価格”低空飛行”で「LCCが逃げ出すレベル」 東京/羽田〜鹿児島線、JALは5,400円から【コラム】

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2021年11月28日 14:21  TRAICY

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価格の"低空飛行"が止まらない。全日本空輸(ANA)・日本航空(JAL)・ソラシドエア・スカイマークが競合する東京/羽田〜鹿児島線。年度内を対象にJALが最安5,400円からで販売しており、LCC(格安航空会社)が太刀打ち出来ない状況になっている。この状況を詳しく解説していく。

鹿児島空港は、鹿児島市から北東に約30キロメートル。鹿児島市中心部からは高速を経由する空港連絡バスで約40分。現在は減便ダイヤで20分間隔で運行している。筆者も東京/羽田〜鹿児島線でJAL便を中心に何回か利用しているが、ビジネス客も観光客もまんべんなくいるものの、ビジネス客のほうが多い印象を受けた。

加えて、鹿児島空港では、奄美群島方面へのハブにもなっており、鹿児島〜奄美大島線はJALグループのジェイエア、日本エアコミューターとスカイマークが1日10便程度を運航している。このため、東京・名古屋・大阪などから乗り継ぐ客も多く見受けられる。

それもそのはず、旺盛な航空需要によって、東京/羽田〜鹿児島線は新型コロナウイルスによる減便を除き、時刻表ベースで1日22便が設定されている、年間利用者234万人、羽田発着で第5位(2019年度、国土交通省調べ)の大きな存在感を示す路線なのだ。

JALで羽田発鹿児島行が5,400円の衝撃

価格を比較していこう。Googleフライトなどによれば、執筆している11月21日時点の東京/羽田発鹿児島行きの最安値は、JALが片道5,400円、スカイマークが同5,700円、ANAとソラシドエアが同6,400円となっている。いずれも羽田空港の空港使用料は別途必要。各社とも、無料で座席指定や手荷物の預け入れができ、スカイマークはコーヒーのみだが、各社ともにドリンクサービスがある。

これに対して、同日時点のジェットスター・ジャパンの東京/成田発鹿児島行きの最安値は、空港使用料や支払手数料を除いて片道5,680円。2013年の就航時には1日最大2往復を設定していたが、現在は1日1往復の運航で、座席指定や手荷物の預け入れは別途必要だ。

片道6,000円程度を出せば、羽田発着の様々な航空会社の便から選ぶことが出来る。もちろん最安値の運賃は、各日ともに早朝便や、行楽やビジネスに利用しづらい便が多い。また、繁忙期の運賃は、レガシーキャリアと呼ばれるANAやJALなどはもちろん、各社ともに高くなる傾向はあることには留意すべきである。

しかし、すでにジェットスター・ジャパンが1日1往復となっていて、羽田発着の各社の運賃が"低空飛行"な状況では、価格や利便性など総合的にみてLCC側が不利だ。

この状況を裏付けるように、大手LCCのピーチ・アビエーションは、10月31日から始まった冬ダイヤから、東京/成田〜鹿児島線を運休している。理由は明らかにしていないものの、レジャー路線に強いとしてシフトするピーチが、価格が下落傾向で、フルサービスの航空会社と価格競争を強いられる同路線から撤退するのは、無理もないだろう(大阪/関西〜鹿児島線は運航中)。

片道4,000円の名古屋/中部〜鹿児島線

先程紹介した東京/羽田〜鹿児島線をしのぐ、「LCCが逃げ出す」レベルの価格下落を起こしている路線がある。それは名古屋/中部〜鹿児島線だ。

名古屋/中部〜鹿児島線は、ANA、ANAと共同運航するアイベックスエアラインズとソラシドエア、スカイマークの4社が運航している。こちらも価格は"低空飛行"気味だ。

最安値は2020年10月に就航したアイベックスエアラインズの片道4,000円からで、スカイマークも同4,400円から。ソラシドエアとANAはこれに比べれば割高の設定だ。東京/羽田〜鹿児島線に比べれば、選べる便数は少ないものの、十分実用的だ。

なお、名古屋/中部〜鹿児島線はジェットスター・ジャパンが2013年から就航したが、新型コロナウイルスの減便・運休を経て2020年10月から運休している。

セントレアは名古屋市内などからはアクセスに時間を要すことが難点だが、場合によってはその難点をカバーできるような利便性もある。

東京/羽田・名古屋/中部〜鹿児島線ともに利用するシチュエーションは限られるかもしれないが、間違いなく魅力的な価格の路線として、アフターコロナの旅先としてぜひ検討されてみてはいかがだろうか。

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