夏に多い「手足口病」が秋冬に流行? コロナ対策で免疫を持たない子どもの「免疫負債」に懸念

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2021年11月27日 09:00  AERA dot.

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写真フェイスシールドをする赤ちゃん(gettyimages)
フェイスシールドをする赤ちゃん(gettyimages)
 子どもを中心に夏に感染が拡大する手足口病が、流行の兆しを示している。また、夏から秋に子どもたちの間で感染が拡大していたRSウイルスが、今年は春から夏に大流行した。子どもがかかりやすい病気の感染時期に、ずれが生じているのだ。専門家の間では、コロナ禍での徹底した感染予防によって子どもたちが抱えた「免疫負債」によるずれを懸念する声があがっている。


【グラフ】今、子どもの間で感染拡大が懸念されている意外な感染症はコチラ
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「新型コロナウイルスの副産物として、RSウイルスが今年爆発的に拡大したと見ています」


 こう話すのは、厚生労働省・新型コロナウイルス感染症クラスター対策班のメンバーで、新潟大大学院医歯学総合研究科の菖蒲川由郷特任教授(公衆衛生学)だ。


 RSウイルスは、2歳までにほとんどの子どもがかかる病気だ。主な症状は、鼻水や咳などの症状だが、重症化すると気管支炎・肺炎などのリスクが生じる。ここ数年は夏から秋に流行があった。


 しかし、昨年は感染の報告数が激減していた。国立感染症研究所によると、2018年と19年は9月中旬頃にピークを迎え、一つの医療機関あたりの報告数はそれぞれ2.46件、3.45件だったが、昨年は同じ時期で0.05件と大幅に減少していた。報告件数の総数で見ても、18年に12万件、19年に14万件だったのが、20年はわずか1万8千件となっている。


 だが、今年は春先から感染の報告数が増え始め、7月上旬にはピークを迎え、一つの医療機関あたりの報告数は5.99件と例年を大きく上回った。総数も11月14日時点までの数字で、22万件にもなっている。


 実は同じような季節外れの感染拡大が他の国でも見られている。国立感染症研究所によると、アメリカやフランス、イギリスなどでは20年は18年、19年と同様の流行が見られなかった一方で、今年に入ってからRSウイルスの感染者数が大きく増加しているという。


 菖蒲川特任教授はこう見る。


「コロナ禍において皆がマスクや手洗いなどの衛生行動をとったがために、RSウイルス感染症に感染する機会がなく、感染者も激減しました。良いことにも見えますが、免疫を持たない子どもを増やすことにもなりました。それが免疫の“負債”となり、つけがまわって今年は大流行したと理解しています」






●子どもには新型コロナより感染症が脅威


 例年、子どもたちの間で流行りながらも、昨年感染者が大きく増えなかった病気は他にもある。インフルエンザや手足口病、プール熱(咽頭結膜熱)、ヘルパンギーナなどだ。


 手足口病、ヘルパンギーナは主に夏に流行する感染症だが、冬にさしかかる今の時期に、一部の地域で感染拡大が確認されている。日本小児感染症学会理事長などを務める長崎大の森内浩幸教授(小児科学)は、


「子どもにとっては、新型コロナよりもインフルやRSウイルスなど感染症のほうが命や身体に影響を与えるリスクが高い」


 と指摘する。


 手足口病は、大抵の場合は数日間で治る病気だが、一定の割合で脳炎や心筋炎など重い合併症を引き起こすと知られている。爪が剥がれ落ちることもある。ヘルパンギーナは39度以上の高熱が出ると同時に、のどが腫れ、小さな水疱ができる。のどの痛みが強く、食べものや飲みものを受け付けなくなり、小さな子どもは脱水症状を起こすこともある。


 また、爆発的な感染で懸念されるのは、医療ひっ迫だ。重症化した場合には、酸素吸入や小児用の集中治療室などで治療を受ける必要がある。しかし、例年以上に感染が拡大し、重症者も増えれば、治療用の機器やベッドは埋まり、必要な治療を受けることができないこともあり得る。今年、RSウイルスが流行った際には、小児科のベッドが埋まり、普段であれば入院が必要な子どもでも、入院ができない例があった。


 対策はどうすればいいのか。森内教授はこう指摘する。


「対策の基本は、流行の爆発を防いだり、そのスピードを緩くしたりすることです。そうしないと適切な治療を受けることができず、救える命も救えなくなることにつながりかねない。流行りそうな気配があるときには、改めてマスクや手洗い、消毒をしっかりとする、症状があるときには保育園には預けないなど個人や組織でもしっかりと対策をする必要がある。インフルエンザなどワクチンのある感染症は、予防接種しておくといいです」


 今年は新型コロナの感染者数以外にも注視したい。


(AERAdot.編集部・吉崎洋夫)


このニュースに関するつぶやき

  • 子供が1歳半の時に晩秋に手足口病になった。当時は事情により保育園に行かず他の子と接触が極端に少なく殆どの病気に免疫が無くて。今の子達も感染対策で同じ状態かも
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