者でしたので、縁談が96個も来ました。その中で野球青年だった夫と出会って結婚したんです。

 舅、姑はきびしい人で苦労しましたが、そのぶん鍛えられもしました。なので、誰にも負けない忍耐力は持っています。夫は私が働くことに反対でしたが、姑は賛成してくれたので、彼女の協力もあって仕事をすることができました。夫の目を盗んで働かなくてはならなかったぶん、真剣でしたね」

◆夫を亡くし、これからは自分の人生を作ろうと決意

――女性が働くことが一般的ではなかった時代は、パートナーさんにもいろいろなお考えがあったのでしょうね。

「はい。私が外で働くのは心配だったのかもしれません。夫とはよく一緒にゴルフをして、ゴルフのお友だちがいいお客様になってくださったこともありました。夫は68歳で亡くなり……。当時仕事ではあまり悲しみを表に出しませんでしたが、5年間くらい泣きましたね。私にとって夫は、それくらい大切な人でした。それでも5年経ったとき、『これからはもう、自分の人生を作ろう』と思って顔を上げました。

 実はそのころ、主人も含めて4人も大切な人を亡くしました。そのとき『まわりで4人も不幸があったら、普通仕事を辞めるよ』と言ってくる人がいて……。『なんでそんなことを言うんだろう?』と思ったけれど、気持ちはぶれませんでしたね。

 弱気になったことがなくはありませんが、やっぱりこの仕事は『辞めよう』っていう気にはならないんです。お客様のなかには『あなたに手を握ってもらうと楽になる』とか「あなたの手は神様の手よ」って言ってくださる方もいて、お役に立てるなら……という気持ちが大きいですね。だから、もうちょっと働いて、その時が来たら元気で笑いながら逝きますよ」

◆飯田さんが教えてくれた大切な言葉

――ぶれずに誠実に、ご自身はもちろん、人のために働くということですね。仕事場を拝見しますと、いろいろな言葉が掲げられていますが……?

飯田「はい。どれも私が大切にしている言葉たちです。ご紹介しますね。

『人は心程の世を渡る』(人は心程の世を経る)
娘時代に、祖母が教えてくれた言葉です。「人はその人の心がけしだいで、それにふさわしい人生を送るようになる。だから心をしっかり持ちなさい」と。まっすぐ、前向きであれば、同じように健やかな道が拓かれていくということですね。

『もの言すべて善意に解釈すれば腹たたず』
この言葉は母が教えてくれました。何事もよかれと思ってのことと思えば、腹も立ちません。どんな言葉も受け取りかたしだいだし、そこには何かしらの学びを見いだせます。

『あおもよし』
ありがとうございます。
おそれいります。
もうしわけございません。
よろしくお願いします。
失礼いたしました。

 この5つの言葉は覚え込んでいて、言い慣れているものです。言いなじんでいなければ、すぐに口には出せません。バスの中でも、『おそれいります』と言うとスムーズに座らせていただけるんですよ(笑)。お仕事も、日々の人間関係もなめらかにしてくれる言葉たちなので、ぜひ覚えておいてください」

◆感謝の気持ちを忘れずに、自分を信じて生きる

――最後に、お仕事や人生に悩める大人女性たちにメッセージをお願いいたします。

飯田「自分を信じて、真面目に生きること。一本筋が通っていれば、かならず道は開けます。幸せも自分で作るもの。心が曲がってしまうと幸せは逃げるから、とにかく心正しく、元気にね。

 それと、感謝の気持ちを忘れずに。人にちょっとしたことをしていただいたら、すぐ『ありがとうね』と伝える。これ、大事ですよ。あと、愚痴や弱音はなるべく吐かないほうがいいですよ。大人の女性は、みんな後輩のお手本にならないと。元気で明るく生きていきましょうね!」

――ありがとうございました!

【飯田芳子(いいだ・よしこ)】

ポーラ平塚西口営業所オーナー。31歳の時に知人に誘われ化粧品販売の世界へ。89歳の現在も現役のビューティーアドバイザーとして活躍。ふっくらと厚みがあり温かい手は「神様の手」と呼ばれる。元気の秘訣はいつもニコニコ笑い、趣味の水墨画や和歌を楽しみ心豊かに暮らすこと。

<取材・文/みきーる 写真/山川修一>

【みきーる】
ジャニヲタ・エバンジェリスト。メンタルケアカウンセラーⓇ。女子マインド学研究家。応援歴20年超のジャニーズファン。女心を知って楽しく生きるためのライフハック“女子マインド学”を提唱。著書に『ジャニ活を100倍楽しむ本!』(青春出版社)『「戦力外女子」の生きる道』他。Twitterアカウント:@mikiru、公式ブログ:『ジャニヲタ刑事!』

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  • 姑が仕事の後押ししてくれるってすごい。厳しいけどいい人だったんだろうね。
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