きまぐれクックが「上海ガニ購入」を謝罪も、いまだにヤフオク!で「上海蟹」表記の商品が並ぶナゾ

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2021年11月27日 17:05  AERA dot.

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写真上海ガニ
上海ガニ
 上海料理の秋冬の風物詩といえば上海ガニ。ところが、先月下旬、YouTubeチャンネル「きまぐれクック」のかねこが生きた上海ガニをネットオークションサービス「ヤフオク!」で購入して調理する様子を投稿したところ、「外来生物法」違反の疑いで環境省が調査に乗り出す事態となった。


【写真】ヤフオク!で「上海蟹」と表記された商品
 事の発端となったのは、10月31日に投稿した「中国からまだ生きてる『アノ食材』が届いた。ヤバすぎる。」という動画。これに対して、一部の視聴者から、「外来生物法に違反するのではないか」という指摘の声が上がった。指摘を受けて、かねこは動画を削除。11月13日に謝罪の動画を投稿した。


 謝罪のなかで、かねこは上海ガニを購入した経緯について、詳細に語った。普段から頻繁にヤフオク!で魚などを購入していると、マイページのお薦め欄にさまざまな魚介類が表示されるという。「ある日そこに、上海ガニが表示されて、特定外来生物だということをまったく知らずに購入しました」(謝罪動画でのコメント)。数日後、東京の輸入業者から生きた上海ガニがひもでぐるぐる巻きにされた状態で到着。その夜、カニを調理して、撮影を行い、YouTubeにアップしたところ、今回の事態となった。


「ぼくは魚介類の料理の知識は多少はある方なんですけれど、外来生物に関する知識が本当にゼロに等しかった。それで、こういうことが起こってしまった」(謝罪動画でのコメント)


何が違法行為に当たるのか?


 今回のケースの何が違法行為に当たるのか?


「問題は購入許可を持っていないYouTuberの方に上海ガニを販売したこと。売った側、買った側の両方が違法行為になります」


 環境省外来生物対策室の谷口晃基さんは、こう説明する。


 上海ガニは中国南部が原産地だ。正式には「チュウゴクモクズガニ」と呼ばれる。


「国内にもモクズガニとオガサワラモクズガニという種が自然に分布していますが、この在来2種を除いたすべてのモクズガニ族が特定外来生物に指定されており、上海ガニもこれに該当します」(谷口さん)


 特定外来生物に指定された種は「外来生物法(正式名:特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律)」に基づく取り扱い規制がかかり、飼育や販売、輸入などの行為が原則、禁止される。


「例えば、上海ガニを飼育する場合には、あらかじめ、許可をとっていただく必要があります。ただし、動物園や植物園といった公的な展示目的、または学術的な目的のみが許可対象で、ペット目的での飼育について許可は下りません」(谷口さん)




実際に摘発された事例も


 罰則規定も設けられており、許可を得ずに飼育した場合、3年以下の懲役、もしくは300万円以下の罰金が科せられる。


 中華レストランなどで提供される上海ガニについてはどうなのか?


「許可を受けた業者が中国から上海ガニを輸入して、同様に許可を受けたレストランに売るという行為については違法行為にはあたりません」(谷口さん)


 一方、上海ガニを違法に販売して摘発された事例もある。2015年、許可を得ていない業者に上海ガニを販売した東京・上野のアメ横商店街の中国食材店の経営者と、購入した水産物輸入業者の社員が特定外来生物被害防止法違反の疑いで書類送検された。18年、許可を得ずに販売目的で上海ガニを飼っていた横浜市の鮮魚販売業の社長と、魚介類販売店の店主が書類送検されたこともある。


 では、今回のケースも摘発されるのか?


「YouTuberの方がどのような業者から上海ガニを購入したのか、現在、調査中です」(谷口さん)


筆者にも届いた「上海ガニ」のお薦め


 ヤフオク!は今回の事態を受けて、16日に「モクズガニの出品について」というお知らせを出し、注意喚起を行った。そこには「『チュウゴクモクズガニ(通称:上海ガニ)』をはじめとするモクズガニ属の種(※在来の2種を除く)は、外来生物法において特定外来生物に指定されています」と書かれている(※は筆者による)。さらに、「ガイドラインに違反する商品については、発見次第削除等の措置を実施いたします。(規制の対象種であることが示唆されるものを含みます)」とある。


 ところが、その5日後、記者の元にヤフオク!からお薦め商品のメールが届いた。それを開くと、「上海蟹」のタイトル文字が目に飛び込んできた。添えられた写真にはたくさんの暗緑色のカニが写っている。だが、環境省に話を聞くと、「上海ガニの国内での繁殖は把握しておりません」(谷口さん)という。「国内にいない」となれば、違法に輸入された上海ガニを売っているのだろうか。


 ヤフオク!を運営するヤフージャパンに話を聞くと、「その商品の説明書きには鹿児島産のモクズガニとあります。当然、国産種で、違法ではなく、出品できる状態です」(ヤフージャパン広報担当者)との回答が返ってきた。


 続けて、「商品が国産種のモクズガニなら、『上海蟹』と表記すると『産地偽装』になるのではないか」と聞くと、質問に対する明確な回答はなく、「国産種、外来種の判別が難しいものに関しては、適宜、環境省と連携のうえ、措置を実施させていただいています」(ヤフージャパン広報担当者)と繰り返すだけだった。



「どこに落とし穴があるか分からない」


 日本在来のモクズガニと上海ガニは非常によく似ているが、環境省は「注意深く観察すれば識別可能である」としている。


 ヤフージャパンは「ガイドラインに違反する出品に関しては、24時間、365日、人的パトロールおよび、AIの活用も行っている」そうだが、上海ガニの識別についてはかなり難しそうだ。さいわい、上海ガニの日本における繁殖は確認されていない。


 かねこは謝罪動画のなかで、こう語った。


「特定外来生物とか、取り引きしてはダメなものって、魚介類だけじゃないと思っています。いま、インターネットで何でも買える時代。個人でも売買ができてしまう時代なので、ほんとうに気をつけないといけないなと思いました。どこに落とし穴があるか分からない」


 ネット通販での買い物が当たり前になり、コロナ禍で利用する機会も増えた。自分の身は自分で守る意識が必要だろう。(AERA dot.編集部・米倉昭仁)


このニュースに関するつぶやき

  • 毛蟹が駄目なら、可愛いぃぃぃぃぃぃ
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  • 「商品が国産種のモクズガニなら、『上海蟹』と表記すると『産地偽装』になるのではないか」、そりゃもっともな疑問だ──
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