メジャー挑戦の広島・鈴木誠也 現地メディアが予想する有力移籍先とは

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2021年12月02日 10:00  AERA dot.

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写真広島の鈴木誠也
広島の鈴木誠也
 広島からポスティングシステムでメジャー移籍を目指す鈴木誠也の挑戦がついに始動した。大リーグ機構は11月21日(現地時間:以下同)にMLB全30球団に対し、ポスティングシステムにより獲得可能選手として公示することを発表した。これにより、広島に譲渡金を支払う意思のあるMLB球団は、11月22日から米東部時間12月22日午後5時(日本時間23日午前7時)まで、鈴木と交渉を行うことが可能になった。


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 鈴木のメジャー移籍については、米大手代理人事務所ワッサーマンが代理人を務める。日本人選手としては同事務所には、ダルビッシュ有(パドレス)、前田健太(ツインズ)、筒香嘉智(パイレーツFA)、そして、NBAの八村塁(ウィザーズ)がいることで知られている。


 また、鈴木の交渉には、筒香の代理人を務めているジョエル・ウルフ氏が関わることも報じられている。現地では、「鈴木の契約は4年総額6000万ドル(約68億円)も十分にあり得る」ともいわれているが、その契約年数と年俸は、当然交渉次第。ウルフ氏の手腕に注目が集まりそうだ。さらに、鈴木も国内からオンライン面談に臨むことから、米球団にどのような条件を求めるのかも気になるところだ。


 そんな鈴木のメジャー移籍には、現地メディアからも大きな関心が寄せられている。米大手メディア『CBSスポーツ』(電子版)は、今年のFA選手の中から有望な50人をランキング形式で紹介する記事を11月8日に配信し、その中で鈴木は15位にランクインしている。


 同記事は、「まだ正式発表はされてはいないが」と断りながらも、メジャー挑戦が濃厚な鈴木のその打力や打球速度に注目し、守備での活躍も期待ができると紹介。走塁に関しては欠点となる可能性を指摘するが、「どの球団も喜んで(その欠点には)目をつぶるだろう」という高い評価を与えている。


 この記事に限らず、米メディアは以前から鈴木の能力に注目をしている。例えば、『ロサンゼルス・タイムズ』は、今年の8月の時点で、「鈴木はMLBに対応している」という特集記事を掲載している。同記事では、MLBスカウトからの「5ツール(ミート力、長打力、走力、守備力、送球力)プレーヤーだ」という評価を紹介し、将来のメジャー移籍に大きな期待を寄せる内容を綴っていた。


 このように、鈴木はメジャーでも通用する可能性が高い選手で、かつ全30球団にチャンスがあることもあり、現地では、「複数球団による大争奪戦が起こる」という予想も展開されている。11月22日以前は、ロイヤルズ、マリナーズ、レンジャーズ、ブルージェイズ、レイズ、カブスの7球団が、鈴木の移籍先候補として目されていた。


 しかし、その数は、22日以降さらに増えている。先ほどの7球団に加え、タイガース、レッドソックス、ジャイアンツ、ヤンキース、パイレーツ、メッツ、ドジャース、ナショナルズ、ホワイトソックス、ブルワーズ、マーリンズ、ブレーブス、パドレスなども、ポスティングシステムに参加する可能性があるとも言われている。そのぐらい鈴木のメジャー挑戦は、現地からも高い注目を集めている。


 そんな鈴木の有力な移籍先はどこになるのか。これついては、現地メディアがそれぞれの予想を展開している。MLBの専門メディア『MLB.com』は、11月23日付の記事で、「マリナーズ、ジャイアンツ、レンジャーズ、メッツになるとも言われているが、ロッキーズも合うのでは?」と述べ、ロッキーズを鈴木の移籍先の候補に挙げた。


 また、米スポーツ専門メディア『ジ・アスレチック』が25日に掲載したナ・リーグ各球団の補強ポイントを分析する記事の中で、ロッキーズ、フィリーズ、ブルワーズ、マーリンズ、パドレスを移籍先候補として取り上げた。同記事は、レッズやナショナルズでGMを務めた経歴を持つコラムニストのジム・ボーデン氏が執筆しており、各球団の課題を具体的に挙げている。


 その中で、ロッキーズ、フィリーズ、マーリンズは「外野手の補強」が、ブルワーズは「攻撃力」が、パドレスは「中堅以外の外野手」が必要であり、それぞれの球団のニーズに合うFA選手の1人として鈴木を候補に挙げている。なお、このコラムはナ・リーグのみを扱っているため、ア・リーグについては言及されていない。


 一方、スポーツ専門メディア『コール・トゥ・ザ・ペン』は「鈴木誠也にとって理想の5つの行き先」(11月25日付)と題し、その行き先にレンジャーズ、メッツ、マーリンズ、マリナーズ、ブレーブスを挙げた。記事では、これらの球団を予想する理由を次のように綴っている。


 まず、レンジャーズは、「スターを切実に必要としている絶望的なチーム」であると述べ、右の強打者と中堅以外の外野手の補強の必要性があると指摘。鈴木を獲得できれば、「レンジャーズのニーズを即座に満たし、本拠地のグローブライフ・フィールドに興奮をもたらす」と予想した。


 続いて、メッツは、「外野手が極端な弱点である」と言及し、「鈴木は彼らにぴったりだろう」という。しかし、もし鈴木がメッツに加入すれば、「ニューヨークは彼にプレッシャーを与えることになる」という心配も寄せた。


 マーリンズでは、鈴木のこれまでの経験と打力でチームを牽引できる可能性が示唆されている。同球団はリーグでも若く、経験が浅い選手が多い。また、外野手をみてもレギュラーで出場した3人の今季の本塁打数が28本のみと指摘。そこにオリンピックやNPBで豊富な経験を持つ鈴木が加わればチームに変化を与えるとしている。


 マリナーズについては、外野手が課題であると指摘。鈴木が加入すればポストシーズン進出の可能性が高まるだけでなく、ア・リーグ全体でも驚異的なチームになると予想する。だが、その一方で、鈴木は同球団で長年活躍したイチロー氏と同性かつ外野手でもあることから、プレッシャーに直面する可能性も書かれている。


 最後は、今季ワールドシリーズの覇者ブレーブスだ。同球団は優勝したばかりであるが、現レギュラーの左翼手であるアダム・デュバルよりも若くて、将来が有望な鈴木を加えれば戦力は向上し、引き続き優勝が狙えるとしている。


 このように、現地では様々なメディアが「どの球団が鈴木に最も合うか」という予想を日々立ている。


 しかし、その一方で大きな心配事もある。それは、現在大リーグ機構と選手会の間で行われている新しい労使協定の交渉が進んでいないことだ。現在の労使協定は12月1日に失効するが、期限まで残り数日を切っても合意に至ったという報道がない。


 前述の『ジ・アスレチック』は、現協定の失効期限までに両者の合意がない場合、球団経営者はロックアウト(施設閉鎖)を行い、新協定締結まで、現在FAとなっている選手との交渉も凍結されることになると報じている。もしそうなれば、鈴木との交渉も当然中断される。


 現地からも高い関心が寄せられている鈴木のメジャー移籍は果たしてどんな結果となるか。現行の労使協定問題を含めた米球界の動きとともに、鈴木の行く末に注目をしていきたい。(在米ジャーナリスト・澤良憲/YOSHINORI SAWA)


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