年収960万円の人の手取りはいくら?

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2021年12月02日 08:11  All About

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写真18歳以下への10万円給付の所得要件で「年収960万円」がキーワードとして取り上げられていますが、今回は年収960万円の人が税金や社会保険料を引かれると手取り額がいくらになるのかを計算してみます。
18歳以下への10万円給付の所得要件で「年収960万円」がキーワードとして取り上げられていますが、今回は年収960万円の人が税金や社会保険料を引かれると手取り額がいくらになるのかを計算してみます。

年収960万円が注目されている理由とは

与党が選挙公約としていた「18歳以下の方への10万円給付」について、子どもを扶養している親の年収960万円未満との条件が示されています。

これは「児童手当」の支給要件に準じており、モデル世帯(夫と専業主婦、子ども2人)では年収960万円が基準(*)とされているからです。この枠組みを踏襲すれば、早期に「18歳以下の方への10万円給付」の支給が行えると考えられているようです。

ここでは960万円という年収を目安として、手取りがどのぐらいあるのかを解説します。

*実際の運用は所得で判断され収入はあくまでも目安として示されているものです。今回は会社員と専業主婦のケースですが、夫婦の働き方によっても、判定の仕方は変わることになります

年収から手取り額を計算するには?

年収960万円と聞くと高収入に思えますが、実際の手取り額はいくらになるのでしょうか。

手取り額を計算するには、年収から社会保険料(厚生年金保険料、健康保険料、雇用保険料)と所得税、住民税を差し引くことで計算できます。

年収960万円のモデル世帯の条件を以下とし、社会保険料、所得税、住民税を計算した上で実際の手取り額を計算してみます。

●夫:年収960万円(給与60万円×12カ月+ボーナス120万円×2回)「協会けんぽ」加入の長崎県の一般事業会社に勤めている40歳以上のサラリーマン
●妻:専業主婦(収入なし)
●子:2人、いずれも18歳以下

なお年収や家族構成は前年と変わらないものとします。

厚生年金保険料

月の厚生年金保険料は4〜6月の給与額面の平均額を「厚生年金保険料額表」に当てはめ、該当する額(標準報酬月額)に保険料率をかけて計算します。保険料率は18.3%ですが会社と折半のため本人負担は9.15%となります。

この方の4〜6月の給与額面の平均額は60万円ですので、「厚生年金保険料額表」より本人負担額は5万3985円になります。
厚生年金保険料は標準報酬月額により決まります

なおボーナスからの本人負担額は標準賞与額(税引き前のボーナス額から千円未満の端数を切り捨てた額)に9.15%をかけて計算します。この方の場合は120万円×9.15%の10万9800円になります。

●年間の厚生年金保険料:5万3985円×12カ月+10万9800円×2回=86万7420円

健康保険料(40歳以上は介護保険料も)

健康保険料は「協会けんぽ」に加入しているのか「健康保険組合」に加入しているのかによって異なります。また「協会けんぽ」は都道府県ごとに保険料率が異なります。

毎月の保険料は厚生年金の際にも使用した標準報酬月額(4〜6月の給与額面の平均値該当額)に都道府県ごとの保険料率をかけて計算します。なお健康保険料も会社と折半です。また40歳以上の方は介護保険料も加わります。

この方は「協会けんぽ」加入の長崎県企業にお勤めで40歳以上ですので、介護保険料が加わった3万5577円が本人負担額となります。
協会けんぽの保険料は都道府県ごとに異なります

なおボーナスからの本人負担額は、標準賞与額(税引き前のボーナス額から千円未満の端数を切り捨てた額)に料率をかけて計算します。この方の場合は120万円×12.06%の折半額、つまり7万2360円になります。

●年間の健康保険料:3万5577円×12カ月+7万2360円×2回=57万1644円

雇用保険料

雇用保険料はお勤めの会社の業態に応じて本人負担率が異なり、一般の事業であれば0.3%、農林水産・清酒製造・建設業であれば0.4%となります。なお計算の際は給与および賞与の額面に料率をかけて計算します。

●年間の雇用保険料:960万円×0.3%=2万8800円

所得税

所得税は年収から各種の控除および社会保険料を引いた額(課税所得金額)に税率をかけて計算します。

この方の場合は年収960万円から給与所得控除(195万円)、所得金額調整控除(11万円※注1)、基礎控除(48万円)、配偶者控除(38万円)、扶養控除(38万円×2名)および前項で計算した厚生年金保険料(86万7420円)、健康保険料(57万1644円)、雇用保険料(2万8800円)を引いた445万2000円(千円未満切り捨て)が課税所得となり、速算表に当てはめると所得税は46万2900円となります。

445万2000円(課税所得)×20%−42万7500円=46万2900円

※注1:給与収入850万円超の子育て世帯の税負担を軽減する目的で導入された控除であり、控除額は{給与収入(1000万円超の場合は1000万円)−850万円}×10%
課税所得によって税率は異なります

なお令和19年までは所得税額の2.1%、つまり46万2900円×2.1%の9700円が復興特別所得税として課税されますので最終的な所得税は以下になります。

●所得税(復興特別所得税含む):46万2900円+9700円=47万2600円

住民税

住民税は前年の所得に対してかかる税金であり所得割と均等割に分けられます。所得割の計算手順は所得税と同じですが、人的控除の額が所得税と異なることおよび標準税率は10%となっています。また均等割についても標準税率5000円(市町村民税3500円、道府県民税1500円)が徴収されます。

この方の場合、所得税と異なる人的控除は基礎控除(43万円)、配偶者控除(33万円)、扶養控除(33万円×2名)です。そのため課税所得は465万2000円であり標準税率10%で計算すると46万5200円となりますが、調整控除(※注2)2500円を差し引くため46万2700円が所得割額となります。均等割も標準税率とすると最終的な住民税は以下になります。

●住民税:46万2700円(所得割)+5000円(均等割)=46万7700円

※注2:所得税と住民税の人的控除の差による個人住民税の負担増を調整するため所得割額から引くことのできる控除

年収960万円の方の手取り額は約720万円

それでは年収960万円の方の手取り額はいくらになるのでしょうか。社会保険料、所得税、住民税を年収から引くと以下になります。

●計算式
960万円(年収)−86万7420円(厚生年金保険料)−57万1644円(健康保険料)−2万8800円(雇用保険料)−47万2600円(所得税)−46万7700円(住民税)=719万1836円

年収960万円の方の手取り額は、719万1836円ということになります。

まとめ

いかがでしたでしょうか。年収960万円と聞けばかなり高収入のように思えますが、計算してみると社会保険料や税金で240万円近く引かれており、実際の手取り額はかなり少なくなることが分かります。

今回は年収960万円の世帯(夫と専業主婦、子ども2人)の手取り額がいくらになるかを計算してみました。皆様もご自身の年収や家族構成に合わせて手取り額を一度計算してみてはいかがでしょうか。

文:川手 康義(マネーガイド)
(文:川手 康義(マネーガイド))

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