＜最悪の事態を考えて！＞【後編】泣きながら「仕事を辞めたい」と電話してきたわが子を突き放した

前回からの続き。「仕事を辞めて実家に帰りたい」と泣きながら電話してきた25歳の娘さんを突き放した、今回の相談者さん。親に相談するとは、よほどのことです。しかも相談者さんは、上の娘さんが子どもを連れて実家に戻ったときには、受け入れたそう。精神的に弱っている人に対する相談者さんの対応に、「あまりにひどいのではないか」と批判が殺到しました。

どうやら相談者さんにも事情があるようです。

なぜ相談者さんは娘さんのことを迎え入れようとしないのか？

相談者さんはママたちからの厳しい声を受け、娘さんと生活スタイルがまるで合わないため、「戻っておいで」と二つ返事ができなかったと教えてくれました。

『電気はつけっぱなし、ずっとギリギリまで寝ている、散らかす、家事を頼んでもすぐにしない。これが嫌なんですよね。上の子はちゃんとできるのに』

一緒に暮らすうえで最低限歩み寄ろうとする姿勢がないと、お互いイライラしてしまうことが目に見えています。ただ、相手は精神的につらくなっている実の娘です。

もっと相手を思いやるような言動・行動があったはず！

『なんでも言い方、やり方ってもんがあるでしょ。泣きながら電話して助けを求めている人間に対してそれはない。ましてや実子なのに』

『せめて「いつでも帰って来てもいいから」「あと1年頑張ってもダメなら……」みたいに言うとかさ〜』

『帰ってくるな！　じゃなくて、アドバイスすればいいんじゃない？　仕事辞めてもいいけれど、違う仕事を探すようにさせるとか』

「戻ってきてもいいよ、でもお母さんも生活があるから家事をやってもらわないといけないけれどいい？」「話を聞くから1度そちらに行こうか？」など、娘さんがこれ以上悲しくならない言動はいくらでもあったはずです。

しかも相談者さんは、上の娘さんは迎え入れているのに下の娘さんは迎え入れないという、いわゆる「姉妹差別」をしています。娘さんは「なぜお姉ちゃんがOKで自分がダメなのか」「自分は愛されていないのか」などときっと思い悩んでいるはず。1度生活スタイルを含め、きちんと娘さんと話し合ってみるほうが、お互いの誤解が少なくなるのではないでしょうか？

取り返しがつかなくなることを考えながら検討してみて

『ひどい。なんで上の子は帰ってくることを許して下の子はダメなの？　これは一生恨まれても仕方ないね』

『親を憎むことはあっても、本人が強くなることはないと思う。強さっていうのは、惜しみない愛情と絶対的な居場所があるから生まれるものだから。親に見捨てられて強くなるわけない。自己肯定感も下がり自暴自棄になるだけ』

『娘がつらくて訴えているのに……親に拒否され自死を選んだらどうするの？　私なら助ける』

相談者さんが冷たくしたがために、娘さんの精神状態がとても悪くなってしまう可能性は否めません。それでも相談者さんは後悔しないでしょうか。娘さんの精神状態がなんとか保てたとしても、今娘さんを拒否すれば、将来娘さんに拒否される可能性だってあります。

自分の事情だけを優先するのでなく、娘さんの気持ちを汲んで判断すると、きっと振り返ったときに「良かった」と思えるはずですよ。

文・物江窓香　編集・古川純奈　イラスト・Ponko

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