意外に少ない? プレミアリーグで指揮を執ったドイツ人監督たち

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2021年12月03日 12:44  サッカーキング

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サッカーキング

プレミアリーグで指揮を執ったドイツ人監督たち [写真]=Getty Images
11月29日、ラルフ・ラングニック氏がマンチェスター・Uの暫定監督に就任することが発表された。過去にはシャルケやホッフェンハイム等を率い、リヴァプールのユルゲン・クロップ監督やチェルシーのトーマス・トゥヘル監督のキャリアに大きな影響を与えたラングニック氏。

 就任が決定し、プレミアリーグ史上6人目のドイツ人監督が誕生した。意外に少ないと感じるのではないだろうか。

 1992年創設のプレミアリーグで指揮を執った監督の国籍に目を向けると、英国以外で最も多いのがイタリアで12名。次に多いスペインが11名で、以下、オランダ(8名)、フランス(8名)、アイルランド(6名)、ポルトガル(6名)と続く。数多くの名将を輩出してきたドイツだが、2014年2月にフェリックス・マガト氏がフラムの監督に就任するまで、プレミアリーグにはドイツ国籍の監督が一人もいなかった。

 そこで今回は、過去にプレミアリーグで指揮を執った5人のドイツ人監督を紹介する。

[写真]=Getty Images

■フェリックス・マガト(フラム)



在任期間:2014年2月〜2014年9月

 プレミアリーグで指揮を執った初めてのドイツ人は、“鬼軍曹”として知られたマガト氏だ。現役時代はハンブルガーSVで3度のリーグ優勝を成し遂げ、1982−83シーズンのヨーロッパ・カップ決勝ではユヴェントスを相手に決勝ゴールを決めたマガト氏。西ドイツ代表として1980年の欧州選手権を制覇し、1982年と1986年のワールドカップにも出場した。

 引退後は複数のクラブでGMやコーチを務めた後に監督の道へ。2005年と2006年にバイエルンでリーグ連覇を成し遂げ、2009年には長谷部誠と大久保嘉人を擁するヴォルフスブルクをリーグ優勝に導いた。

 フラムの監督に就任したのは2014年のバレンタインデー。当時プレミアリーグで最下位に沈んでいたフラムは、豊富な経験を持ち、練習がとにかく厳しいことで知られていた同氏に水先案内人としての役割を期待したが、降格を免れることはできず。翌シーズンのチャンピオンシップで7戦未勝利スタートとなったところで、クラブは同氏に別れを告げた。2015年12月にはサガン鳥栖と交渉も行ったマガト氏だが、監督就任には至らず。2016年夏から1年半に渡って中国の山東魯能を率いて以降は、監督業から離れている。

■ユルゲン・クロップ(リヴァプール)



在任期間:2015年10月〜

 妻の助言がなければ、プレミアリーグ第1号のドイツ人監督になっていたかもしれない。それもマンチェスター・Uで。

 2015年の夏に7年率いたドルトムントを退任したクロップ監督がマージーサイドにやって来たのは同年10月。就任会見の数時間後には夜の街に繰り出してファンとも交流。翌日にはアカデミーを視察するなど、精力的にリヴァプールに馴染んで行った。3年目の2017−18シーズンにチャンピオンズリーグ(CL)で決勝に進出し、翌年に同大会を制覇。「4年以内にタイトルを取る」という就任時の公約をきっちりと果たした。

 2019−20シーズンにはリヴァプールを30年ぶりのリーグ王者に導いたクロップ監督。情熱的でフレンドリーな人柄がファンの心を鷲掴みにしているが、2013年にはアレックス・ファーガソン氏の退任が決まっていたマンチェスター・Uから監督就任の打診があったという。クロップ監督自身がその事実を明かしたのは、2016年1月のマンチェスター・Uとの対戦前。当時はドルトムントでの翌シーズンに向けて動いていたために誘いを受けられなかったと理由を説明していた。しかしリヴァプールのOBフィル・トンプソン氏は、ノルウェーのメディアでクロップ監督の妻ウラさんがその話に難色を示したからだと暴露している。これが事実ならリヴァプールのファンはウラさんに足を向けて寝られないだろう。

■ダニエル・ファルケ(ノリッジ)



在任期間:2017年5月〜2021年11月

 トップリーグでのプレー経験はなく、選手としては目立った実績のないファルケ氏。現役時代の最後を過ごしたリップシュタットで指導者としてのキャリアを開始。6年間で同クラブを6部から4部に引き上げた実績が評価され、2015年11月にドルトムントのリザーブの指揮官に就任。2017年にチャンピオンシップで戦っていたノリッジの監督に任命された。

 2年でプレミアリーグ昇格を果たしたファルケ氏だったが、2019−20シーズンは最下位で降格。19位のワトフォードに13ポイントもの勝ち点差を付けられていた。それでも首脳陣からの信頼は失われず、翌シーズンも指揮を執ったファルケ氏。2020−21シーズンのチャンピオンシップを制し、1年でプレミアリーグの舞台に戻って来た。しかし今季は開幕から結果を出すことができず、今月6日にノリッジはファルケ氏と袂を分かつことを決意。その翌日にアストン・ヴィラを解任されたディーン・スミス氏を新監督に据えている。

■ヤン・ジーヴェルト(ハダーズフィールド)



在任期間:2019年1月〜2019年8月

 2019年1月、デイヴィッド・ワグナー氏の指揮下でプレミアリーグの最下位から脱せずにいたハダーズフィールドは監督交代を決意。新監督に任命されたのは、ドルトムントのリザーブを率いていたジーヴェルト氏だった。2015年にはハダーズフィールドにワグナー氏を、2017年にはノリッジにファルケ氏を引き抜かれたドルトムントIIは、3人連続で指揮官をプレミアリーグに奪われることになった。

 負傷が原因で、20代前半で現役を退き、コーチとしてのキャリアをスタートさせたジーヴェルト氏。ドイツの世代別代表でコーチを務めた後、4部のロートヴァイス・エッセン、ボーフムU−19、ドルトムントIIを率いて評価を得ていたが、トップリーグでの監督経験はこれが初めて。いきなりの残留争いは荷が重かったようだ。6試合も残した段階で降格が決定。翌シーズンのチャンピオンシップで開幕3戦に未勝利で終わったところで、ジーヴェルト氏はハダーズフィールドとの契約を解除することになった。

 なお、ジーヴェルト氏の前任者で、クロップ監督とは結婚式で介添人も務めるほど仲が良いワグナー氏は、父がアメリカ人で母がドイツ人。生まれはドイツで、同U−21代表でのプレー経験も持つが、フル代表ではアメリカを選択。プレミアリーグのオフィシャルサイトでも国籍はアメリカと記載されているため、今回のリストからは除外している。

■トーマス・トゥヘル(チェルシー)



在任期間:2021年1月〜

 今年1月にクラブのレジェンドであるフランク・ランパード前監督を解任したチェルシーは、今回のマンチェスター・Uに先駆けてラングニック氏を暫定監督として招こうとしていたという。しかし当時の同氏は、自分は4カ月だけの監督ではないとしてオファーを拒否。チェルシーは1カ月前までパリ・サンジェルマン(PSG)を率いていたトゥヘル氏を招聘することになった。結果としてこの選択はチェルシーに大きな成功をもたらしている。

 25歳の若さで現役を退いたトゥヘル監督は、選手時代にウルムで最後に指導を受けたラングニック氏から大きな影響を受け、2000年に同氏が率いるシュトゥットガルトのユースで指導者の道をスタート。クロップ監督と同様にマインツとドルトムントで監督としての実績を上げ、2018年から2年半に渡って率いたPSGではリーグ連覇を成し遂げた。

 チェルシーでは即座にチームを激変させたトゥヘル監督。昨季は就任時に8位だったチームを最終的に4位に引き上げると、CL決勝ではマンチェスター・Cに勝利して欧州王者に。堅守が特徴で、初陣から数えてここまで公式戦50試合でわずか24失点。同期間のクリーンシート数は欧州5大リーグ最多の31回を数えている。

 現時点でチェルシーはプレミアリーグの首位に立っており、トゥヘル監督がクロップ監督と共に、イングランドにおけるドイツ人指揮官のステータスを大きく上げたのは間違いないだろう。

(記事/Footmedia)

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