OBの館山昌平が分析。なぜヤクルトはシーズン前の下馬評を覆し、日本一を達成できたのか

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2021年11月28日 10:51  webスポルティーバ

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 ヤクルトが3勝2敗で王手をかけた日本シリーズ第6戦が11月27日、ほっともっとフィールド神戸で行なわれた。オリックス・山本由伸、ヤクルト・高梨裕稔の両先発が投手戦を繰り広げるなか、5回表、ヤクルトが塩見泰隆のレフト前タイムリーで1点を先制。しかし、オリックスは直後の5回裏、福田周平のレフト前タイムリーで追いついた。その後は両者譲らぬ展開となり、均衡が破れたのは延長12回表。代打・川端慎吾のレフト前タイムリーでヤクルトが1点を勝ち越した。その裏は、延長10回2死から登板した守護神マクガフが無失点に抑え、ヤクルトが20年ぶり6度目の日本一に。勝敗を分けたポイントについて、ヤクルト時代の2015年に日本シリーズに出場した館山昌平氏に聞いた。




 オリックスとしては本拠地で大エースの山本由伸投手が先発し、「絶対に負けられない」という戦いでした。対して3勝2敗のヤクルトは、王手をかけているものの、第6戦を落とすと第7戦は相手を連勝して勢いに乗った形で迎えることになるので、気持ち的には五分五分の状況だったと思います。

 山本投手はさすが沢村賞に輝いただけあって、何段もギアを持っているようなピッチングでした。序盤はストレートで押して、中盤以降は要所でフォーク。6回に2つのエラーで無死1、2塁になった場面でも、「大丈夫、大丈夫」とチームメイトに声をかけるなど、本当にエースらしい佇まいでした。

 あの場面を目一杯の力でいき、終盤はスライダー、カーブを多投しながら、フォークとカットボールをうまく使い、プロ入り最多となる9回141球を投げ抜きました。本当に魂がこもった、すばらしいピッチングでした。

 一方、ヤクルトの高梨投手は、初回、2回と球が上ずっていました。それでも走者を出してからはフォークの制球が安定していましたし、クイックをうまく使いながら低めに集めていました。

 インターネット中継ではイニング間の投球練習も流れていて、よかったのは初回だけでした。2回以降は「なんとかしなくては」という様子で、だからこそ丁寧に投げていました。

 高梨投手の状態というのは、おそらく現場もわかっていたはずです。神宮と同じようにブルペンが外にある球場なので、2番手で投げることになるスアレス投手は展開を読みながら、自分の登板に向けていい準備ができたと思います。

 その後は清水(昇)投手がイニングをまたいで、8、9回を抑え、田口(麗斗)投手を挟んで、延長10回2死からマクガフ投手をマウンドに送りました。

 第6戦の継投は、「1点もやらないんだ」という高津(臣吾)監督の強い思いが表れていました。さすが現役時代に日本シリーズなど多くの修羅場をくぐり抜けてきた投手だけあって、短期決戦の戦いを熟知しているなと思いました。

 決勝点を挙げた川端(慎吾)選手は二死1塁で代打に送られ、5球目にパスボールで走者が2塁に進塁しました。状況が変われば配球は変わりますし、外野手も前進守備となり、1塁が空いていたので勝負を避けられる可能性もあった。いろんなことを考えながらの打席となったので、難しかったと思います。

 そんななか、極限までボールを引きつけて、逆方向に打ち返すという、川端選手の技術が詰まったバッティングでした。

 紙一重の戦いが続いた今年の日本シリーズは、ヤクルトが4勝2敗で日本一に輝きました。シーズン中から「ピッチャーが弱い」と言われてきましたが、日本シリーズでは全投手が「やってやるぞ。オレたちで1点でも少なく抑えよう」という姿勢が見て取れました。

 2戦目で青木(宣親)選手が決勝タイムリーを放ち、チーム最年長の石川(雅規)投手が4戦目で勝利投手になった。そして6戦目では川端選手の一打が日本一を呼び込みました。今回のシリーズでは、村上(宗隆)選手、塩見選手、奥川(恭伸)投手、高橋(奎二)投手ら、若い選手が本当にすばらしい活躍を見せた一方、要所でベテラン勢がまとめてチームを鼓舞していました。

 歓喜の輪の中心に石川選手と青木選手がいるのは、感慨深いものがありました。この2人がリーダーシップを発揮して、それがチームにいい影響を与えていたのは間違いありません。ただ、ベテランにリーダーシップを発揮させる環境をつくったのは、高津監督をはじめとした首脳陣だと思います。選手個々の力を最大限発揮できる雰囲気が、今年のヤクルトにはありました。

 今シーズン、開幕前の予想でヤクルトの前評判は低かった。それでも高津監督は選手たちを信頼し、「絶対大丈夫」とチームをまとめて、選手たちは結果で応えた。その一戦一戦の積み重ねが自信となり、チームは着実に力をつけていった。その結果、シーズンはおろか、短期決戦も勝ち抜き、2021年はどのチームよりも強かったことを証明しました。

 僕は昨シーズンから楽天の二軍投手コーチを務め、現役とは違った形でヤクルトを見ていました。石川投手や数人の選手とは連絡を取ることもありますが、シーズンを通してチームが強くなっていくのを感じました。日頃からチームワークのよさがあったことは手にとるようにわかりましたし、OBとして本当にうれしく思います。20年ぶりの日本一、本当に「おめでとうございます」と言いたいですね。

このニュースに関するつぶやき

  • 毎試合しびれるような投手戦で点が入らない中において、オリックスベンチは意気消沈とはいかなくとも静か。ヤクルトベンチは青木が喜怒哀楽を全身で表現してた。その微妙な差かな。
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