10万円超え「BALMUDA Phone」は本当に“期待はずれ”なのか? バルミューダが狙う市場とは

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2021年11月29日 21:51  All About

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写真バルミューダのスマートフォン「BALMUDA Phone」は、発表直後からネット上で賛否両論の声が上がっている。果たして、実際はどうなのか。ITジャーナリストの石川温が考察する。
バルミューダのスマートフォン「BALMUDA Phone」は、発表直後からネット上で賛否両論の声が上がっている。果たして、実際はどうなのか。ITジャーナリストの石川温が考察する。
家電メーカーであるバルミューダが、スマートフォン「BALMUDA Phone」を11月26日に発売した。

しかし、発表直後から、ネット上では賛否両論の声が上がっている。否定的な声としては「デザインが古臭い」「スペックの割に高い」というものだ。

果たして、実際はどうなのか。まずはスペックを見ていこう。

BALMUDA Phoneは高いといわざるを得ない

BALMUDA Phoneは、画面サイズが4.9インチと、ここ最近のスマートフォンの中ではかなりコンパクトな部類に入る。チップセットは「Snapdragon 765」。メインカメラは1つで4800万画素、フロントカメラはパンチホール式で画面に大きく穴が空いている。

ディスプレイは液晶であり、有機ELではない。おサイフケータイに対応するが、防水/防塵性能はIPX4と生活防水レベルだ。価格は10万4800円となっている。

単純にチップセットだけで比較すると、Snapdragon765Gを採用する「OPPO Reno5 A」が3万円前半で売られていたりする。性能と価格のバランスだけで見れば、BALMUDA Phoneは高いといわざるを得ない。

ただ、バルミューダとしても、中国メーカーのスマートフォンと価格競争するつもりは毛頭ないだろう。また、ディスプレイを折りたたんでしまうGalaxyや1インチセンサーを載せるシャープやソニーとも性能競争しようとは思っていないはずだ。

あえて狙った「4.9インチ」というサイズ感

バルミューダの寺尾玄社長は「今のスマートフォンがあまりにも画一的になってきた。iPhoneやAndroidなど種類はあれど、私にはほとんど同じに見える。スマートフォンの世界では選択の自由がない。今のスマートフォンの画一性はiPhoneのせいだ」と、今のスマートフォン市場を分析する。

iPhoneを筆頭に大画面競争が繰り広げられ、ディスプレイが大型化していく中、あえて4.9インチというサイズ感を狙ってきた。かつて、iPhone 3GSなど丸みを帯びて持ちやすかったデザインを意識し、背面も丸みをつけるなど、曲線だけでできたデザインに仕上げてきた。

寺尾社長は、現代人は、巨大化したスマートフォンに支配されている人生を送っているのではないか、と警鐘を鳴らす。スマートフォンの画面ばかり見ていてはいけない、人生を豊かにすることはスマートフォンの画面の外にあると言いたいわけだ。

「スマートフォンを極力使わない」仕掛け

BALMUDA Phoneの基本アプリ(出典:バルミューダ公式サイト)

そこでBALMUDA Phoneでこだわって作られたのが、基本アプリだ。スケジュール管理や時計、メモ帳など「いかに使う時間を短くするか」というコンセプトで設計されている。BALMUDA Phoneは「スマートフォンを極力使わない」という思想が根幹にある。

実際にスケジュール管理のアプリを触ってみると、確かにこれまでの日曜から土曜日までを1週間とした表示ではなく、日付が延々と連続して表示される仕様となっている。拡大・縮小をして自分の思い通りの日付に飛びやすくなっているのだ。

Androidに標準搭載されているスケジュール管理アプリはお世辞にも使いやすいとは言えないので、BALMUDA Phoneのスケジュール管理アプリだけでも使いたいと思う人はいるだろう。

BALMUDA PhoneはWeb上の画像や映像だけではなかなか、その佇まいは伝わりにくい。実際に触ってみると「意外といいかも」と思えてくるのだ。ただやっぱり、その次には「でも、10万超えかぁ」というのが頭をよぎってしまう。

バルミューダが狙う市場

「BALMUDA Phone」(出典:バルミューダ公式サイト)

ひとつ感じるのは、「BALMUDA」という名前がこのスマートフォンの評価をブレさせているのではないかという点だ。BALMUDAというブランドというより、寺尾社長が欲しいと感じる機能やデザインが具現化された製品であるのだから、もっと違った名前でもよかったのかもしれない。

BALMUDAという名前が付いているから、ユーザーの期待値は上がる。しかし、スペックとの兼ね合いから高額でも許されるというわけではない。ユーザー体験などで他社と差別化するなら、BALMUDAという名前から来る先入観を取っ払ってくれたほうがよかったかもしれない。

日本国内におけるスマートフォンの出荷台数は、年間3000万台程度となっている。バルミューダはBALMUDA Phoneを販売することで、30億円程度の売上増を計画している。30億円を10万円で割ると、3万台近く売る計算となる。

単純計算すれば、3000万台のうちの3万台ということで、0.1%の販売シェアを獲ればいいことになる。

しかし、国内メーカー関係者は「いま、販売シェアは4割がiPhoneで、4割がミドルクラスのAndroidスマホ、1割がハイエンドAndroidスマホで1割がガラケーだ」という。

価格帯的にはBALMUDA Phoneはハイエンドスマホと戦うことになる。つまり、3000万台の1割、300万台のうちの3万台ということで、XperiaやGalaxyと戦い、シェア1%を目指すことになる。

今回キャリアとしては、ソフトバンクが独占販売するだけに、全国のショップ網などで販売してくれるのは心強いはずだ。

ただ、BALMUDA Phoneはスペックや値段だけでは本質を語れない、難しい商品であることは間違いない。

iPhoneユーザーはアップルというブランドで購入している人が多いし、Androidユーザーは価格とスペックのバランスでAndroidスマホを選ぶ傾向がある。

BALMUDA Phoneの世界観、実際に触った感覚を大切にしてくれるユーザーにどうやって届けるか。ソフトバンクとしても難しい商材を扱うことになったといえそうだ。
(文:石川 温(携帯電話・スマートフォンガイド))
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