立憲民主、崩壊の危機 参院選1人区「4勝28敗」の衝撃予測

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2021年12月01日 07:00  AERA dot.

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写真泉健太氏
泉健太氏
 立憲民主党の代表選が終わり、新しい執行部による「党再生」が始まる。だが、選挙戦は盛り上がりに欠け、来夏の参院選の勝敗シミュレーションも絶望的だ。今こそ必要なのは、民主党時代の成功体験ではないか。未来のために、過去に学べ。


【表で見る】2022年参院選1人区を衆院選の結果で試算
*  *  *


 11月25日夕、横浜市・JR桜木町駅前では、立憲民主党の代表選に立候補した逢坂誠二元政調会長(62)、小川淳也元総務政務官(50)、泉健太政調会長(47)、西村智奈美元厚生労働副大臣(54)の4人が集う最後の街頭演説会が開かれた。


 だが、千人以上は入りそうな駅前広場に集まった聴衆は200人程度。空きスペースが目立ち、演説中の拍手もまばら。晩秋の肌寒さを吹き飛ばす熱気はなかった。立憲関係者は嘆く。


「約200人が集まったといっても、半分ぐらいは選挙スタッフやメディア関係者。夕方の時刻なので駅を通過する人も多かったのですが……」


 テレビなどで繰り返し報道された自民党総裁選に比べ、立憲代表選では4候補が激しく論戦を交わす場面はなかった。立憲国会議員は言う。


「同じ党だから政策が似ているのはしょうがないとしても、選挙なんだから、もっと他の人との違いを際立たせないと。これじゃ学校の生徒会長選び。党勢回復なんて期待できない」


 新代表は、衆院選後の「敗戦処理係」とはいえ、来夏には参院選が待っている。約8カ月という短い期間で、党を再建しなければならない。


 だが、現実は厳しい。下の表は、衆院選の結果に基づき、来夏の参院選1人区の結果を試算したものだ。計32の1人区は、参院選全体の結果を左右する。試算では、「与党」は自民か公明のどちらかの与党系候補、「野党」は立憲、国民民主、共産、れいわ、社民が候補者を一本化して野党系候補になることを想定した。維新やその他の政党は試算に含めていない。



 その結果は惨憺たるものだ。2019年参院選で野党が勝利した岩手、宮城、長野、沖縄などもこのシミュレーションでは与党を下回り、総合成績では野党が4勝28敗。19年参院選が10勝22敗だったことを考えても、野党の弱体化はあきらかだ。立憲ベテラン議員は言う。




「これが共産党を含めた野党共闘の限界。19年参院選でも立憲は惨敗していたのに、党執行部は野党共闘の維持にばかり固執した。候補者の一本化は重要でも、国民の心に響く政策がないと自民党には勝てない」


 野党候補の一本化は、枝野幸男前代表の長年のこだわりだ。その思いは今も強く、衆院選後に野党共闘が不発に終わったことを記者から問われても「かなり多くの選挙区で接戦にまで持ち込めた。一定の効果があった」と開き直った。確かに効果はあったのだろうが、それだけでは勝てなかったこともまた事実ではないか。小選挙区で敗れたある立憲議員が言う。


「小沢一郎さんや中村喜四郎さんが小選挙区で落選したことで『国民は世代交代を求めた』と言う人もいるが、そんな単純な話ではない。高齢の議員でも、選挙基盤が弱い東京18区の菅直人さんや神奈川12区の阿部知子さんは小選挙区で勝った。野党共闘で効果があったのは、共産党が強い都市部がほとんど。地方では穏健保守派が離れて、逆効果の選挙区もあった」


 小選挙区制のルール内で勝つためには、候補者の一本化が重要なのは多くの人が認めるところだ。だが、野党共闘にばかり注力することで「共産党との閣外協力こそ立憲の主要政策」という本末転倒なイメージとなってしまい、立憲自体の魅力を十分にアピールできていなかったのではないか。



 過去を振り返ると、「野党共闘」なしでも政権交代が実現したことがある。


 09年衆院選では、共産党は今回衆院選の105人を上回る152人の候補者を擁立していた。それでも結果は、民主党が221の小選挙区で勝利。64議席の自民党に圧勝し政権交代を果たした。


 民主党が結成されたのは1998年。政権交代実現までに11年かかったことになるが、その間にどのような党運営が行われていたのか。09年衆院選のマニフェスト作成に関与した松井孝治元官房副長官(現・慶大教授)は言う。


「私が考えていたのは、民主党を『反自民』のみの政党にしないこと。官僚と議論するにせよ、テレビカメラがいる野党合同ヒアリングで罵倒するようなことはせず、政権獲得時の仲間として互いに学び合うことが肝要です。『自民党中心の政策を、新しい時代に合わせてシフトする』という基本的な考えがありました」




◆民主党政権の顔 今でもボス支配


 松井氏からは、今回の代表選はどのように見えたのか。


「当時の民主党も政権批判はしましたが、子供を社会全体で育てる『チルドレン・ファースト』や公共事業のあり方を問い直す『コンクリートから人へ』など、選挙前から自民とは違う政策の旗印を掲げていました。政権獲得には、穏健保守や若い世代の期待を集める政党になる必要があるからです。その点では、代表選を通じて幅広い層に向けて『立憲民主党は何を大切にする政党なのか』のメッセージは伝わってきませんでした」


 17年に誕生した立憲民主党は今、崩壊の危機にある。その原因は、党内の安定を重視するあまり、硬直化した組織運営にもあった。若手立憲議員は言う。


「枝野執行部では、主要人事の多くは民主党政権を担った人たち。顔ぶれが一緒の『メリーゴーラウンド人事』と批判されても変わらなかった」


 新代表に待ち受ける最初の難関は、人事の刷新になりそうだ。


「立憲では民主党政権を担った人たちの影響力が強いから、誰が代表になっても党の立て直しは難しい。新代表は参院選までのリリーフで、その後にまた新しい代表になるかもしれない」(若手立憲議員)


 立憲に対する世間の目は厳しい。党内ではすでに「共産党の色が強くなった立憲民主党はもう無理だ。党名を民主党に戻したほうがいい」との声も出ている。


 立憲民主党は、これからも過去の失敗を重ねるだけの政党になるのか。「過去に学ばない者は、過ちを繰り返す」という言葉があるが、今はその分水嶺にある。(本誌・西岡千史)

※週刊朝日  2021年12月10日号


このニュースに関するつぶやき

  • 時代が変わったからな。メディアに騙される有権者が圧倒的に減ったわよね。
    • イイネ!15
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  • それは喜ばしいことですな^^
    • イイネ!26
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