「鬼滅の刃」2期は“親ガチャ”に立ち向かう物語 多くの人の共感を呼ぶ理由とは

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2021年12月04日 11:30  AERA dot.

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写真11月中旬、AERAがインターネットを通じて行った「鬼滅の刃」についてのアンケートには、作品について様々な感想や思いが寄せられた(photo 植田真紗美)
11月中旬、AERAがインターネットを通じて行った「鬼滅の刃」についてのアンケートには、作品について様々な感想や思いが寄せられた(photo 植田真紗美)
 社会現象を巻き起こした『鬼滅の刃』。今年10月からはアニメ2期が放送中で、12月5日には「鬼滅の刃遊郭編」がスタートする。作品の人気の秘密、2期のテーマや魅力を分析する。「鬼滅の刃」を特集したAERA 2021年12月6日号から。


【画像】共感を呼ぶ!鬼滅の胸に刺さるセリフはこちら
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 伝承文学の研究者で、AERA dot.で「鬼滅の刃」に関する連載を持つ神戸大学の植朗子さん(44)は、「鬼滅の刃」という作品の特徴をこう分析する。


「敵役である鬼を単なる敵として描くのではなく、それぞれの鬼が鬼になった動機や、その後の行動理念も一人一人丁寧に描いている。そしてそれは、肯定も否定もされない。そこに多くの人が共感を覚える余地が残されているのではないでしょうか」


多様性が時代とマッチ


 実は植さん自身も、「鬼滅の刃」に強い共感を覚えた身だ。


「仕事や家庭での役割に思い悩むことがあり、文学を研究する仕事をしているにもかかわらず、読むことも書くこともできなかった時期がありました」


 その時、たまたま少年ジャンプを開き、自身の先祖と対峙するキャラクターを見た。


「その生きざまに触れ、涙しました。『物語の力』を再認識したんです。『まずは手を動かそう』とその日のうちに、夢中で原稿を書いていました」


 北海道大学でアニメについて研究する、アニメコラムニストの小新井涼さん(32)さんも、間口の広さに注目する。


「家族愛や友情など、さまざまな人に刺さるポイントがあると思います。鬼殺隊と鬼、どちらも様々な過去や因縁を背負っていることが描かれ、双方に人気があるのも納得です。どちらの陣営でも一筋縄ではなく、登場人物の感情はさまざま。こうした『多様性』が時代に受け入れられたのではないでしょうか」


 随所に差し込まれるコメディータッチな描写も秀逸だという。


「シリアスに描きすぎず、コミカルにもなりすぎず、絶妙なさじ加減です。だからこそ、現実社会で自分の抱える問題と適度な距離を取りながら、エンターテインメントとして幅広い共感を呼ぶことができた」




 実際、アニメ1期26話で描かれた通称「パワハラ会議」も、一連のやり取りはどこかコミカルだ。YouTubeやニコニコ動画にも、このシーンを面白おかしく改変した動画がいくつも上がっている。


 現在放送中の第2期のアニメは全26話の予定で、7話までが劇場版を再編集した「無限列車編」。8話以降が「遊郭編」という構成になっている。


親ガチャに立ち向かう


 2期のアニメを通じたテーマは「生きろ」であると、前出の植さんは分析する。


「『遊郭編』では、『無限列車編』ではあまり出番がなかった我妻善逸(あがつまぜんいつ)が大活躍します。作品を通じて、『生きる原動力を自分でつかめ』がテーマとして描かれていると思いますが、『遊郭編』は善逸をはじめ、主人公たちがさらなる成長を遂げるきっかけとなる重要なパートです」


 善逸をはじめ、「鬼滅の刃」には家庭に恵まれなかった登場人物も多い。それは、世にいう生まれガチャ、親ガチャに立ち向かう物語でもある。


 アニメ「鬼滅の刃遊郭編」は、12月5日から放送開始される。「無限列車編」で仲間の死を乗り越えた炭治郎たちは、どう成長するのか。その成長を目にすれば、自分も「頑張ろう」と心が沸き立つかもしれない。


「鬼滅の刃」は、さまざまな局面で現代人が感じる「窮屈さ」に出口を与え、時には鼓舞し、時には笑い飛ばしてくれる。多くの人の心の教科書であり、大いなる共感の物語だ。(ジャーナリスト・河嶌太郎)




※AERA 2021年12月6日号より抜粋


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