J1残留へ清水エスパルスが「狙いどおりだったが、出来すぎ」の勝利。勝負の最終決戦へは心許ない内容だった

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2021年11月29日 06:31  webスポルティーバ

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 まさか、まさかの幕切れだった。

「えっ、入っちゃった?」。敗者はもちろん、勝者ですら、そんな感覚ではなかっただろうか。

 J2降格となる最後の1枠から逃れるべく、熾烈な残留争いを繰り広げる清水エスパルスは、J1第37節で浦和レッズと対戦。1−0で勝利し、敵地での貴重な勝ち点3を手にした。




「向こう(浦和)がボールを保持する時間が増えるのはわかっていた。我慢強く、どこかで一発(1点)とって、というプランだった」

 清水の平岡宏章監督がそう語るように、この試合、多くの時間でボールを支配していたのは浦和である。実質ゼロトップと言っていい布陣の浦和は、ピッチ上の選手が立ち位置を自在に変えながらパスをつなぎまくった。

 と同時に、守備への切り替え、ボールの奪回も速かった。清水は自然と後退を強いられる場面が多くなった。

 しかしながら、浦和の攻撃はそこまでだった。清水のGK権田修一が「危ないシーンはなかった」と振り返ったように、圧倒的なボール支配をどうゴールに結びつけるのかが見えてこなかった。

 一方で清水もまた、洗練された戦いをしていたとは言い難い。

 浦和のもたつく攻撃に助けられはしたが、攻守両面で連動性に乏しく、一度食い止めてもセカンドボールを拾われる。あるいは、奪ったボールを攻撃につなげられない。そんなシーンが目立った。

 平岡監督は守備に追われる展開が続いたことを、「もう少し高い位置で奪って、カウンターを意識しているのだが......」と振り返っていたが、そんな狙いがハマりそうなシーンはほとんど見られなかった。

 結果的に、試合はスコアレスで進んだが、清水にとっては悪くない展開だったはずだ。

 同時刻キックオフで残留争いのライバル対決、湘南ベルマーレvs徳島ヴォルティスの情報――徳島が1−0でリード――は「スタッフには入っていた」(平岡監督)。清水は勝ち点1でも上積みできれば、勝ち点で並ぶことになる湘南と徳島を一歩リードできる。

 実際、0−0のまま迎えた後半ロスタイムに、清水は時間稼ぎの選手交代も行なっている。FW鈴木唯人、FWチアゴ・サンタナに代えて、DF山原怜音、FWディサロ燦シルヴァーノを投入したのだが、退くふたりがゆっくりと下がっていったのを見ても、このまま引き分けでよし、の判断があったはずだ。

「前半からチアゴと唯人が守備でスイッチとなり、攻撃でもサイドに流れて起点を作っていたので、疲れていた」と平岡監督。「(得点する)ワンチャンも考えていたが」と付け加えながらも、「勝ち点1をとって帰りたい」という意図だったことを認めている。

 にもかかわらず、時間稼ぎの交代直後のプレーで決勝ゴールが決まってしまうのだから、誰もが呆気にとられるまさかの結末である。指揮官自ら「狙いどおりだったが、出来すぎ」と言うのもうなずける。

 これで勝ち点を39に伸ばした清水は15位に浮上。ともに勝ち点36で16位の湘南、17位の徳島に勝ち点3の差をつけた。残すは1試合という状況を考えれば、相当に大きなアドバンテージを手にしたことになる。

 とはいえ、浦和戦を見る限り、その試合内容はかなり心許ない。

 相手にボールを保持される時間が長くなるのはいいとして、どこでボールを奪うのか。奪ったボールをどうやって前線に運ぶのか。そうした戦い方が整理されているようには見えなかった。

 後半ロスタイムのMF中村慶太の決勝ゴールに関しては、見事と言うほかない。右足をひと振りするだけの時間とスペースしかなかった状況で、「トラップして時間をおいたらブロックされる。ワンステップで打とうと決めていた」。判断と技術が高いレベルで融合したスーパーゴールだった。

 だが、それ以前のチャンスらしいチャンスと言えば、前後半にひとつずつ、FW鈴木唯のドリブル突破がシュートにつながったシーンくらい。FWチアゴ・サンタナが前線で孤立して、ボールを失うシーンも少なくなかった。

 今日のような戦いができれば、次も勝てる――自信を持って、そう言い切れる内容ではなかったのではないだろうか。

「ピンチの数が減ってきているのは評価できるが、今日の試合を見て最終戦(の対戦相手)のセレッソ大阪は準備をしてくる。今日と同じでは崩されてしまう」

 権田がそう話しているとおりだ。

 しかし、裏を返せば、そんな試合だったからこそ、とてつもなく大きな勝ち点3を手にした、とも言える。

 最終節で清水は、湘南と徳島の試合結果にかかわらず、勝てばもちろん、引き分けでも残留が決まる。仮に敗れたとしても、湘南と徳島がそろって勝たない限り、降格圏に転落することはない。清水が圧倒的優位な状況で、運命の最終節を迎えられることは確かな事実だ。

 土壇場で手にした望外の勝ち点3。これで残留を逃すようなことは、さすがにあるまい。

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