日本人研究者が効果を明らかにした「抗老化物質」 摂取で「抗しがたい眠気」も

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2021年12月07日 12:10  AERA dot.

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写真『開かれたパンドラの箱
<br />老化・寿命研究の最前線』30年にわたり老化研究の最前線に立つ筆者による「抗老化物質」の発見に至る物語。健康寿命を延ばすための最新の研究成果も紹介する(撮影/写真部・張溢文)
『開かれたパンドラの箱
老化・寿命研究の最前線』30年にわたり老化研究の最前線に立つ筆者による「抗老化物質」の発見に至る物語。健康寿命を延ばすための最新の研究成果も紹介する(撮影/写真部・張溢文)
 老化を抑えて寿命を延ばす可能性がある物質「NMN(ニコチンアミド・モノヌクレオチド)」が世界的に注目されている。老化研究の世界的権威・米ワシントン大学教授の今井眞一郎さんの研究がきっかけとなり、その効果が明らかになったものだ。以前から今井さんの研究に注目していたのが、音楽家の渋谷慶一郎さんだ。音楽好きの今井さんもまた、渋谷さんが作る音楽に関心を寄せていた。世界で活躍する研究者と音楽家が初対面した。AERA 2021年12月6日号から。


【写真】対談した渋谷慶一郎さんと今井眞一郎さん
*  *  *


今井:実は私、音楽が好きで、趣味でピアノも弾くんです。今日は渋谷さんにお会いするのがとても楽しみでした。渋谷さんは初音ミクやAI、アンドロイドのオペラを作られています。何がきっかけでそのような領域と音楽とを融合させたのか、ぜひお伺いしたかったんです。


渋谷:2012年に初音ミクのオペラ「THE END」を発表したのが最初ですね。30代の終わりごろで、世界で勝負できる作品を作りたいと思い、インパクトのあるテーマを考えていたんですが、ボーカロイドでオペラを作ったら面白いと思いつきました。アリアやレチタティーボなどオペラの形式は守るけれども、スクリーンしかない舞台で、歌はボーカロイド、音楽は電子音楽で。オーケストラも指揮者もいない。テクノロジーだけで人間不在のオペラは、日本人にしかできないものができるんじゃないかと思ったんです。「THE END」はパリでも公演し、大成功でした。


今井:今まで試みられていないものどうしを組み合わせてみたわけですよね。その部分は、かなりサイエンスにも通じるものがあります。


サイエンスにも興味


渋谷:はい。僕は元々サイエンスにも興味があって、池上高志さんや石黒浩さんら研究者の友達も多いんです。抗老化に効果があるというNMNは、1年ほど前に友人から聞きました。その時に今井先生の論文も読んで、興味を持ち始めたんです。先生は30年も前から老化について研究されていますね。


今井:1987年からですね。99〜2000年に「サーチュイン」というまったく新しい酵素が、老化と寿命の制御に重要だということを発見しました。研究をさらに進めると、サーチュインの活性化に必須な物質が「NAD(ニコチンアミド・アデニン・ジヌクレオチド)」と呼ばれる物質と分かったんです。


渋谷:そのNADが体内で減るから老化するんですよね?




減るなら減らさない


今井:はい、それが今のコンセンサスになってきました。私は、NADが減ることで老化が起きるなら、「減らないように保ってやればいいんじゃないか」と思ったんです。ただ、NADを飲んで体内に取り込んでも、腸内細菌に分解されてしまう。そこでNADの一歩手前の物質で、体に取り込まれるとNADになるNMNを投与したらどうかと考え、これが大きな成果をあげました。


 ――今井さんの研究で、糖尿病のマウスにNMNを与えると、糖尿病が劇的に改善することが判明。また1年間NMNを投与したマウスは、人間でいう60歳ごろになっても老化現象を抑えられることがわかったという。今年4月には、閉経後でやや肥満の糖尿病予備軍の女性にNMNを経口摂取させたところ、インスリンの感受性が約25%上がり、糖尿病が改善する可能性があることが研究発表された。ヒトへの抗老化にも大きな期待が寄せられる。


渋谷:先生の書籍『開かれたパンドラの箱』を読んで理解したことなんですが、抗老化のメカニズムには、脳の視床下部が大きく関わっているようですね。視床下部は睡眠や覚醒を司(つかさど)る部分でもあるので、NMNの投与は、睡眠の深さと同時に集中力にも関係しているんじゃないかという実感があるのですが。


今井:そこは今、まさに現在進行中の研究の一つなんです。私たちはNMNを投与したマウスの睡眠についても詳しく調べているんですが、明らかに作用があることが分かってきました。渋谷さんはNMNのサプリを飲んでいると伺いました。それを飲むと、たとえようもなく夜に眠くなってきませんか?


渋谷:なってきます。抗しがたい眠気なんですよね。


今井:NMNは「サーカディアンリズム」といって、24時間周期で、きちんと起きる、寝る、といった体の活動と非活動の状態をきっちり整える作用があるんです。


渋谷:確かに、生活スタイルが変わりました。それまでは朝5時まで作曲をして、午前9時、10時に起きるという生活だったんですが、今は朝7時にヨガのレッスンを受けるようになっていて(笑)。だから夜の12時には眠くなって寝ちゃうという。


今井:そう、夜起きていたいと思っても、眠くて眠くて仕方がない。それはサーカディアンリズムが整えられているからなんです。


>>【後編:若さを補って創造性を高める? アンチエイジングで注目の「NMN」、飲用で体の変化は】へ続く


(構成/編集部・大川恵実)

※AERA 2021年12月6日号より抜粋


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  • 子供たちを寝かしつける時には、だいたい抗し難い眠気で一緒に爆睡します。もうすぐ2歳の下の娘に抱きつかれてたらスヤスヤ確定です。
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