仏で動物愛護に関する法案が可決、ペット店での犬猫販売・水族館のイルカ飼育が禁止に 動物愛護団体と水族館の反応を取材

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2021年12月01日 20:12  ねとらぼ

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写真法案を提出したロイック・ドンブルヴァル議員(画像はロイック・ドンブルヴァル議員のInstagramから)
法案を提出したロイック・ドンブルヴァル議員(画像はロイック・ドンブルヴァル議員のInstagramから)

 仏国で11月18日、動物愛護に関する法案が可決されました。この法律は、2024年からペットショップでの犬猫販売、ショーウインドーでの動物展示を禁止する他、2026年までに水族館でのイルカ・シャチの飼育を禁じるなど、さまざまな環境内の動物保護を目的としています。同法が可決された背景、さらにイルカを飼育する水族館や動物愛護団体に取材しました。



【画像:Twitterでの反応】



 仏市場調査会社IFOPは2019年の調査で、国民の約半数がペットを飼っていると答え、残り半数のうち18%が将来的にペットを飼いたいと考えていると発表。しかし、夏のバカンス前にペットを飼育放棄するケースも見られ、毎年10万匹近いペットが捨てられていると報道されています。また、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染対策による厳格な外出禁止令下で許可された、“ペットのための1日1時間以内の自宅周辺での散歩”を目的に犬を購入する人も続出。同法はこれらの状況を背景に、ペットの衝動買いを防止することが狙いとされています。



 同法施行後、犬や猫を飼うには個人や保護シェルターから引き取るか、認可ブリーダーから直接購入することになります。ペットショップではうさぎや魚などは購入可能ですが、7日間のクーリングオフ期間を設置。オンライン販売は規制され認可など一定の条件を満たす必要があります。また、飼い主はペットを飼う前にその動物の飼育についての知識の有無を証明する書類への署名が義務付けられます。



 動物への虐待(性的虐待も含む)や残虐行為に対する罰則は強化され、特に子どもの前で行われた場合は厳しくなります。家畜動物を故意に殺すことは犯罪行為になりますが、闘牛など地方伝統行事は例外に。また、毛皮の生産を目的としたアメリカン・ミンクなどの飼育は禁止され、2023年までに野生動物の入手・繁殖も禁じられます。



●サーカスでの野生動物ショーが禁止に「政治、科学、法的な合意がない」



 野生動物の入手禁止に伴い、2028年までに移動型サーカスのショーに野生動物を出演させることが禁じられますが、サーカスとその芸術を守るNGO法人「Les cirques de France」は公式サイトでこれに反論。IFOPの世論調査では国民の57%が野生動物をショーに出演させることに反対だとしているものの、これは43%の仏人は反対していないということでほぼ同数だと主張。世論だけではなく、政治的、科学的、法的なコンセンサスがなく、動物愛護団体などにとっても満足できる内容ではないとしています。



●水族館での鯨類飼育が禁止に イルカを飼育する水族館の反応は



 さらに、2026年までに水族館で鯨類の飼育ができなくなり、イルカやシャチのショーも禁止されます。



 仏西部ポール=サン=ペールにある自然動物公園「Planete Sauvage」でイルカを飼育する「La Cite Marine」の責任者で学術部長のマルタン・ボエに、同法施行後イルカを飼育する水族館に政府からの補償はあるのかを聞くと「本法律はあまりに広範囲な問題を扱っており、水族館での鯨類の飼育を禁止しています。しかし本法律は研究、保護、研究に準じる機関でのイルカの飼育は認められているのです」と回答しました。



 続けて、2020年に国際自然保護連合(IUCN)が「イルカを飼育する動物園は野生の鯨類の個体数を守るため科学的に重要な役割を担っている」と発言したことや、仏では毎年1万頭以上の野生のイルカが漁船などが原因で死んでいること、施設で預かるイルカは娯楽目的ではなく、動物園の使命である研究、教育、種の保存を目的に飼育しているとして、ショーは禁じられるが飼育自体は可能で合法だとする見解を回答。法案の提出者が「より多くの研究に向けて、財政的な援助をする」と発言しているものの、まだ具体的な内容は明かされていないと話しました。



 同園のイルカ飼育チームについての今後は「フランスの動物園にいるイルカたちの健康と幸せのために活動を続けていく」とし、「これまでもその活動のおかげでイルカたちへの理解は大きく深まり、自然繁殖が可能になり、平均寿命が延び、総合的に見てそれは動物にとって良いことのはず」とコメントしました。



●仏動物愛護団体「動物の飼育や狩猟、動物実験、闘牛が含まれないのは非常に残念」



 食用のために飼育・殺処分される動物のために活動する動物愛護団体「L214」にも取材したところ、広報のバーバラ・ボイヤーは「この法律の良いところはペットだけではなく野生動物にも配慮しているところ。毛皮を目的としたミンクの飼育や繁殖がやっと禁止されたところも良い」と評価する一方で、「動物の飼育や狩猟、動物実験、闘牛が含まれていないことはとても残念だ」とコメント。



 IFOPの世論調査で国民の89%が狭いスペースでの動物飼育の禁止に賛成しているにもかかわらず、L214が最も問題視する、外へ出られない環境での集約的な畜産で動物たちが屠殺(とさつ)されることなどが議論から外されていることも評価できないとしました。



 その上で、法案を提出したロイック・ドンブルヴァル議員らの働きかけに反して「政府と多数派の議員が動物のために行動していると言いながら、最も多くの動物に関わる主要なテーマを無視している」と主張。国会議員のあいだでテーマの取捨選択が行われたと推察しており、2022年の大統領選に向けてさらに現実的で野心的な施策が必要としています。



 同団体は「人間と動物が平和に共存することは可能だが、それには現在の関係を変えて非暴力的でお互いに利益を得られるWin-Winの関係を築く必要がある」と回答。動物を尊重する好例として農場や食肉処理場から逃げ出した動物の保護シェルターなどを挙げ、「動物たちは自由になり、世話をされ、人間は大人も子どもも動物たちを観察し、その行動から学び、交流できるべきだ」と同団体が目指すビジョンの1つを提示しました。



 今回の法律が動物への残虐な行為を防止する抑制力として期待できることは明白ですが、その一方で「規制の対象分野に利権による偏りがあるのでは」との疑念もあがっています。仏内ではさまざまな立場から、同法案のさらなる改善を求める声が寄せられています。


このニュースに関するつぶやき

  • がちょうやアヒルは良いの?
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  • どんどん要求が広がりますね。
    • イイネ!22
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