「いのちをだいじに」の時間を生み出す、書類のデジタル化をやっておこう

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2021年11月30日 15:32  ITmedia NEWS

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写真ScanSnap iX1300
ScanSnap iX1300

 かつて、地震や火事で逃げる際には預金通帳や印鑑を持ち出せるようにまとめておくと良いとされていた時代があった。



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 もしかすると今でもそう思って非常持ち出し袋に入れている人もいるかもしれないが、今では通帳や印鑑がなくても現金を引き出せる特例措置がある。そうでなくても身分証明書や保険証書など、持ち出したい書類は多くあるだろうし、写真アルバムなどの代えがたい思い出の品もあるはずだ。しかし、万一の際は何といっても命が大事だ。そんなとき、「いのちをだいじに」行動をするため、事前にできる対策が「書類のデジタル化」だ。



●デジタル化することで身軽になれる



 自宅や会社に置いてある書類、PCやタブレットなどに保管されているデータなど、「そこにしかない情報」があると、会社や家に置き忘れたり必要な場面に持ってくるのを忘れて、用事が進まなかったり取りに戻ったりする。災害時に生じる、預金通帳やアルバムなどを自宅に取りに戻ろうかという悩みは、デジタル化してクラウドにアップロードされていれば「最悪はクラウドのデータを参照すればいい」と避難を優先できる。



 日常でもデジタル化しておくことで便利なことが多い。家電量販店や飲食チェーンなどのポイントカードは多くの場合電子化されているので、スマホに登録しておけば財布がポイントカードでパンパンになることが避けられるほか、ポイントカードを忘れて付与されるチャンスを逃すことがない。



 紙などの物理メディアにしかない情報は、かたっぱしからデジタル化して整理しておくと、防災面だけでなく日常でも役立つことだろう。



●紙のデジタル化にはスキャナーがあると便利



 紙書類のデジタル化には古来よりスキャナーが有用とされる。今ではスマートフォンのカメラ性能も向上しているので、取り急ぎはスマホカメラでも良いが、画質や画像のゆがみなど、スキャンしたデータの可読性を含む品質のためにも専用ハードウェアのスキャナーを活用することをオススメしたい。



 (筆者がプレミアムアンバサダーを務める)PFUのScanSnapシリーズは、Mac・Win両対応で、長年業務機からコンシューマー機まで幅広いラインアップを展開してきた実績がある。先日発売されたばかりの「ScanSnap iX1300」は、A4書類を毎分30枚の速さで読み取り、最大A3までの書類、名刺や免許証、保険証などのカード類、預金通帳やパスポートなど厚さ3cmまでの冊子の読み取りにも対応するなど、デジタル防災用スキャナーとして十分な性能を有している。



 読み取り時の設定もしくは、付属の管理アプリ「ScanSnap Home」にて、スキャンしたPDFデータの文字をテキスト化する「検索可能なコンテンツに変換」機能があるので、とにかくスキャンし検索可能にしておくことで、スキャンデータの整理が追い付かなくても、検索しやすくなる。スマホカメラなどでの撮影では書かれた文字(記述内容)での検索はできないので、デジタル化したい書類の量が多い場合にはスキャナーがオススメだ。iOS 15では撮影したデータに写ったテキスト情報を検索できる機能があるが、日本語にはフル対応していない。



 日常では、学校などで配布されるプリント類や、何かのきっかけで増えるカタログ・パンフレット類、日々のレシートなどをスキャンして管理できるほか、各種契約書類や保険証書など、「たまに参照する機会があるが、すぐに探し出せない」書類などをスキャンしておくと必要に応じて参照できる、いざというときにすぐに使える。



 配布されるプリント類や健康診断の結果など、データ(数値)や情報としては取っておきたいけれど、紙としては持て余しがちな書類などは、スキャンしてしまえば原本は処分してしまえる。余分な書類がない(処分できる)ということは、残っている書類は取っておくべきもの、重要なもの、という位置付けになるので、整理のストレスを軽減できる。



●データはクラウドとローカルにバックアップがあると安心



 撮影した写真(メモ)やスキャンデータは、DropboxやEvernoteなどのクラウドサービスにアップロードできるが、検索可能なPDFとしてPCや自宅のNASなどローカルストレージにも保存しておける(スキャン時や後処理で検索可能状態にしておく必要がある)。セキュリティに関しては、パスワードで閲覧制限をかけられるサービスや機能を有するアプリを利用するとよい。



 スマホやデジカメで撮影した写真やムービーは、iCloudなど自動でクラウド保存される機能を使うことが多いが、契約内容によっては容量制限がある。大量の写真や動画、絶対に失いたくない写真や動画などは、例えば「おもいでばこ」のようなストレージを活用するとよい。おもいでばこは単体では自機内のストレージに写真や動画を保存するが、Googleフォトと連携することで、最大15GBの写真や動画データをクラウド経由で共有できる。日常では、離れた地域に住む家族に写真や動画をシェアしたり、出先でアルバムを見返すなどができるし、災害時におもいでばこそのものが失われてしまったとしても、残したい写真や動画はクラウド上に残っているという状態を作ることができる。



 写真やスキャンしたデータなどをクラウドに保存しておくのが良いか、ローカルに保存しておくのが良いか、迷うことがある。可能ならば両方に保存しておくのがベストだが、その書類の性質に応じてクラウドとローカル、もしくは両方を使い分けるのが望ましい。



●必要な書類の復元方法を知っておこう



 銀行の通帳や運転免許証などは、スキャンデータがあれば急場をしのげることもあるが、最終的には再発行して手元に取り戻す必要がある。



 例えば運転免許証は、可能な範囲で速やかに「紛失届け」し、「再交付手続き」を行いたい。手続きは通常、運転免許センターで行うが、大規模震災の時は臨時窓口が開設されることもあるので、最寄りの警察署に確認してみるといいだろう。



 通帳やクレジットカードなどは、焼失なのか紛失なのかにかかわらず、金融機関やカード会社、場合によって警察署などに届けをするのが第一だ。各金融機関では、本人確認ができれば一定限度額までは払い出しに応じている(金額は災害や金融機関により異なる)。



 有価証券などは再発行に時間がかかることが多い。まずは警察に届けることになるが、オンライン取引であればそういった心配も少ないだろう。



 そういえば、漫画「トニカクカワイイ」には、火事にあった主人公が、「こんなこともあろうかと、家財には火災保険をかけてあり、重要書類はクラウドに保存してあるので心配は要らない」と、奥さんに説明する描写があった。



 重要なのは、失われた書類などを手元に取り戻すために、どういった手続きや証明書類が必要なのかを知っておくことだろう。クラウドにバックアップしたデータをローカルに戻す方法なども同様に確認しておきたい。



(戸津弘貴)


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