森保一監督は本当に続投でいいのか。日本代表を取材してきた5人の見解

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2021年11月29日 10:51  webスポルティーバ

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カタールW杯アジア最終予選特集
森保監督続投にイエスorノー(前編)

 カタールW杯アジア最終予選を戦う森保ジャパンは、11月のベトナム戦、オマーン戦に連勝したことでグループ2位に浮上。ひと息ついて年内の日程を終えた。これにともない、10月のサウジアラビア戦前後に取りざたされた森保一監督の進退にまつわる論議も収まり、続投は規定路線になりつつあると言っていいだろう。果たしてこのままでいいのか。長年にわたって日本代表を取材してきた5人のサッカーライターは、こう見ている。

ノー。サッカー協会の「いい監督を見つけ出す力」に期待したい
杉山茂樹

 森保一監督。W杯本大会でベスト8を狙うレベルの監督にはないと見る。続投か、交代かで言えば後者を望む。

 先日のオマーン戦。決勝ゴールを決めた伊東純也にマイナスの折り返しを送った勝利の立役者が、これまで代表に招集してこなかった三笘薫であったことに、その才覚のなさが集約される。敗戦か引き分けで自らのクビが飛ぶかもしれない崖っぷちに立たされた大一番で、後半から途中交代で送り込んだ新顔に救われるというこの構図。喜べる話ではない。 

 これをもって森保監督はツキを持っている監督だと捉えるか、限界と捉えるか。筆者の場合は後者になる。

 もっとも、南アフリカW杯本大会で、突然、自らの過去を否定するような采配を演じた岡田武史元監督のような真似ができるのなら話は別だ。カメレオン監督になれるならともかく、森保監督の言動の端々に覗く頑なな態度を見る限り、その可能性も低いと考える。

 問題は交代のタイミングだ。最終予選後か、その最中か。後者だとすれば、いまこそが最適なタイミングになる。次戦は1月28日。間隔は2カ月以上空く。だが一方で、ベトナムとオマーンに、いずれも辛勝ながら連勝したことで、続投は確実と言われる。にもかかわらずサッカー協会が交代に踏みきれば、それは英断だ。まだオーストラリア、サウジアラビアとの直接対決を残しているので、予断を許さない状況にある。

 予選は森保監督に勝ち抜いてもらうにしても、協会がその戦いぶりに可能性を抱けないと判断すれば、交代は思いのほかすんなり実現するだろう。

 ただ、いまこのタイミングではどうだろうか。日本人選手の実力を考えれば、普通に戦えば突破できる。交代にリスクは少ないと踏む筆者は、それなりの能力を持った監督を招聘すれば、なんとか予選は突破できると考える。

 監督交代はサッカーについて大真面目に考えるいいタイミングだ。多くの国民が目を凝らす代表監督が、レベルの高い采配をすれば、見る目は肥える。観戦者のレベルまで上昇する。代表監督には上等な人物が就く必要があるのだ。

 世界には実際、上等な監督がいっぱいいる。W杯本大会ベスト8の機運は彼らを招いて初めて高まるというもの。サッカー協会のいい監督を見つけ出す力に期待したい。




イエス。リスクを考慮すれば予選は現体制で乗りきるしかない
小宮良之

 アジア最終予選を通じ、森保一監督が最高の結果・内容を見せることができていないのははっきりしている。

 石橋を叩いて渡る慎重さが裏目に出たのか、選手起用は硬直化した。低調な長友佑都、大迫勇也に固執。南野拓実の本来の力を引き出せず、遠藤航まで消耗させ、プレー精度を落としてしまった。

 一方で、システムに囚われすぎている。あくまで守備を補強した程度の効果しかなかった4−3−3にこだわり、ベトナム戦は守田英正の代わりに柴崎岳を起用。挙句、戦術的に無残なノッキングを起こした。相手の中盤がダイヤモンド型でアンカーがフリーになることは十分予想できたはずで、4−2−3−1でトップ下を置くべきだったが......。

「勝つことがすべて」

 森保監督はそう言うが、それは一か八かの最終戦で納得できる話だろう。予選を通してずっと「勝つことがすべて」では、「世界」を視野に入れる強化と矛盾する。正直、森保ジャパンは泥沼にいる。

 しかしそうであっても、残り4試合で森保監督を解任するのはリスクを伴うだろう。はっきりと言えば、後任候補がいない。

 たとえば、後任に長谷川健太元監督という噂はくすぶっているし、それなりに信ぴょう性もあるようだが、それでは森保監督からの劇的な変化は望めない。プレースタイルは守備戦術に根差したもので、攻撃は個人に頼るところが大きく、似たり寄ったり。森保監督同様に、「戦えるか」をお題目に敢闘精神を求め、序列を重んじる。ボスの風格はあるが、たとえば風間八宏氏のような閃きは与えられず、組織が動かなくなると沈滞し......今のFC東京を見れば明らかだ。

 そもそも現在の技術委員に、世界市場に飛び込み、外国人監督との契約を取るような気配はない。アルベルト・ザッケローニ、ハビエル・アギーレ、ヴァイッド・ハリルホジッチを招聘した霜田正浩技術委員長は組織変革で退陣を余儀なくされてしまった。スカウト力、語学力、人脈、交渉力が揃わないと、できない仕事だ。

 そこで、Jリーグで経験のある外国人監督、もしくは代理人が持ち込む外国人監督から選ぶことになるわけだが、スクランブルの状況では単なる博打だろう。現実的な話、時間もない。今のJリーグの監督にはそもそも契約があるし、日本に来たことがない外国人監督は一から日本人選手の情報を集めるわけで、あまりに冒険的だ(過去には悪い意味でのサプライズ招集もあった)。

 日本代表選手のレベルは、アジアでは群を抜いている。それは、三笘薫、古橋亨梧、中山雄太が入って一変したベトナム戦でも明白だろう。これに久保建英、堂安律、橋本拳人などを加えたら、残り4戦は十分に勝利が見込める。それこそ、ピッチに出た選手が適応するだけで。

 予選は森保監督続投で乗りきるしかない。リスクとリターンを考慮した上での判断である。ただ、本大会に向けては白紙で監督人事を考えるべきだ。
(つづく)

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