サクサク食感の素朴な味わい 関西ではなじみのお菓子「ぽんせん」って?

1

2021年12月04日 18:01  おたくま経済新聞

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

おたくま経済新聞

サクサク食感の素朴な味わい 関西ではなじみのお菓子「ぽんせん」って?

 円型の形状に、サクサクとした食感が特徴的なお菓子「ぽんせん」。醤油ベースのシンプルな味わいのせんべいで、関西地方で長く親しまれています。


 しかしながら、このお菓子、他の地域になると知る人ぞ知る存在。筆者は生粋の関西人のため、幼少期から存じておりますが、様々な地域を出自とする他の編集部員からは、その見た目から「さつま揚げ?」なんて返答も。


 では一体どんなお菓子なのか、食レポという形でご紹介いたします。


【その他の画像・さらに詳しい元の記事はこちら】


 今回紹介用に購入したのは、兵庫県朝来市にある製菓会社「マルサ製菓」が製造しているもの。先述の通り、ぽんせんは、関西では古くから親しまれている一方で、製造メーカーは複数存在します。


 ちなみに筆者は兵庫県在住者。なので、「ぽんせん=マルサのやつ」という図式が成り立つのですが、これが大阪府ですと、大阪市にある製菓会社「松岡製菓」が製造販売している「満月ポン」が広く流通。いずれにしても、関西のスーパーでは、比較的目にする機会が多いお菓子です。


 そんなぽんせんですが、縦に重ねて封をした「巾着型」の包装形態も特徴的。ただ、現在は平袋タイプの規格が広く流通されている様子。とはいえ、筆者のように幼少期から嗜んでいる人間としては、より馴染み深いものでご紹介したいというものです。


 といっても、モノを確保できなければその“願望”も叶わないのですが、兵庫県北部にあるスーパーに立ち寄った際に、巾着型を購入できました。やっぱこれやんね〜。というわけで、まずはパッケージの概要から。


 包装形態は、「巾着」と説明したとおり、ぽんせん入りの袋がてっぺんで一つ縛りされています。そしてパッケージの表面には「ぽんせん」の文字を中央に、左に「砂糖不使用」、右に「しょうゆ味」が記載されています。


 裏面には、小麦粉・醤油・天然甘味料(甘草・ステビア)という原材料構成。実はぽんせんは大変シンプルな作りなんです。


 なお、この「砂糖不使用」ですが、これは「マルサ製菓規格」での話。松岡製菓のぽんせんは、砂糖を使用していたりします。


 また全体のデザインレイアウトは、「ぽんせん」の周囲に配置された「白の稲穂」が印象的なんです。しかしそれ以外は、特にこれというものはありません。無地の袋も相まって素朴な見た目。ちなみにこれは、平袋形態も同様だったりします。


 さて、そろそろ開封といたしましょう。ビリビリ〜。


 まずは記念すべき1枚目。独特のきつね色とやや窪みのある形状。昔と変わりありませんねえ。画像だけでは伝わりにくいのですが、「マルサのぽんせん」はスベスベした肌触り。そして軽いんです。


 恐らくこれは、小麦粉に圧力をかけて膨らませるという、ぽんせんの製法も関連がありそう。実際に断面図を見てみると、膨張した形跡も残っています。


 ではいただきましょうモグモグ。うむ、あっさりとした優しい味わい。原材料を見れば至極当然ではあるのですが、いたってシンプルな作りです。まだ食したことない方でも容易にイメージできるかも。でもそんな単純明快さが、「ロングセラー」として支持されているわけでもあります。


 ちなみにぽんせんの端部分は、パンの耳のようにやや硬めの食感で味が濃くなっています。余談ですが、筆者はこの部分がいたく好きです。


 このまま10枚ペロリといけちゃいそうですが、しかしノーマルを食べ続けるのも正直面白みがありません。そういえばマルサ製菓といえば、このところTwitterで普及活動をしているのを目にしますが、そこでアレンジメニューも定期的に紹介していました。というわけで、筆者も手元にあるもので様々なアレンジを試みました。


■ パターン(1) お酒のおつまみに合いそうなトッピングに!

 まずは、「ハム・マヨネーズ・オニオンスライス」「チーズ・マヨネーズ・ケチャップ」「キムチ・チーズ」をそれぞれトッピングしてみました。「ザ・酒のつまみ」ですね。チーズがシュレッドタイプだったこともあり、今回はオーブンで軽く加熱。小麦粉で出来ていることもあり、気分はトーストを焼いている感覚。


 さて、火も通ったのでいただきましょう。モグモグ。おっ、これはなかなか。冷蔵庫にあったもので試してみたのですが、「なつかしのお菓子」が簡単おつまみに変貌しました。チーズをスライスにしておけば、加熱の手間も省けるのでよりラクかも。元々がシンプルかつ過度に味が主張しないお菓子なので、アレンジの汎用性が高いともいえますね。


 個人的には、「ハム・マヨネーズ・オニオンスライス」の組み合わせが一番おいしかったです。納豆やシーチキンを使ってみても面白そうです。


■ パターン(2) 逆転の発想?「アイスクリーム」

 お次は、逆転の発想でスイーツに挑戦。とはいえ、あまり奇をてらいすぎるのもアレですので、フレーバーは無難にバニラで試してみます。トッピングというよりは、ディップする感覚ですね。てか、アイスの方が重量感あるやん……(笑)


 こちらも早速モグモグ。おっ、なかなか面白い組み合わせだ。甘味と組み合わせることで塩味が引き立つ結果に。「スイカに塩」と同様に、味蕾(みらい)で感じたのでしょう。いやはや味覚というのは面白いものです。


■ パターン(3) たこ焼きを使って「たこせん」に

 最後は関西のソウルフードを組み合わせ。「なんでたこ焼き?」と感じられた方もいるかもしれませんが、実は関西では、「たこせん」という、せんべいでたこ焼きを挟むという奇想天外な駄菓子があるんです。


 ただし、使用するせんべいは、薄焼きの「えびせんべい」が主。しかし、少々厚めではあるものの、薄味のマルサぽんせんなら悪くない選択……のはず。


 ぽんせんの上にレンチンした冷凍のたこ焼きを敷き詰め、そこにソース・マヨネーズ・かつおをまぶして、さらにもう1枚のぽんせんで挟み込み。厚みがあるので、“オリジナル”よりも持ち上げやすいですね。ではいただきましょうモグモグ。


 こりゃうめえ!3個もたこ焼きを使用したので、「軽量級」のぽんせんが「ヘビー級」に変貌してしまいましたが、しかしこれは、食べ盛りのお子様のおやつや、夜食でもおススメかもしれません。


 しかしながら、これだけ様々な味変が出来るとは、ひょっとして「ぽんせん」って底知れないポテンシャルを秘めているんじゃ?


 というわけで、即席アレンジもしつつ、懐かしのぽんせんを食してみました。筆者は長く食品関係の仕事に従事し、いわゆる「高級料理店」で食事をする機会もあるので、どうしても舌は肥えてしまいがちですが、時には、「変わらない味」を求めることもあります。


 確かに高級食材にしかない価値・美味しさも存在します。ただ、子供の頃から親しんでいた「思い出の味」は、時にそれを凌駕するほどのプライスレスな価値を有しているもの。両方を楽しめてこそ、「おいしい」という言葉が引き立つのかもしれないですね。ごちそうさまでした。


(向山純平)


ニュース設定